彼女。 百合小説アンソロジー

  • 実業之日本社
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本棚登録 : 910
感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408538044

作品紹介・あらすじ

“百合”って、なんだろう。
新時代のトップランナーが贈る、全編新作アンソロジー

彼女と私、至極の関係性。“観測者"は、あなた。
珠玉の7編とそれを彩る7つのイラスト。
究極のコラボレーションが実現!

相沢沙呼「微笑の対価」/扉絵 清原紘

青崎有吾「恋澤姉妹」/扉絵 伊藤階

乾くるみ「九百十七円は高すぎる」/扉絵 郷本

織守きょうや「椿と悠」/扉絵 原百合子

斜線堂有紀「百合である値打ちもない」/扉絵 たいぼく

武田綾乃「馬鹿者の恋」/扉絵 けーしん

円居挽「上手くなるまで待って」/扉絵 toi8

カバーイラスト/100年

感想・レビュー・書評

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  • ★5 いま超推せる作家達でいっぱい! キュンキュンしたい奴は即読め #彼女 #百合小説アンソロジー

    はぁ~、面白かった…
    推しのミステリー作家陣のアンソロジーで、期待通りの超絶傑作でした。

    百合小説を読んだことないとか、定義とかこだわらずに、ぜひ手に取って読んでほしい。自分も初めてのジャンルでしたが、読みごたえがあって素晴らしかったです。

    ジャンルがひとつなんで、どれも同じような感じなんじゃねぇの? と、お思いかもしれませんが、めっちゃバラエティーに富んでます。

    なにより素晴らしいのは、各話に登場する「彼女。」たちの描写が凄すぎるんですよ。
    ほんと皆さん心情や関係性を描くのがお上手で、時には胸が締め付けられ、時にはカッコよさに痺れ、時には応援したくなる。心がぐわんぐわん揺さぶられる一冊でした。

    またミステリーをお得意とする作家さんらしく、捻りやハッとする展開もあり、ほんと読んでよかった。

    ■椿と悠/織守きょうや ★4
    直前に同作者の「学園の魔王様と村人Aの事件簿」を読んでしまってたので、正直テーマは似てると思ってしまったが、百合だとさらに美しくてGOOD。優しい気持ちになれる作品でした。

    ■恋澤姉妹/青崎有吾 ★5+
    鬼かっこええーーーー、超名作。
    世界観、アクション、概念を超越した価値観や人間関係。エンターテイメント性も最高。見事に青崎先生の良さが出ている作品でした。はぁ~よかった…

    ■馬鹿者の恋/武田綾乃 ★5
    武田先生らしいエグイ関係性や展開が大好き。
    比較的シンプルな物語にも関わらず、心臓をがっつりつかまれました。

    ■上手くなるまで待って/円居挽 ★3
    夢と現実の狭間で揺れ動く二人の師弟愛が切ない。
    本書で一番ミステリーっぽい構成で楽しく読めました。
    ただテーマはわかるけど、自分にはちと伝わりづらかった。もう少しシンプルでもよいかも。

    ■百合である値打ちもない/斜線堂有紀 ★4
    タイトルとは真逆ぶりが素晴らしい。
    斜線堂先生のお得意の恋ごごろ描写が完璧で、これぞキュンですよ。

    ■九百十七円は高すぎる/乾くるみ ★3
    先生はこんなの大好きですね、五十円玉二十枚の謎を思い出しました。こんなミステリーは大好きでニヤニヤしちゃう。
    二人の歪んた関係性もGOODですが、もう少し精神的な描写もほしかったかな。

    ■微笑の対価/相沢沙呼 ★5
    く、くるしい… 後半に出てくる数々の強烈なセリフ。
    自分もかつて女性にこんなことを言われたことがありました。あー思い出すだけで、まだ胸が痛む。
    そして落雷のごとく読者に提示される、418ページ目からの展開が強烈すぎました。

    「彼女。」のタイトルらしい、様々な世界で生きる「彼女たち」の関係性が色んな意味で素敵でした。本書は今のジェンダー時代を切り口にはしていますが、人生を彩るのはあくまで人と人のつながりなんですね。しっかり胸に伝わりました。

  • 2022年3月実業之日本社刊。7編の豪華書き下ろし。各作品毎の扉絵イラストレーターさん起用も豪華。更に表紙絵のイラストに100年さん起用もインパクトあります。いずれも、彼女たちの世界を描写する手腕に脱帽。椿と悠、恋澤姉妹の緻密な世界観が好みです。
    【収録】織守きょうや:椿と悠/扉絵原百合子、青崎有吾:恋澤姉妹/扉絵伊藤階、武田綾乃:馬鹿者の恋/扉絵けーしん、円居挽:上手くなるまで待って/扉絵toi8、斜線堂有紀:百合である値打ちもない/扉絵たいぼく、乾くるみ:九百十七円は高すぎる/扉絵郷本、相沢沙呼:微笑の対価/扉絵 清原紘、カバーイラスト/100年

  • 百合小説で括った7作品は全編新作のアンソロジー。
    語り手の私と相手の彼女、二人組の関係性は今どきの多様性に満ちている。
    同級生。師匠と弟子。幼なじみ。サークルの先輩と後輩。仕事のパートナー。部活の仲間。友達。
    内容もまた色とりどり。青春。恋愛。悲哀。嫉妬。憧憬。哀慕。そしてミステリ。
    短編だけど内容が濃いので物語に引き込まれ一日一作というかんじの一冊。


  • 椿と悠 織守きょうや
    恋澤姉妹 青崎有吾
    馬鹿者の恋 武田綾乃
    上手くなるまで待って 円居挽
    百合である値打ちもない 斜線堂有紀
    九百十七円は高すぎる 乾くるみ
    微笑の対価 相沢沙呼


    彼女たちの様々な恋愛模様を集めた
    百合小説アンソロジー。

    ほろ苦い恋、背筋が凍るような恋、
    ただただ真っ直ぐな恋、異色な恋、
    身を狂わす恋、不器用に相手を思いやる恋。

    敢えてテーマは『百合』ですが、恋した時の
    感情の揺れや一途さ、傾ける熱量には、
    対象の性別なんて関係ないと教えてくれます。


  • 百合小説という意味を知らずに読んでようやく理解。それぞれが異彩を放っており、あでやかでつややかでなまやか。また恐怖も覚えた。
    ちなみに「微笑の対価」に出てくる翠の瞳って・・・。
    208冊目読了。

  • 【収録作品】「椿と悠」 織守 きょうや/「恋澤姉妹」 青崎 有吾/「馬鹿者の恋」 武田 綾乃/「上手くなるまで待って」 円居 挽/「百合である値打ちもない」 斜線堂 有紀/「九百十七円は高すぎる」 乾 くるみ/「微笑の対価」 相沢 沙呼

  • たまたま2作続けてアンソロジーでした。
    どのお話も、それぞれの世界観があり面白かったです。

    武田綾乃さん、乾くるみさん、相沢沙呼さんしか存じ上げませんでしたが、

    扉絵は、話を読んでから振り返って楽しみました。

    特に好きだったのは以下です。
    ・椿と悠(織守きょうや)
    ・馬鹿者の恋(武田綾乃)
    ・上手くなるまで待って(円居挽)
    ・百合である値打ちもない(斜線堂有紀)

    百合である値打ちもないは、
    突然の整形描写から不穏な感じで始まりますが、こんな経緯だったのかと胸が痛くなりました。
    乃枝が真々柚の全てを愛している、ということが最初から一貫していて、結末にホッとしました。

    微笑の対価は、みなさんおっしゃる通り、翡翠が出て来た!と思いました。
    また、考えすぎかもしれませんが、冒頭は、紫乃と一緒に作業をした時ではない?と読み取ったのですか、どうなんでしょう。
    地面に置いた懐中電灯、という描写。紫乃がてしてくれる懐中電灯の光。これは同じ時のものなのでしょうか、、?

  • 【椿と悠】お互いがそれぞれ知らない間に相手のためを思って行動しているがその行動がズレている。その感情の行き違いが百合という悶える作品を表現するのにふさわしいとわかっているかのように…心躍った。
    【恋澤姉妹】なんで殺し屋が最強の姉妹を追っているのかと思いながら読み進めていたら観測者が出てきたり介入しすぎて姉妹に殺される人間が出てきた時点でこれは百合を観測したり百合の間に入ろうとした人間が死ぬという表現の一つだと理解し百合を殺し合いで表現するとは思っていなかったのでやられた。
    【馬鹿者の恋】相手からいつまでも好かれていると慢心していると転校生などの突発的理由により足元掬われるから大切な人は大切だと伝えておきたいね。
    【上手くなるまで待って】憧れが憎しみに変わることも恋心に変わることもある。
    【百合である値打ちもない】プレイスキルそこそこの美人とプレイスキル強強の芋女ゲーマーの話。美人が芋女に惚れるがメディアへの露出が高くなるにつれて芋女が整形を決意する。「整形してくれて嬉しかった」は残酷だけど本音だよなぁ。
    【917円は高すぎる】さすがに円の計算が割合を占めすぎ。もうすこし心理描写してくれ。
    【微笑の対価】魔性の女に人生めちゃくちゃにされたいよなぁ!

  • 初めて百合がテーマの本を読んだ。
    話の流れ的に百合っぽい感じの話とかはあるけど、完全にこの話は「百合」です。と謳った小説は初めてで、どうなんだろうか…と思ってたら色んな百合テーマの話が出てきて凄く楽しかった。
    面子もなかなか豪華で読んだことない人も多かったからこれをきっかけに気になる人も出来たので読んでみたい。

  • 十人十色という言葉を思い出すような王道的な純愛、王道から外れていてるからこそ際立つその美しい恋など、似ている点がありつつもそれぞれがそれぞれの「恋愛」をしていて面白かった。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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