- Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065134122
感想・レビュー・書評
-
昔から言われるように不動産はいかにも魑魅魍魎の世界という感じだが、それにはやはり理由がある。特に驚かされるのは警察ですら誰が被害者で誰が加害者かにわかに見極めがつかないほど、事件が混み入った複雑さを呈しているところだ。確かに登場人物がどれも胡散臭く、士業の肩書を持っていても半ば詐欺専業という実態すらあるのでは、警察が何度も犯人の身柄を押さえては取り逃がしてしまうのも(大失態ではあるのだが)無理はないのかもしれない。
同じ面々が何度も同様の詐欺を繰り返すパターンを見ていると、詐欺という犯罪には一度犯すとやめられなくなる業のようなものの存在を感じてしまう。ただ本書を読む限り、残念なことに彼らを取締り改心させる役割の司法にもそれだけのスキルも意欲も感じられないどころか、一部の法曹人は彼らに取り込まれてさえいる始末だ。
地面師詐欺という犯罪に対して、我々の社会があまりにも無防備な姿を晒している事態に慄然とするばかりである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
知らない間に、知らない奴らに乗っ取られて、実在する企業に売られてしまう土地。騙される金額も桁違いだし、契約に至るまでに関わる人間も多い。そして、どの階層までが騙された側で、どこから騙した側なのか、分かりにくい構造。地主が葬り去られているケースも。なんとも不気味な、実際の事件。
詐欺というのは、相当労力もかかるし、それを集団でこなそうとすれば、ある種のプロジェクトマネジメントが必要になる。そこには役者もいて、脚本もあり、専門知識も必要だし、業界情報に精通していながら、文書作成能力やリスク回避能力も要する。だかや、それを束ねるスター地面師が生まれる。末端の契約者に端金を払い使いこなし、自らは安全圏へ。振り込め詐欺の構図。詐欺イコール知能犯だから、高度化する程、自らの危険回避とプロジェクトのスケールも極大化でき、身入りも膨らむ。
そうした能力があるなら、別にやりようがある気もするが…。 -
こりゃ面白いわ。先に読んだ「地面師たち」は完全にこの本ベースにしてるだろ。内田マイクとかってカタカナの名前までそっくり。興味深かったのはすぐに土地が転売されてると有耶無耶になってそのまま返ってこなかったりする点だなあ。あと、警察が被害者を犯人とグルだと捉えてあんまり真剣に捜査しないのも面白い。ただやっぱり取材ベースじゃ具体的な手法までわかるわけじゃないし、面白みはフィクションの方が大きいな。
-
3.7
-
日頃ニュースに疎い身としては初めて知った事がたくさんあり、その怖さと危険な香りに惹き付けられた。
-
不動産のことは全く素人ですが面白かったです。
積水ハウスが数十億円も騙されて話題となった海喜館事件などの裏側が、著者の取材と臨場感のある筆致で明らかになっています。地主のふりをする掃除のおばちゃんや、書類を偽造する専門職人などが次々と登場し、さながらドラマのようです。やはり金額が大きいから、オーシャンズのようにチームで仕事するんですね。
面白いのは、業界ならではの慣例、暗黙のルールです。買い手は圧倒的に下で、土地の所有者が売買の場に出てこなくても文句を言えない。すぐ別の人に買われるからと、ゆっくり考える暇もなく、巨大な金額を動かすよう迫られます。それが詐欺の余白を作ってるのでしょうか。 -
世の中には悪いやつがいるもんだ
-
何十億もの損害があっさりと出るのが面白い
からくりを知りたい
都内などで土地などを意識して見てみようと思った
興味が出たので不動産の入門書を買う
-
逮捕されても、すぐに保釈されたり、そもそも警察が追わないのが、不思議。地面師、やり放題の東京。わりとよく知ってるとこ多く、赤坂、富ヶ谷、成城などなど。
-
なかなか衝撃的な内容。知らんうちに自分の土地が売られれてたとか、あるんだね…
しかも積水ハウスやアパハウスのような大企業も騙されてしまう周到さと法曹界まで巻きこむ悪質さ。弁護士や司法書士と言えども信用できない人がいるということは大きな学びでしたね。