老虎残夢

著者 :
  • 講談社
3.32
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本棚登録 : 629
感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065245620

作品紹介・あらすじ

第67回 江戸川乱歩賞受賞作。

最侠のヒロイン誕生!
湖上の楼閣で舞い、少女は大人になった。
彼女が求めるのは、復讐か恋か?

各選考委員絶賛!
綾辻行人「論理的に真相を解き明かしていくスタンスにはブレがなく、スリリングな謎解きの演出も◎」
京極夏彦「南宋の密室という蠱惑。武侠小説としての外連。特殊設定ミステリという挑戦。愉しい」


私は愛されていたのだろうか? 
問うべき師が息絶えたのは、圧倒的な密室だった。
碧い目をした武術の達人梁泰隆。その弟子で、決して癒えぬ傷をもつ蒼紫苑。料理上手な泰隆の養女梁恋華。三人慎ましく暮らしていければ、幸せだったのに。雪の降る夜、その平穏な暮らしは打ち破られた。

「館」×「孤島」×「特殊設定」×「百合」!
乱歩賞の逆襲が始まった!

感想・レビュー・書評

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  • 例えば…
    本格ミステリで言う所の、解決編の途中で、「実は…」と新たな証拠を提示されるって、どうなんでしょうね??

  •  館×特殊設定×大河(中華)×クローズドサークル×百合を詰め合わせた本格ミステリー。特殊設定と戦闘シーンははナルトを思わせる描写でワクワクしたし、史実をもとにした大河の要素も面白かったし、特殊設定故のトリックも捻りがあって良かった。。最後の宋がどうなったかというのも皮肉が効いてた。

  • 武侠ミステリー。梁泰隆(碧眼飛虎)の弟子,紫苑。紫苑の恋人,恋華。師父泰隆が湖の楼閣で不審死。武侠の秘技が謎を解く鍵(外功・内功)。事件は解決しても虚しさ残る。
    ※祥纏(商人)文和(海幇)為問(僧)

  •  師の知己である3人の武侠を迎えた翌朝、湖の中の島に建つ八仙楼で師の死体が発見された。楼へ行く唯一の手段である船は島側にあり、密室状態であった八仙楼へ渡ることができたのは卓越した武功の持ち主だけ?! たった一人の弟子・紫苑は師の仇を討つべく、3人の武侠と共に八仙楼で調査を開始する。
     南宋が舞台の武侠小説的ミステリー。


     図書館本。
     何だろう、武侠小説としてはちっともワクワクしない。
     序盤、地の文がずっと説明文のよう。アクションシーンになっても動作の解説ばかりで、武術らしい空気が感じられない。専門用語の解説のためもあるとはいえ、これはちょっと……。3人の武侠を迎えてからは読みやすくなるんだけど。
     武侠小説を設定に持ち込んだのが、内功や軽功といった特殊設定や江湖の掟を持ち込むためだけなのも寂しすぎる。死体発見以降、登場人物たちは八仙楼にカンヅメ状態になり、アクションシーンはほとんど無い。坊さんが湖にぶち込まれた程度かな。匕首を受け止めたりもするけど、物足りないし。
     無茶な要望ではあるが、武侠小説としての楽しさも追求して欲しかった。

     デビュー作ということで、難点も多い。
     まず、湖の形状が分かりにくい。弓張月とか扇形に近いらしいが、説明を読んでも全くピンと来ない。
    『矢をつがえる弦の部分から矢の本体までの一番長い距離で、半里強はある。』
     弦から矢の本体まで??? 半径なのか? そもそも矢の本体って何なのだろう。矢じり? 矢柄?

     そして、武侠小説にありがちな人間離れした技の数々。どの程度のことができるのか、詳しくない者にはサッパリわからない。
     一応、武侠たちの口から解説はあるが、これは可能でこれは不可能という条件が厳密に呈示されたわけではない。
     元々物理法則なんぞ無視した技だし、何をどこまで可能かなんて知らんがな。

     宋代の知識がある程度無いと話がよくわからないのも難。
     文中でよく解説してくれてはいるのだが、宋と言われて連想できるのが日宋貿易しかない私にはツラかった。人名も宋代ではテムジンくらいしか分からず、注釈のようなものが欲しかった。

     更に、3人を迎えての宴会から死体発見の辺りで、真相に薄々見当がついてしまう。論理的な推理など抜きで。
     登場人物の言動や雰囲気等の描写で、なんか胡散臭いな、不自然だな、と感じてしまうんだものなあ。

     デビューしたばかりなので今後に期待、と行きたいところだが、乱歩賞選評や作者のプロフィールからすると、武侠小説にさほどの思い入れは無さそうな感じ。
     武侠ミステリー作家としての躍進は期待しない方がいいのかな……?

  • 2.5

  • 面白かったです!
    特殊設定もわかりやすく、すんなり世界に入れました。
    ただ、百合である意味はあったのかな?
    いや、恋華ちゃんかわいかったけども。

  • 江戸川乱歩賞受賞作。南宋を舞台にした時代小説であり、女性武道家と師匠との物語であり、密室系ミステリーでもある。
    「内功」「外功」。言葉だけ知ってた!太極拳にもあるやつ!と嬉しくなる。「内功」を極めつつあるヒロインの格闘シーンがかっこいい。それぞれの武器や戦い方の現実と妄想のハザマ感がとてもよい。水の上を滑るように歩くロマン。

    結末がよめるところはあるけれど、後半の怒涛の展開がスリリング。密室の謎ときに収斂されると見せかけて、壮大な歴史が浮かびあがる。派手で楽しいエンタメ小説。

  • 面白すぎる。
    ミステリーと武侠モノと歴史とアクションが綺麗に融合して次々に面白い部分が出てくる。
    読後感も爽やかで泣いてしまいました。

  • ミステリーは読みにくいと思ってたけど、この本はすらすら読めた。登場人物みんな魅力的だった。愛が絶望とか憎しみとかにつながってしまうのが苦しかった。でも、憎しみを乗り越えて愛に戻ってきたのが良かった。最後は人によって解釈が異なるだろうが、愛で終わったのだと思ってる。因縁から抜け出して、紫苑と恋華は仲睦まじく暮らしたのだと思う。

  • 第67回江戸川乱歩賞作品。武俠小説×ミステリということで話題になった1冊。特殊設定を謳っているがそれは外枠だけでストーリーの骨格はよくあるパターンでサクサクと読める。師匠と弟子の関係や許されない恋といった手垢のついたプロットに武俠という奇抜さを盛り込むことで上手くエンタメ度が高められている。しかし本格ミステリとしては「まあそうだろうな」という内容でちょっと厳しい面も。ただ実際の中国史を活用する所なんかはなるほど、と思う面も多々あった。個人的には武俠バトルと百合要素はいらなかったかも。

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著者プロフィール

1980年、京都府生まれ。帝塚山大学大学院法政策研究科世界経済法制専攻修了。南宋を舞台にした武侠小説『老虎残夢』で第67回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。筆名は、敬愛するアメリカの伝説的ギタリスト、フランク・ザッパからとった。

「2023年 『星くずの殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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