玉瀬家、休業中。

  • 講談社
3.11
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065122075

作品紹介・あらすじ

澪子は41歳、バツイチ。"人並み”の幸せを夢見ていただけなのに、もろく崩れる。家財道具は旦那に持っていかれ、お金もない。そんな中、姉の香波が金の無心にやってくる。香波は澪子の状況を知り、久しぶりに実家で暮らすことを提案する。そして10年ぶりに母親が一人で住む家に戻ったのはいいのだが、娘たちの出戻りを笑い飛ばす始末。がさつな母に傷つく澪子。そしてある日、家で怪しい人影を発見するのだが?!

感想・レビュー・書評

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  • 夫と離婚し、北海道の実家に戻ってきたら澪子。
    実家で、母、兄のノーリー、姉の香波と4人で暮らすことになった。

    澪子の虚無な日々が、コミカルながら(コミカルだからこそ)切なく感じた。私も歳をとったのだ。若い時なら他人事として読んでいただろうに。妙に迫る現実感。人生折り返し地点あたりで、私のこれまでの人生ってなんだったんだ?と思うのは、つらいよなぁ。

    できることも、やりたいことも、なにもない・・・という澪子の現実が、自分のもののように感じた。
    私自身は、趣味もあり友達も少しだけどいて仕事もして子どももいるけど、それでも澪子のこの状況にとてつもない共感を覚えた。私自身の根本は虚無感溢れる人なのだと実感。結局、人間が何に共感するかっていうのは、「状況」ではなく「性格や人間性」ってことなのだろう。
    ビストロを数日でクビになることも、応募先すべてで落ちて就職が決まらないことも、ささいなことのように感じるものの、こんなことが永遠に続くのかなと思うと絶望するだろう。成功体験のない人は、なんだこんなことー、いくらでも仕事なんてあるーって、なかなか前向きにはなれないものだ。

    家族の中で、恥ずかしい存在、ふれてはいけない存在だと思っていたノーリーの前向きさや幼さに救われるのが、良かったよ。
    ノーリーは謎だらけで、本人自身もきっとよくわかってないけど、わかんないことに全くこだわってない。こんな人めったにいないけど、もしいたら天然記念物として保護してほしいな。
    苦手だった母、わがままで奔放な姉、はずかしいと思っていた兄と過ごしながら、澪子はエネルギーチャージされて、嫌なことや間違っていることに拒否感を示せるまでになった。これってすごい進歩。
    家族のもちつもたれつ感、いいよね。

  • 図書館で借りました。読み終えて、今すぐにでも実家に帰りたくなった。煩わしくても、隠しておきたいことも、全てをひっくるめて家族だ。澪子も、香波も、ノーリーも、お母さんも、みんな、大好きになった、【自分のことしか考えていない、といつもわたしは、わたし以外の人に不満を抱いていた。実家にいたころには家族に、結婚してからは夫に。】【わたし、嫌なことしか見てなかった。】澪子がノーリーに自分の心の内を開きだしてどんどん〈大丈夫〉に向かっていく様子はとってもよかったな。ノーリー、実は(失礼(笑))とっても頼りになるじゃん!【そんなふうに焦るからいけないんでしょや。人生は駆けっこじゃないんだよ。速けりゃ勝ちってわけじゃないっしょや!】そして何よりお母さん。あなたはとっても偉大でした。やっぱり、母は大きいなぁ。【あははははは!】豪快に笑って子どもたちをきっと今日も護っているんだな。

  • バラバラな家族なのに、なんか憎めないそんな面々の物語。

    シングルマザーの家庭に育ち、夫の浮気を機に離婚し、上京し病んだ姉・香波さんと札幌の実家に出戻りした澪子。

    母は強烈なキャラで、人の気持ちなど汲むようなことはなく、ズバズバとものを言う性格に、耐えられず出て行った澪子としては、不安の日々が始まる。

    しかし長年行方知れずだった兄・ノーリーが帰ってきて、彼の自由な生き方に触れる度に、澪子は変わっていく。


    「家族なんて所詮他人の集まり、個人」という独特な母の考えが、生きる力を呼び覚まし、また家族である以上に絆を感じさせてくれる。

  • 離婚した澪子はパニック障害を発症し闘病中の姉香波と一緒に母が一人暮らしをする実家に帰った。
    時を同じくして、行方不明だった兄も帰ってきて、引きこもっていた。
    40代、妙齢の兄妹と母の4人暮らしが始まった。

    不思議な話。
    でも、こういう家族はきっといると思わせるリアル感もある。
    澪子のウジウジした感じは好きになれないけれど、家族の元で少しずつ再生していく様に、期待が持てそうな予感を感じた。

    青空を見上げて、素直に気持ちいいと思える人で私はいたいと思う。

    それにしても、ノーリー、話し方バカボンのパパみたいだった…

  • 離婚して実家に戻った主人公。母とバツ2の姉、そして引きこもりの兄との4人の暮らしが始まる。登場人物みんなキャラが濃いです。兄のノーリーのように、今を楽しみながら生きるって贅沢なことですよね。主人公がいろんな意味で再生できますように。

  • まさきとしか祭り開催中w

    これもまた…www
    え?なんか印象変わっちゃうなぁw

    いやー、玉瀬家サイコー!面白過ぎるw
    お母さん、いいキャラしてるなぁ、好きだなぁ!
    でも、家族だったら、ちょっと嫌かも?www

    そして、ノーリーみたいに楽しく生きたいな!

  • 玉瀬家には72歳になる母、41歳の澪子、46歳の香波、47歳のノーリーこと典史、4人が暮らしている。

    離婚が珍しくなくなった昨今、出戻りの娘達と一緒に生活する家族も増えて来ているのかも知れない。

    しかしながら、個性強めの登場人物達、惰性で生きているネガティブな澪子、怒りっぽくてプライドの強い香波、独特な話し方をするドルオタの典史、繊細な面を感じつつも人生ガハハと笑ってやり過ごす母親。

    共感出来る人物はいないが、時々ハッとする言葉が登場する。
    >自分のことも考えられない人間が、他人のこと考えられるわけがない
    >家族だからつながってるような気になってるけど別々の人間

    確かに、良く知っているつもりになっているけれど、本当のところ、他人に比べれば少しだけ多く知っているだけで、その内面なんて解らない。
    知ったかぶりになっていたかもと我が身を振り返る読書時間だった。

    まさきさんの作品にしては毒少な目、インパクト弱めではあったが家族を考える作品となりました。

  • いいよ。

    そんな親がいてもいい‼️
    兄がいてもいい‼️

    今を生きるは、普通に社会的に生きることが難しい人の方がじょうずなのかな。

    今楽しんで生きていたいね!

  • 人間なんてそんなもんなんだろうけど、あまりにもみんながみんな勝手すぎてどうしても感情移入出来なかった。…って思ってしまうのは、私がまだ恵まれた生活をしてるからなんだろうなぁ。

  • 0163
    2019/12/03読了
    表紙に惹かれて読む。
    個性の強い家族の話。
    家族でも知らないことや分からないことは多いよなあ。むしろ家族が一番分からないのかも。
    働くことや幸せは人それぞれだなと思った。
    終わり方にびっくり。最後まで気になるノーリー…。

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著者プロフィール

1965年東京都生まれ。北海道札幌市育ち。1994年『パーティしようよ』が第28回北海道新聞文学賞佳作に選ばれる。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)を受賞。
著書に『熊金家のひとり娘』『完璧な母親』『大人になれない』『いちばん悲しい』『ある女の証明』『祝福の子供』『あの日、君は何をした』『彼女が最後に見たものは』などがあり、近刊に『レッドクローバー』がある。

「2022年 『屑の結晶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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