なれのはて

  • 講談社
4.22
  • (240)
  • (245)
  • (79)
  • (10)
  • (4)
本棚登録 : 3756
感想 : 261
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065331439

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 全ての謎が解き明かされ、結末に辿り着いたとき、
    思わず泣いてしまった。

    たった一枚の無名画家の絵から織り成される物語。
    そこから広がる時代背景、人間模様、生きていく意味。

    どんどん謎が解けていき、終盤はもう涙を堪えられなかった。

    何が悪いのか
    戦争なのか
    変わっていく人なのか

    “なれのはて”という題名も何もかも、加藤シゲアキは天才だ。

    また、“テレビ局の報道部”を持って表しているここ最近の暴露騒動にも異議を唱えているであろうと思えるところがあり、考えさせられた。

    この作品を読めてよかった。
    本当に心から思える本だった。

  • 会話の所々が古臭く感じられたけど、それ以外はとても面白かった。
    物語も絵の謎もいい方向に二転三転して、ラストは読了感が素晴らしい。
    ちょっと泣きそうになってしまった。
    こんな作品でも直木賞取れないのかぁ。
    万城目さんの受賞作品も読んであの作品も良かったけど、自分が審査員だったらこちらに票を入れるなぁ。

  • 作品のスケールの大きさや、歴史、あらゆる点ですごく細かく情報収集されて書いたんだろうなと推測できた。アイドルなのに、いつ書く時間があったんだろって。
    ただ登場人物が多くて、混乱した。

  • 加藤さんの本は「オルタネート」と「なれのはて」の2作しか読んでいませんが。前回作品も今回の作品も直木賞候補に選ばれています。オルタネートは6年前になりますが高校生限定のマッチングアプリを軸に描かれた青春群像劇だったのに対して、今回は1枚の絵にまつわる戦争渦におけるある一族の光と陰を書ききった重厚な物語でした。同じ作者かと思うほど、内容も読みやすさも格段に進化しているし土崎空襲に関しても良く研究していて、ただただ感服いたしました。2024年度最初の読書本として申し分ない作品でした。直木賞、十分狙える作品だと思いました。

  • 直木賞候補ノミネートおめでとうございます!

    有名人だから売れている、と思っていたけど全然違いました!!

    考えさせられる内容で、発想力で文章力で読んでいて久しぶりに『すごい!』と思う本でした。
    さすが!!と思える作家さんです。

  • 「とても大きなものを読んだ。」
    と、これほど明確に感じた小説は初めてだ。
    この本の凄みは「質量」である。読後に、いま手にしているものがこんなに小さかったかと思ってしまうほどの、物語の圧倒的な質量である。

    構想3年、二万字に及ぶプロット、頁数464、時代は大正から昭和、そして令和……この物語の規模を表す宣伝文句はたくさんある。けれど、これの「質量」というのは、もはやそういうことではない。概念である。敢えて言えば卓越した描写力と、端々から滲む並々ならぬ意気込み。本当にもどかしいが、この大きさを伝える術は「読んでください」と言うほかない。

    圧倒的に鮮明な描写力がまた数段腕を上げ(かつ時代ごとの彩度の調節までされており)、今回はその鮮やかさが人のやるせなさや業、狂気、恐ろしさに見事に作用したと思う。濃密な世界観・情報量・語彙にもとにかく圧倒されるばかり。徹底した描き尽くしにより、年々消えゆく悲しみの記憶や証言をフィクションという形で記録することの意味と覚悟がひしひしと伝わってくる。
    「1枚の絵の謎を追うミステリー」にあたり、物語全体が芸術の力と人の力(狂気を起こす力や真実を見定める力)を訴えるうえで絶大な説得力となっているし、ゆえに、芸術(物語)だからこそ社会の中で、人と人との間で、決して二極化できない問いについて心に届けられるはずだという、本書そしてエンタメの意義そのものも同時に問うているように感じた。

    「生きるために描く。それが、誰かの生きる意味になる。」
    読み終えてみると、『なれのはて』のこのキャッチコピーが、震えるほど的確であることが分かる。たった一つの作品に、得体の知れない衝撃を受けて世界が違って見えてくる、確信がうまれるというような、そんな吾妻が言うような感覚に自分も覚えがある。人が人生を投じるほどの熱を、作品は残し伝えることが出来る。

    全部読まなきゃ語れない。そして読んだら徹底的に語りたくなる。

  • あらすじ
    テレビ局の報道部から訳あってイベント事業部に異動した主人公の守谷は、新しく一緒に仕事をすることになった同僚の吾妻と行動を共にする。
    ある日、吾妻は祖母が持っている1枚の絵の展覧会を開催するという企画を提案する。しかし企画を実現する為には著作権者の合意といった厄介な問題を解決し、保守的で頑固な部長からの承認を得る必要がある。2人は著作権者からの合意を得る為に、絵に書いてある唯一の手がかりである「ISAMU INOMATA」のサインから調査を始める。しかし調査を進めていく内に2人の身に思わぬアクシデントが起きたり、絵に関する驚愕の真実が明らかになって行く…

    今回、加藤シゲアキさんの著書を初めて読ませて頂きました。
    帯メッセージで面白そうだと思い手に取ったのですが、思ったよりも大ボリュームで始めは読み切れるか不安でした。
    秋田弁が登場するシーンでは読むのに少し時間がかかることもありましたが、物語進行のテンポの良さや、謎が少しずつ明らかになっていく展開に、ページをめくる手が終始スムーズに動きました。
    ページ数がとても多い為、これから読む人はドラマの様に8回(全8章だから)に分けて1日1回読むという楽しみ方も良いと思います。

  • 初めて加藤シゲアキさんの本を読みました。
    今までアイドルの人が書いた本ということだけで読む気がしなかったので‥‥
    ごめんなさい!
    とっても良かったです。
    感動しました。

  • 好みかそうでないかと問われれば好みではないのだけどこれだけの壮大な物語。欲を言えば相関図みたいなのを巻頭につけて欲しかった…それくらい迷子になってしまうので読み進めるのに時間かかった

  • 1枚の絵を通し謎が解き明かされ、時代を超えて人々が繋がっていく様など、間違いなく素晴らしい作品でした。ラストは感動で、数日間余韻が冷めない状態でした。久しぶりに満足感のある本に出会えたと思っています。

全261件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。NEWS のメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。以降『閃光スクランブル』、『Burn.-バーン-』、『傘をもたない蟻たちは』、『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』 とヒット作を生み出し続ける。2020年刊行の『オルタネート』で、21年に第164回直木三十五賞候補、第42回吉川英治文学新人賞受賞、第18回本屋大賞第8位、第8回高校生直木賞受賞。アイドルと作家の両立が話題を呼んでいる。

「2022年 『1と0と加藤シゲアキ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加藤シゲアキの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×