- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062940672
感想・レビュー・書評
-
他人には伝えにくいけど嫌だなって感じる部分を言葉にするのがとてもうまい作者さん。
『ある種の好意は粘性のある蜘蛛の巣に似ていて、必要としていない人間にとっては逃げづらい嫌な構造をしている』
『子供の心は明るく開かれているべき、っていう謎の呪いが世の中全体にかかってるんだ』
『世の中にはどうがんばってもわかりあえない事柄がたくさんある。無駄な努力で傷つけ合うより、撤退することで回避できる』
『(ひとりで生きていくこと)さびしくないとは言わないけど、ひとりで生きている人は多いの。その人たちが、みんな不幸だなんて思わない』
『ひとりは怖い。でも、好きじゃないやつと一緒にいても楽しくないことは知ってる』詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歪んでいる、と捉える人もいるかもしれない
だけど、そもそも普通の形ってだれが決めるのだろうか
自分の愛や夢を貫くのは覚悟が必要
誰かを傷つけたり、泣かせたりするかもしれないけど、みんなが同じ形で等しく幸せになれることなんて絶対ないから
生きる。あなたはあなたのピオトープで、わたしはわたしのビオトープで。
-
人を好きになることに、理屈なんかなくて
愛の形だって本当は人の数だけあるのだろう。
異性間の愛は認めるけど、同性間は認めない
そんな価値観がちゃんちゃらおかしく思えるくらい
この一見ほっこり風味の小説には、愛のタブーが溢れている。
私が心から羨ましかったのは鹿野くんとうる波ちゃんの愛。
幽霊だってなんだっていいのよね
もう一度一緒に暮らせるのなら。 -
鹿野くんの飄々としたキャラがいいんだなぁ。でも呑気なのは鹿野くんだけで、登場人物はなにかを抱えた人たちばかり。
そもそも鹿野くんって本当にいるの?いないの?っていううる波の不安とそれを受け入れる覚悟。私も自分が生きていきたいよう生きていくし、信じたいように世界を見るぜ?って勝手に思ったりして。
千花ちゃんのやるせなさと不気味さが1番印象に残ってる。 -
どことなく暖かさの感じる柔らかな雰囲気の中に、人の恐ろしい部分?のようなものも感じられて、なんというか…何が正しいのか…と考えさせられた。
主人公は結局、このあと、どう生きていくのだろうか、どういう結末にたどり着くのだろうか、とその先を考えてしまった -
皆誰もが何かしらの秘密を持っていて、誰にも言えずに生きている。他人についてああだこうだと興味を持って詮索することがいかに馬鹿馬鹿しく愚かなことか、改めて考えさせられた。
-
「汝、星の如く」「流浪の月」を経て本書を読みました。著者の、理解できるけど考えたこともなかった感情にフォーカスするような表現が自分は好きなのですが、そういった洞察力や表現力をこの本からも感じられておもしろかったです。
-
凪良ゆうさんの作品って本当に優しい。
うる波ちゃんと鹿野くんのバランスがとても良い。鹿野くんのように芯があってしっかりと物いいだけどウェット過ぎず人を傷つけない言葉遣いが心地良い。うる波ちゃんの柔軟さ、みんなが持ち合わせたら世界が生きやすくなるのになあ。
-
旦那さんに先立たれた自分を想像してみた。やっぱり私もうる波ちゃんと同じように幽霊でもいいからずっとそばにいて欲しいと思うんだろうな…。
人はそれぞれ色んな秘密を抱えていて、それでも自分の幸せを求めて生きている。他人には理解できないような形であっても、自分が幸せと思えるならそれでいいじゃないか!そんな風に思えた本でした。