小説の神様 あなたを読む物語(上) (講談社タイガ)

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  • 講談社
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065125540

感想・レビュー・書評

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  • 千谷、小余綾、成瀬たちの純粋さが眩しすぎて目に染みる。続刊の意義、物語は人の心を動かすのか?など、実際の書き手側ならば、より身近でグッと来るものがあるのかも。書店員の立場から見た万引きや海賊版サイトの問題などが書かれていて、広がりや現代性を感じた。表紙絵の千谷は、クールな感じに見えて、ちょっとイメージと違うなあと最後までギャップを埋められなかったのでした。

  • +++
    もう続きは書かないかもしれない。合作小説の続編に挑んでいた売れない高校生作家の一也は、共作相手の小余綾が漏らした言葉の真意を測りかねていた。彼女が求める続刊の意義とは…。その頃、文芸部の後輩成瀬は、物語を綴るきっかけとなった友人と苦い再会を果たす。二人を結びつけた本の力は失われたのか。物語に価値はあるのか?本を愛するあなたのための青春小説。
    +++

    読み始める前に、既読の『小説の神様』を上下巻に分けたのかと、ちょっと迷ったのだが、純然たる続編である(ちょっぴり紛らわしい)。時間もほとんど前作と地続きで、小余綾や千谷の抱える悩みもほぼそのままの状態からの続きなので、目新しさはほとんどない。人々にとって小説とは何か、という大きすぎる問題がいつも目の前にあり、自分がどういう姿勢でそれに向かうのかという葛藤から逃れることができずに、何もかもが混沌としているような印象である。この悩みから抜け出すことはできるのだろうか。抜け出せれば、合作小説も目覚ましく進捗するのだろうか。それは本作ではまだわからない。文芸部の成瀬の友人たちに対する心の持ちようにも少しずつ変化が現れ、こちらは少し明るいが、中学時代の友人真中との関係は、なかなか難しいままである。下巻では、これらがすべて解決されるのだろうか。不安要素はたくさんある気がする。ともかく下巻を早く読みたいシリーズである。

  • 前半、あれ?私(読者)喧嘩売られてる?って思いながら読んでた。お前らどうせ売れる本しか読まないんだろとか、作家にそう思われる悲しさとか、憤りとか。作者的には違うのかもしれないけれど私はそう受け取った。作家さんの立場だと、昨今は自分でプレゼンやら営業なんかまでやらなきゃいけなくなって大変だろうな。そういうのが苦手な才能ある作家を編集はきちんと売ってあげてほしい。読者だって同じような本ばっかりでウンザリしてる部分があるよ。ましてそれが苦手ジャンルだったりするとマジで新しい本に手を出す事が出来なくなるので。

  • またしても感想の書きにくい内容。作家の本音というか綺麗事ではない部分にハッとさせられる。が、自分は図書館ユーザーなのですいません…。

  • “物語は人の心を動かすのか?”

    そんな哲学的とも言える章題が並び、さながらゴーギャンの有名な絵画のタイトル「我々はどこから来たのか(略)」を連想させる。その流れで言うならば、本作は「小説はどこに行くのか」を考えさせられる。

    高校生作家2人が、小説を書く意味を求めつつ、もがきながら作品を創っていく物語の続編。前巻でひとつの作品を産み出した2人だが、その続編を巡り、あるいは新作を巡り、さらなる「創作の深み」に嵌っていく。

    後輩の創作をめぐる傷も絡み、それどういうこと?な引きで上巻終り。続きが気になる!

  • 2018年108冊目。⌈続編の意義」というテーマはなかなか盲点で、それをシリーズの続編でやるあたりにメッセージ性の強さが窺える。書き手と読み手双方の視点から多角的に掘り下げているので話に深みが生まれている。エピソードや展開が読書家の心に響くものばかりで、非常に濃厚な読み応え。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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