なぜニセコだけが世界リゾートになったのか 「地方創生」「観光立国」の無残な結末 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065218341

作品紹介・あらすじ

地価上昇率6年連続日本一の秘密は何か。
新世界「ニセコ金融資本帝国」に観光消滅の苦境から脱するヒントがある。

富裕層を熟知する著者の知見「ヒトより、カネの動きを見よ!」

ローコスト団体旅行によるインバウンドの隆盛はただの幻想だった。かわりにお金を生むのは、国内に世界屈指のリゾートを作ることだ。平等主義に身も心もとらわれた日本人は、世界のおカネのがどこに向かっているのか、その現実にそろそろ目覚めるべきではないだろうか。
ニセコ歴20年、金融コンサルタントとして富裕層ビジネスを熟知した著者による、新しい地方創生・観光論。バブル崩壊以降、本当にリスクを取ったのは誰だったのか?

感想・レビュー・書評

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  • 1.そういえばいつのまにかよく聞く名前「ニセコ」
    なんで人気になったのだろう思ったので読みました。

    2.富裕層に圧倒的な人気を誇っているニセコはなぜここまで人気になったのか、それは「選択と集中」を実践しているからです。日本人大好きな幕の内弁当作戦とは縁を切り、地域の資源はなんなのか?どうすれば収益に結びつくのか、だれに投資してもらいたいかを考えた結果、このような実績を残しています。このニセコがどのように発展していったのかその様子が書かれています。

    3.外国の資本についてあまり良い印象を持っていませんが、日本人の金融リテラシーならば仕方ないことなのだと思います。「お金と結びつく行為」に集中することができず、前例主義を続けてしまう日本の悪い風潮で育った人たちはニセコの状況をきっと「外国に売りやがって」と怒ります。しかし、それは負け犬の遠吠えにすぎないと感じました。
    ニセコはしっかり戦略を練った上で外資を呼び込んでいます。本書でも、自然環境への関心は外国人の方が高いとも述べています。
    この本が出たのが2020年12月21日なので、まだまだ日本人の土地は海外勢に取られてしまうと思います。

  • ニセコが世界でも有数のスキー場であり、富裕層が流れ着くのかを解説。パウダースノーと言う自然のギフトを武器に、世界から有数のリゾートホテルが集まる。
    すべての人に特化した幕の内弁当の様なやり方は日本でも通用しなくなる。中間層が消滅し、人口が減る日本では、全てに一律のやり方でなく差別化を図らないといけないのは、時代の流れとして仕方ないですね。
    何よりもお金はある所こらしか取れない訳ですし。
    小説の「海が見える家」の富裕層のお客さんの言葉を思い出しました。

  • 世界中から何故ニセコに集中的に投資が行われるのかを、その背景と共に分析した書籍。

    2020年に書き上げている書籍のため、若干データにブランクはあるが、オリンピック中止や北海道新幹線延期を加味しても、ニセコに対する投資は決して衰えていない。それはニセコに対する投資が一時的なものでないことを示す証だろう。

    それがサブタイトルの、「地方創生 観光立国の無残な結末」に集約されている。日本の投資と世界の投資、考え方の違いかもしれない。キラーコンテンツであるパウダースノーをベースに、逐次投資ではなく大規模投資を、短期スパンでなく長期スパンで行うことで、世界の富裕層・超富裕層を呼び込み、その客層が更なる投資を呼び込む好循環を生んでいる。それだけの大型投資は、日本企業では難しいのだろう。

    倶知安町とニセコ町に分かれる行政の弊害や、温暖化によるリスク等はあるものの、まだしばらくこの状況は続きそうだ。出来ればこの投資効果をニセコだけに留まらせず、札幌や道東、知床など、北海道全体に波及させるプランを練るコーディネーターが欲しい。勿体ないし、そのポテンシャルを北海道は持ってると思う。

  • 先日読んだ本(観光系)では、同じニセコについて注目した際に、四季折々値段も様々で様々な種類の外国人観光客に対するターゲティングがうまくいっていると説明があった。
    一方で本書では、一つの集中するべきコンテンツを選択、判断し、幕の内弁当のようにならないように一つのコンテンツを極めることが重要だと述べられていた。
    共通していた部分は、ニセコは超富裕層をしっかりをターゲティングできているという点だ

    さらに観光系の本を読んでいると、経済的な面から観光を捉え、観光を娯楽など楽しいものと考えるよりかは、経済を支える利益を生み出すものと考えていると感じた。

  • ニセコの現在とこれからについてかなり詳しい情報が載せられており、勉強になりました。
    ニセコに住むなら今なのかな、と思わせる内容です。

  • 読みやすくわかりやすい。
    ニセコに特化した部分が少ない、高級ホテルやリゾートの話はよくわかるがニセコならではの部分、伸ばせる部分が少ない。

  • 間違っても、幕の内弁当型の集客をしないこと

  • 庶民には無縁とも言えるニセコの、「今」と「これまで」を学ぶにはとても良い本でした。日本企業はバブルで一度敗北し、ニセコは外資の割合が多くなった。日本企業は観光業で盛り返せるのか。「幕の内弁当」的な展開ではなく、「選択と集中」が必要だというのは心の底から同意である。一方で、しかし世界の富裕層を集めるには、ワールドクラスのホテルやブランド店が必要というのもなるほどと。ハイクラスの観光業について、色々と考えさせられました。

  • パウダースノーという圧倒的なキラーコンテンツを活かした外資主導の開発が超富裕層のターゲットにマッチ
    ホテルコンドミニアムの仕組み
    夏の強化、中間層向け開拓といった幕の内弁当的施策でなく、超富裕層のニーズを満たすことが重要

  • 今までの開発の歴史や今後の計画など、読みやすくスラスラと読破出来ました。

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著者プロフィール

高橋克英:株式会社マリブジャパン代表取締役。1969年岐阜県生まれ。93年慶應義塾大学経済学部卒業。2000年青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了。日本金融学会会員。三菱銀行、シティグループ証券、シティバンクで、おもに銀行クレジットアナリスト、富裕層向け資産運用アドバイザーとして活躍。その後、独立。著書に『銀行ゼロ時代』(朝日新書)、『人生100 年時代の銀行シニアビジネス事例』(近代セールス社)、『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(講談社+α新書)などがある。

「2021年 『地銀消滅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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