中国の歴史12 日本にとって中国とは何か (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065233771

作品紹介・あらすじ

日本にとって、長く圧倒的な超大国であり続けた中国の歴史から、何を学ぶか。6人の研究者が論じる、シリーズ最終巻。
第一章 大自然に立ち向かって(尾形勇)・・・北と南、黄土・砂漠・湖沼など、大きく異なる多様な風土と、人口の変遷から歴史の舞台を見つめ直し、中国史の特質を整理・考察する。
第二章 中国文明論(鶴間和幸)・・・いくつもの「小さな中国」が競合し、「大きな中国」が形成された。食、言葉、服飾などの諸相からみる「多元一体の中華」「アジアの中の中国文明」。
第三章 中国人の歴史意識(上田信)・・・漢族が子どもに最初に教える秩序とは。祖先をめぐるチベット族のタブーとは。歴史をさかのぼることで「中国人」として育つ文化のシステム。
第四章 世界史の中の中国(葛剣雄・大川裕子訳)・・・清朝末期、外部からの圧力に押され、中国は「幻想の天下観」から「現実の世界観」へと転換した。復旦大学歴史学教授が特別寄稿。
第五章 中国史の中の日本(王勇)・・・『漢書』に現れる倭人から、遣唐使の墓誌、明代の倭寇、近代化の手本としての日本まで、豊富な史料から「中国史の内なる日本」光を当てる。
第六章 日本にとって中国とは何か(礪波護)・・・朝貢と畏敬、憧憬と模範、先進と親愛、対等と侮蔑――。常に正負がないまぜとなってきた日本人の中国観を、時間軸に沿って描く。
〔原本:2005年10月、講談社刊〕

感想・レビュー・書評

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  • 中国はなぜ「台湾は中国の一部」と思い込むのか──単なる妄想、それとも戦略?|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
    https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/08/post-99436.php

    「嫌中」であり親中…歴史からわかった、日本人の“対中感情”が複雑な理由(天児 慧) | 現代ビジネス | 講談社(1/8)
    https://gendai.media/articles/-/80715

    『中国の歴史12 日本にとって中国とは何か』(尾形 勇,鶴間 和幸,上田 信,礪波 護,王 勇,葛 剣雄):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000351801

  • シリーズ完結本。サブタイトルから日中の将来のことを予想したが、逆にこれまでの2000年を鳥瞰する内容だった。予想以上に関係が深く東アジア情勢を踏まえたものであったことは、卑弥呼、倭の五王の使節が中国でどういう意味があったのか。日本の文献(日本書紀など)には登場しないが、三国の魏、南朝の宋の歴史にはしっかり登場し、しかも随分詳しく書かれていることは全く知らなかった。そして遣隋使が煬帝に会った際に煬帝が機嫌悪かったのは「日出る処の天子…」よりも、むしろ、数年前に死去した父・文帝と勘違いされていたことではないかとの説明は面白かった。文帝は仏教を大切にする人として聖徳太子が憧憬していた人らしい。中国の歴史を振り返って、秦の時代の中国は面積では今の中国の3割程度、宋代には人口が1億人を突破していたこと、11世紀頃から北と南の人口は大きく濃度が未何へ移動していたことなどは覚えておきたい数字である。倭から日本への国号変更は唐の則天武后に「認められた」ことが大きいとの説明はそれほど日本が中国の権威に従っていたということを意味している。

  • 『中国の歴史12 日本にとって中国とは何か』
    著者:尾形勇(ほか)
    発売日 2021年06月10日
    価格 定価:1,485円(本体1,350円)
    ISBN 978-4-06-523377-1
    通巻番号 2662
    判型 A6
    ページ数 464
    シリーズ 講談社学術文庫
    初出 本書の原本は、2005年11月、小社より刊行されました。
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000351801

    【簡易目次】
    第一章 大自然に立ち向かって――環境・開発・人口の中国史 (尾形勇)
    第二章 中国文明論――その多様性と多元性 (鶴間和幸)
    第三章 中国人の歴史意識 (上田信)
    第四章 世界史の中の中国――中国と世界 (葛剣雄)
    第五章 中国史の中の日本 (王勇)
    第六章 日本にとって中国とは何か (礪波護)
    日中交流史の主要人物略伝
    参考文献
    日中交流史年表
    索引

  • 日本と中国の関わりを、著者それぞれのテーマで論述。話題が幅広く、拾い読みできる感覚。ただオリジナルの出版は10年以上前で、昨今の中国の急激な変化と進展を鑑みれば、折角今文庫本を出すなら、増補内容はもっと分厚くても良かった。反面、731部隊の被害を受けた村の取材等々、当時ならではの内容は、時代のスピードが早い分だけ貴重にも感じた。

  • 「小さな中国」から「大きな中国」へ。

  • シリーズの締め括りとして、全時代を通して中国の国土や歴史がいかに形成されてきたか、世界そして日本との関わりはどのようであったかを示す論考が六編収録されている。共通の文化基盤を持つ一方で、全く異なる価値観を持つ隣国との関係を考えるにあたって、表面的な知識は逆に相互理解を妨げることがあるという指摘は示唆に富むものであると思う。

  •  この本の評価は難しい。内容的には2005年に出版された本をほんの少しお化粧して2021年6月に出版されたもの。この12巻が最後なのでこれで完結。とにかく題名が素晴らしい。「日本にとって中国とは何か」である。6人の歴史学者がそれぞれ分担して数十ページずつ書いているのだが、もう一度全面的に描き直してほしかった。
     ただ、企画が素晴らしいので本屋で手にしてから数日で読み切った。11巻も一緒に買ってあるのでそれも読むことにする。内容は退屈することのない論文なのだが…

  • 「中国」はまた、文化的な概念であり、強烈な民族概念でもある。「中国」とは、通常は漢民族(華夏)文化圏を指し、他の民族は漢民族の文化を受け入れることによってはじめて、その一員となり、居住区も「中国」とみなされる。そのため、「中国」は、地理的な概念と一致しないだけではなく、領土への帰属にも矛盾する場合がある。たとえ辺境であっても、多くの漢民族が居住し、あるいは漢民族の伝統文化がある程度発展していれば、そこは「中国」の一部分であるとみなされた。また、非漢民族が漢民族の文化を受け入れ、ある程度の発展性が認められれば、彼らは漢民族とみなされるし、その居住区も「中国」の一部として認められるのである。

    2021/9/10読了

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/768156

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著者プロフィール

1938年愛媛県生まれ。東京大学文学部東洋史学科卒業。文学博士。東京大学教授、立正大学教授を経て、現在、東京大学名誉教授。著書に『中国古代の「家」と国家』『東アジアの世界帝国(ビジュアル版世界の歴史8)』『中国歴史紀行』ほか。本シリーズ編集委員。

「2021年 『中国の歴史12 日本にとって中国とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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