- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065122662
感想・レビュー・書評
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2018/9/31(日曜日)
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少女のためのゴシック文学館、という私の性癖どストライクなアンソロジー。
集められた作品は国内外の短編、掌編、詩歌と幅広く、また作家陣も古典から現代までビュッフェのように自由で豪華に選ばれているのが嬉しい。
魔法少女 / 江戸川乱歩
夜の姉妹団 / スティーヴン・ミルハウザー
枯れ野原 / 深沢レナ
美少女コンテスト / 小川洋子
ひなちゃん / 松田青子
ファイナルガール / 藤野可織
この6編が好きでした。
特に「夜の姉妹団」では、少女という観念的な存在について可愛く不気味に描かれていて良かった。静寂と沈黙の秘儀を奉ずる思春期の少女たちの集まり、夜の姉妹団。魅惑的な秘密結社。パーティーのドレス、アイスキャンデー、青い夏の空気のなかで揺れるシャボン玉のゆらめき。
定義を逃れることを欲し、神秘的で不可解なままでありたいと願う彼女たちの姿は、無理やり暴いて穢すことなんて決して許されないとても神聖なオーラをまとっていた。少女であることのすべてが詰まっていたように思う。
藤野可織さんの短編もバイオレンスでありながらキュートで癖になりそう。もっとたくさん読んでみたい。
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少女に纏わるアンソロジー24編。
そこはかとなく慣れ親しんだ感覚が漂う。
「少女」と「女の子」の違いにある種の残酷さにふと、薄笑いを浮かべてしまう。 -
ふと、これが少年だったら、ここまで死の匂いがしたかなと思いました。
少女には常に死がつきまとう。
少女は人間とは違う別の生き物、とはよく言ったもので、どの作家も、少女に対しては酷く嗜虐的になるのが興味深かったです。
愛でるというより、じわじわ殺す。殺される。それでも凛と無惨に血まみれに笑っている。
少女とは、人類の無意識下の犠牲者、供物の象徴なのかもしれません。 -
『少女』をテーマにしたゴシック文学のアンソロジー。
ついこの間買ったちくま文庫の『月の文学館』『星の文学館』もそうだったが、最近のアンソロジーは短編だけでなく詩や短歌なども収録されているようで吃驚する。西条八十が入ってるとは思わなかった……。