- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065331439
感想・レビュー・書評
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まずは
加藤シゲアキやるやん!
という率直な上から目線の感想。
柔らかく落ち着いた文章が心地よくて
すっと世界観に入って行けた
テンポも良くて
小説だなっていうご都合主義や奇跡の連続に
ファンタジー感はあるけど
リアリティもそれなりで。
登場人物が多くて関係性が複雑で
情報処理大変な部分もあったけど。
しっかり小説やったなと。
ただ直木賞を逃したのは…
まだまだ人間の心の機微の描写、思考回路のリアリティが必要なのかなと。
物語としてのキメの細かさ
『それらしさ』『それなり』の域を出なかったのかなと。
それこそ絵と同じで
どこの色合い、どこの部分を取って見ても
丁寧さや、きめの細かさ、表現力や
その底に潜んで主張はしない構想や骨組み、思い
それを包みこんでバランスよくまとめる技術
そういうのが芸術としての重みや深み、
余韻を生むのかなと。
この小説を読んで構成や発想は面白いのに感じた
物足りなさを考えると、そうなのかなと。
とはいえ面白くて結局、1日で読了!
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一気に物語の世界に引き込まれた。面白すぎるミステリー。戦争の話や現代社会の問題、考えさせられた。正しさは振りかざすだけの矛ではやなく、他者を守るための矛でもある。映像化しそう。観たい。
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前作『オルタネート』から3年ぶり。満を持して上梓された勝負作を読んでみた。
著者の熱量のようなものが読んでいてひしひしと感じられ、相当気合が入った作品だということはよく分かった。書いてあることはちゃんと伝わるし、一枚の絵からある一族の過去を追っていくという設定も面白い。
特筆すべきは過去パートのリアルさで、登場人物はみな魅力的で、ぶつかり合いや息遣いが聞こえてくるようで大いに楽しめた。
一方で現代パートについては、悪いわけではないんだけど気になるところもいくつか。
まず主人公はそれなりの屈託をかかえているものの、普段は低体温の人物として描かれているため、感情の起伏があまり感じられず、いち読者として感情移入しにくかったように思う。
また、たぶんすべての読者に誤読が無いようにとの配慮だと思うけど、非常に細かい部分まで描写されているのも特徴的。なんだけど個人的にはちょっとToo Muchで、情景や心情を想像する余地が狭まっているようにも感じられた。自分が担当編集者だったら色々赤を入れて直したくなりそう。過去パートではそんなに気にならなかったんだけどな。
それ以外にも報道局内で起きた事件の安易さや、かつての戦争についての解釈など、物足りないと感じる部分はいくつかあったんだけど、やっぱりこのボリュームと熱量は率直に評価したいと思った。 -
秋田が舞台。土崎空襲の悲劇的な時代を背景に人間関係が絡まってもつれて現代まで繋がります。重厚で読み応えがありました。秋田弁もいいです。想像しながら読めます。ラストがぐっときました。
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自分にとっての正義は、誰かにとっての悪かもしれない。悲しみが怪物を産み、やがてそれが連鎖するように"血"となり"油"となり流れていく。
戦争、生と死、正義、愛について考えさせられる夢中になれる物語だった……。
様々な伏線が絵の真相に近づくにつれて回収されていく気持ちよさ。
人間の根本にある誰もが隠したい醜さも不器用さもさらけ出すように描かれていて物語に惹き込まれた。 -
無名の画家、一枚の絵の正体を辿る壮大な物語。次々明かされる壮絶な真相と、その「なれのはて」に心が震える。作家・加藤シゲアキによるこの大作を色眼鏡で見ることなく正面から受け止めて欲しい。
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報道とは何か、イベント企画とは何かがテーマかと最初思ったが、1枚の絵、イサムイノマタの少年の絵から広がっていく秋田の猪俣家の闇にまた深い愛に、あるいは無垢なる魂に心震えた。最後の場面感動ものです。
直木賞、これで取れなかったのが残念です。