なれのはて

  • 講談社
4.22
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065331439

感想・レビュー・書評

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    一枚の不思議な「絵」の謎を追い、令和から昭和、大正へ。日本最後の空襲といわれる秋田·土崎空襲。戦争が引き起こした家族の亀裂は、現代を生きる人びとにも影を落としていた。ある事件をきっかけに報道局からイベント事業部に異動することになったテレビ局員·守谷京斗(もりやきょうと)は、異動先で出会った吾妻李久美(あづまりくみ)から、祖母に譲り受けた作者不明の不思議な絵を使って「たった一枚の展覧会」を企画したいと相談を受ける。しかし、絵の裏には「ISAMU INOMATA」と署名があるだけで画家の素性は一切わからない。二人が謎の画家の正体を探り始めると、秋田のある一族が、暗い水の中に沈めた業に繋がっていた。1945年8月15日未明の秋田・土崎空襲。芸術が招いた、意図しない悲劇。暴走した正義と、取り返しのつかない後悔。長年秘められてきた真実は、一枚の「絵」のミステリから始まっていた。戦争、家族、仕事、芸術……すべてを詰め込んだ作家·加藤シゲアキ「第二章」のスタートを彩る集大成的作品。「死んだら、なにかの熱になれる。すべての生き物のなれのはてだ」
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    母の故郷の秋田について調べたことから日本最後の空襲があったことを知り、それとパブリックドメインを関連づけてここまで書けるとは。
    そして直木賞候補に。
    本気出しちゃいましたね。
    他の候補作は読んでいないので分かりませんが、取れたら嬉しい。
    もうアイドルが・・・って言うのは忘れてもらいたい。

  • 本当に素晴らしかった!!
    オタクの贔屓目と思われてもしかたないけど、ここにきてこれぞ加藤シゲアキの新骨頂だと思った。
    1枚の絵から目まぐるしく展開していって、辛い戦争の描写や戦争によって狂っていった兄弟、恋人等胸を痛める場面も多いが、救いのある結末で暖かい読後感……
    読んでよかった!と思える小説だった。
    戦争=してはいけないもの
    それだけではなくて、色々な局面から戦争によって人生を狂わされた人々がいたことを思い知らされた。

    シゲのどこにこんな大作を書く時間があるの!?
    本当に謎
    どこまでも尊敬しています泣

  • Kindleで読んだ。
    テレビ局員・守谷京斗は、同僚の吾妻李久美から祖母の遺品である絵を使って「たった一枚の展覧会」を企画したいと相談され、絵を描いた謎の画家の正体を探り始める。すると、秋田のある一族が暗い水の中に沈めた業に繫がり…。

    気づけば夢中で読んでいた。
    「手に水芭蕉を持った少年の絵」。
    誰しもが胸を衝かれる作品、裏には“ISAMU INOMATA”のサインが。
    “どんな人物なのか、どんな人生を歩んできたのか、なぜ絵を描くに至ったか──。”

    秋田の土崎空襲のことを恥ずかしながら初めて知った。
    秋田に油田があることも。
    石油会社の創業一族と空襲。
    あと一日早く戦争が終われば、全然違う未来があったのに。
    読みながら答え合わせをしていくのがとても面白かった。

  • 加藤君の作品を読むのは4作目だが、「ピンクとグレー」や「傘をもたない蟻たちは」は私の評価は低くもういいやと思ってたが、「オルタネート」で見直し、そしてこの作品ではたまげた。いや、素晴らしく重厚なミステリー。戦争や秋田の油田に関してもすごく書き込まれ、また主人公のテレビ局の仕事に関しても、しっかり書き込まれ、薄っぺらいところが全くない。素晴らしい!

  • もともと、NEWSのファンで読んでいるのも理由だけど、読書好きとしても毎回楽しみなシゲの新作。
    1枚の絵を通して明かされている真実。絵に関わる人々の人生。世の中の情勢。時代の変化。そんな内容がうま組み込まれているなと思った小説でした。

  • 重厚感のある作品。
    NEWSの加藤シゲアキというイメージで手に取ったから余計に驚きが大きかった!!
    1枚の絵の謎を追うミステリー風の現代パートと、戦争や戦後日本の影を描く社会派風の過去パートが、終盤には絡み合い重いテーマながら読みやすさもある作品でした!

  • 物語の前半は、少し読みづらく感じました。
    文字も専門的な用語が多く、登場人物の関係性も理解するのに少し時間がかかりました。
    しかし、後半は読むスピードが止まらないほど面白かったです。

  • いい作品でした。
    一枚の絵からわかってくる秋田県のある一族の壮絶な過去、少しづつわかってくる真実に引き込まれ読むことをやめられなかった。

  • 勤務先のテレビ局報道局にはびこる不正を正そうとするが、権力に屈し同社イベント事業部に異動することになった守谷と、そこで出会った吾妻。彼女は祖母から譲り受け心酔する作者不明の不思議な古い絵を使って「たった一枚の展覧会」を実施しようと試みるが、許可を得ようにも作者も権利継承者もわからない。手がかりは絵の裏に書かれた「イサム・イノマタ」の署名だけ。
    守谷は元記者としての知見を活かし、謎の画家の正体を探り始めるが、秋田のある一族が闇に葬ろうとした秘密に繋がっていることがわかる。

    時は1945年終戦直前、秋田・土崎空襲により、愛する人が犠牲になることに心を傷めた若者がいた。
    それが引き金となり、物語は意図しない方向に展開し悲劇は続く。
    暴走した正義と、取り返しのつかない後悔。長年秘められてきた真実は、一枚の「絵」のミステリから始まっていた。
    戦争は、こうも家族や仕事を狂わせるのかと考えさせる重いテーマで、単純に理解すべきではないと思いながら読み進めた。
    最後は予想通りだとは言え、感動するシーンだった。

    死んだら、なにかの熱になれる。すべての生き物の成れの果てだ

  • ザ.エンタメ!と思いきや登場人物一人一人の背景や心理描写が丁寧に書かれていました。人物像が分かりやすく、映画を見ているようです。更に社会問題にも触れており、読み終わってからも余韻が凄い、考えさせられる一冊だなと思います。登場人物全員が魅力的です!

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著者プロフィール

1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。NEWS のメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。以降『閃光スクランブル』、『Burn.-バーン-』、『傘をもたない蟻たちは』、『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』 とヒット作を生み出し続ける。2020年刊行の『オルタネート』で、21年に第164回直木三十五賞候補、第42回吉川英治文学新人賞受賞、第18回本屋大賞第8位、第8回高校生直木賞受賞。アイドルと作家の両立が話題を呼んでいる。

「2022年 『1と0と加藤シゲアキ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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