神さまのビオトープ (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 7957
感想 : 580
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940672

感想・レビュー・書評

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  • 他人には伝えにくいけど嫌だなって感じる部分を言葉にするのがとてもうまい作者さん。
    『ある種の好意は粘性のある蜘蛛の巣に似ていて、必要としていない人間にとっては逃げづらい嫌な構造をしている』
    『子供の心は明るく開かれているべき、っていう謎の呪いが世の中全体にかかってるんだ』
    『世の中にはどうがんばってもわかりあえない事柄がたくさんある。無駄な努力で傷つけ合うより、撤退することで回避できる』
    『(ひとりで生きていくこと)さびしくないとは言わないけど、ひとりで生きている人は多いの。その人たちが、みんな不幸だなんて思わない』
    『ひとりは怖い。でも、好きじゃないやつと一緒にいても楽しくないことは知ってる』

  • 歪んでいる、と捉える人もいるかもしれない
    だけど、そもそも普通の形ってだれが決めるのだろうか

    自分の愛や夢を貫くのは覚悟が必要
    誰かを傷つけたり、泣かせたりするかもしれないけど、みんなが同じ形で等しく幸せになれることなんて絶対ないから

    生きる。あなたはあなたのピオトープで、わたしはわたしのビオトープで。

  • 人を好きになることに、理屈なんかなくて
    愛の形だって本当は人の数だけあるのだろう。
    異性間の愛は認めるけど、同性間は認めない
    そんな価値観がちゃんちゃらおかしく思えるくらい
    この一見ほっこり風味の小説には、愛のタブーが溢れている。
    私が心から羨ましかったのは鹿野くんとうる波ちゃんの愛。
    幽霊だってなんだっていいのよね
    もう一度一緒に暮らせるのなら。

  • 鹿野くんの飄々としたキャラがいいんだなぁ。でも呑気なのは鹿野くんだけで、登場人物はなにかを抱えた人たちばかり。
    そもそも鹿野くんって本当にいるの?いないの?っていううる波の不安とそれを受け入れる覚悟。私も自分が生きていきたいよう生きていくし、信じたいように世界を見るぜ?って勝手に思ったりして。

    千花ちゃんのやるせなさと不気味さが1番印象に残ってる。

  • どことなく暖かさの感じる柔らかな雰囲気の中に、人の恐ろしい部分?のようなものも感じられて、なんというか…何が正しいのか…と考えさせられた。
    主人公は結局、このあと、どう生きていくのだろうか、どういう結末にたどり着くのだろうか、とその先を考えてしまった

  • 人には誰でも、きっと何かしら秘密がある。
    この作品に出てくる人たちは、みんな何かしらの秘密を抱えている。
    人に受け入れられないかもしれないような、大きな秘密を抱え、悩み、傷つき、葛藤し、それでも生きていく人たちの姿を、この作品はとても柔らかい、不思議な空気感で描いている。
    たとえば主人公・うる波は、亡くなった夫・鹿野くんの幽霊と暮らしているという、表沙汰にしたら周りから忌避されてしまうような秘密を抱えている。
    でもそれが自分にとっての幸せなのだ、と何度も何度も決意を繰り返す覚悟や、自分と同様に秘密と決意に満ちた暮らしをする人々に思いを馳せる姿からは、秘密を抱えて葛藤をしながら生きる私たちも、秘密を抱えながら生きていっていいのだ、と受容される温かさを感じる。
    きっと、現実の私たちの世界でも、それぞれの秘密やそれぞれの幸せの形を、大切にしながら生きていけばいい。そんな、救いのようなものを感じて読み終えられた作品だった。

  • 皆誰もが何かしらの秘密を持っていて、誰にも言えずに生きている。他人についてああだこうだと興味を持って詮索することがいかに馬鹿馬鹿しく愚かなことか、改めて考えさせられた。

  • 「汝、星の如く」「流浪の月」を経て本書を読みました。著者の、理解できるけど考えたこともなかった感情にフォーカスするような表現が自分は好きなのですが、そういった洞察力や表現力をこの本からも感じられておもしろかったです。

  • 凪良ゆうさんの作品って本当に優しい。
    うる波ちゃんと鹿野くんのバランスがとても良い。鹿野くんのように芯があってしっかりと物いいだけどウェット過ぎず人を傷つけない言葉遣いが心地良い。うる波ちゃんの柔軟さ、みんなが持ち合わせたら世界が生きやすくなるのになあ。

  • 旦那さんに先立たれた自分を想像してみた。やっぱり私もうる波ちゃんと同じように幽霊でもいいからずっとそばにいて欲しいと思うんだろうな…。
    人はそれぞれ色んな秘密を抱えていて、それでも自分の幸せを求めて生きている。他人には理解できないような形であっても、自分が幸せと思えるならそれでいいじゃないか!そんな風に思えた本でした。

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著者プロフィール

1973年生まれ、京都市在住。2007年、BLジャンルの初著書が刊行され、デビュー。17年『神さまのビオトープ』を刊行し、高い支持を得る。19年『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で「本屋大賞」を受賞する。同作は、22年に実写映画化された。20年『滅びの前のシャングリラ』で、2年連続「本屋大賞」ノミネート。22年『汝、星のごとく』で、第168回「直木賞」候補、「2022王様のブランチBOOK大賞」「キノベス!2023」第1位に選ばれ、話題を呼ぶ。翌年、同作の続編にあたる『星を編む』を刊行した。

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