なれのはて

  • 講談社
4.22
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065331439

感想・レビュー・書評

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  • 重たいテーマの小説だが、不思議とすんなり読めてしまう。確固たる文章力に裏打ちされた流れるような描写は、時間の経つのも忘れさせてしまうほど。
    1枚の絵だけで展覧会を企画することから、著作権問題に繋がり、ひいては秋田の石油会社にまつわる悲劇へと話は紡がれていく。
    この作者の小説は初めて読んだが、他の作品も読んでみたいと感じた。

  • 面白い上に勉強になる!

  • テレビ局に勤める守谷は、とある事情で報道局からイベント事業部に左遷された。腐る守谷の指導役に立候補した吾妻は、祖母の遺品だという1枚の絵を見せる。まったく無名の画家の、たった1枚の絵の展覧会を開くため、2人は調査を開始するが……。
    つかみはオッケー、マハさんばりの美術絡みのミステリーかと期待して読み進めるが、どうも様子が違う。本筋とは別に挿入される関係者のエピソードにリズムを乱される。本筋もあちこち飛び火するけど尻切れトンボでメインのストーリーがぼやけてしまう。
    力作だけれど、ちょっと残念な出来だった。

  • なれのはて、、、とは、何だろう⁈と思いながら読み進め、ラスト涙。アイドルが書いたとは思えないほど、深いストーリー。

  • 報道局からイベント部へ左遷された守谷と後輩の吾妻が一枚の絵画で展覧会をしようと企画することから物語が始まる。その絵画を追ううちに秋田の猪俣家を取り巻く事件について調べるようになり真相を究明していく。初めて加藤シゲアキの本を読んだけど期待以上に面白かった。アイドルだから大したことないと思ってたけど時代背景とか人間関係とかしっかり描かれていて読み応えあった。タイトルのなれのはてがこの物語のキーとなる石油から取られているんだろうけど生物が行き着く先が石油でそれに振り回されるように猪俣家の人間も変化していく様が面白かった。

  • 加藤シゲアキさんの作品は初めて読んだ!
    アイドル、芸能人の作品というバイアスを抜きにして素晴らしい、そして重厚な作品。

    書き上げるまでに、著者が秋田の歴史、油田、自閉症、女中等を読み上げている。参考文献欄を見て脱帽した。

    JBCの社員である守谷京斗が、報道からイベント事業に左遷異動させられ、異動先で出会った吾妻李久美と、彼女の祖母の遺品イサムイノマタの1枚の絵を通じて、2人で彼の半生を追っていく。また最後に辿り着く真実。

    ぜひ読んでみて欲しい。
    また、ぜひ映画化して欲しいと切に願う。

    改めて読書の奥深さと著者のタレント性を発見出来た。自作にも自然と期待してしまう。

  • 謎の解明・伏線回収が上手く、読み飽きずに時代毎の主観にしっかり入り込んで行かせてくれる必読の一冊と感じます。

  • 全てを読み終わって、本を閉じた後にさらに感動しました。だからこの表紙なのか!と。

  • 近年の加藤シゲアキ氏の著作の、圧倒的知識量で揺さぶられるこの感じ、読んでてぞくぞくするんだよな〜! アイドルとしてではなく一人の作家として向き合いたいのはもちろんなんだけど、それでもこれだけの内容を「アイドル業をやりながら」書き上げたのは本当に信じられない。小説を書くことそのものだけでなく、下調べにもすさまじい時間を要したはずだ。そうした情報収集に一切妥協しない姿勢が作品から感じられた。
    アイドルという職業にありながらこうしたテーマ(具体的な内容を挙げるとネタバレになりそうだからぼかすね)を扱うのは勇気がいっただろうと思う。それでも書いた理由は、きっとものすごく書きたかったからなんじゃないかな。わかんないけど。
    複雑に絡み合った過去が徐々に紐解かれていく過程はもちろんのこと、終盤の怒涛の畳みかけはもう、読みながら「すご〜!!」って叫び出しそうなくらいだった。濃密というのとも違う、もっと濁ってどろどろしたもの、強烈な臭気を放って全身にねっとりまとわりついて、洗っても全然落ちない感じ。きれいなものをきれいに描くよりよっぽど難しいと思う。そのどろどろが喉から入ってきて、胸の底にずしっと居座るような作品だった。

    【読んだ目的・理由】加藤シゲアキ氏の著書は読むしかない!
    【入手経路】買った
    【詳細評価】☆4.3
    【一番好きな表現】「全部自分でやると、失敗しても誰かのせいにしないでしょう。それがいいんだよ。自分で責任を取るというのは、実はすごく楽なことなんだ」(本文から引用)

    • はるさん
      私も、すごいすごいって思いながら読みました❗
      私も、すごいすごいって思いながら読みました❗
      2024/02/09
  • 読書記録75.
    #なれのはて
    #加藤シゲアキ 著
    2023年読み納めの一冊

    一枚の絵から始まる物語
    家族、戦争
    復興と経済成長の時代
    資源と利益性
    原爆と空襲そして終戦

    組織に属する物としての
    忖度と正義

    絵から始まる展開が広くて深い

    著者の生まれた場所やご家族に関わりのあるという地方がこの作品への大きな原動力となっていると聞き納得

    あと一日違えば…
    伏線が後半繋がり、現代パートにも活きてくる

    鉱山、石油、暗闇の採掘場や資源そこで生きる男と女に関わる作品をいくつか読んだのも2023年の傾向だったのかな?

    2023年の読了本は75冊

    じっくり深く時間をかけて読む事が多いのでたくさんは読めませんが

    読了後、暫く心を持って行かれる作品が多く、関連する本を探して読む事も楽しみとなっています

    2024年も自分のアンテナをしっかりと張り、心の雛を深く柔らかく、そして何よりも楽しめる読書時間を大切にしたいと思います

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著者プロフィール

1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。NEWS のメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。以降『閃光スクランブル』、『Burn.-バーン-』、『傘をもたない蟻たちは』、『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』 とヒット作を生み出し続ける。2020年刊行の『オルタネート』で、21年に第164回直木三十五賞候補、第42回吉川英治文学新人賞受賞、第18回本屋大賞第8位、第8回高校生直木賞受賞。アイドルと作家の両立が話題を呼んでいる。

「2022年 『1と0と加藤シゲアキ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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