ホンモノの思考力 ―口ぐせで鍛える論理の技術 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087202007

感想・レビュー・書評

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  • 本書では思考力を身につける方法として
    「二項対立思考」「型思考」「背伸び思考」
    を挙げています。ちなみにサブタイトルの「口ぐせで鍛える論理の技術」とは「型思考」のこと。


    ロジカルシンキングを鍛えるための内容ですが、通常のロジカル本とは少し違った切り口で解説しているのが本書のいいところ。
    練習問題が掲載されているのもいいですね。


    ただ他の方のレビューにもあるように、タイトルのわりには少しテクニックに走っている感も否めません。

    「外面を磨くことによって内面も磨かれる」という本書の記述に納得いかない方は、本書のタイトルと内容の差異に違和感を感じるかも…。


    ただし、個人的には文句なしの星5つです!


    備忘録
    ◆「型」を守ると、没個性になってしまうと思われがちだが、むしろ逆である。
    ◆問題発見能力とは、ノーということ。現状にノーをつきつけることによって新しい展望が見えてくる。
    ◆「受け入り」を否定するなかれ
    そもそも思考法をいくら知っていても、知識がなければ深く思考することはできない。他人の思考を知り、それを知識として蓄えるうちに、自分なりに分析できるようになる。そのためにも、他人の考えを受け売りして人前でしゃべるというのは、実は大事な期間なのだ。

    ◆外面を磨く事を否定して内面のみを磨くように教えるということは、単に抽象的な精神論の説教にしかならない。内面を充実させようと思うのなら、具体的には外面を磨くしかないはずだ。外面を磨く事によって内面が充実してくる。したがって、内面を磨く事を教えるのなら、その具体的方法として、外面を磨く方法を教えるべきなのだ。

  • 作者の主張する「二項対立」って
    「白か黒か」ってことかな?

    東洋的思想、禅などの
    「対象と一体化」は
    ダメと言っている。

    なぜなら、それは、
    「自己主張なし」
    「分析なし」
    「判断なし」
    となってしまうから。

    議論には、以下のように
    便利な「言い方のパターン」を使う。

    ①私は~と考えます。
    ②確かに××(反対意見)はそうだと思いますが、しかし~
    ③なぜなら(根拠)~だから
    ④このようなわけで~です。

    自分が望めば「白組」でも「黒組」でも
    どっちにもなって議論できる。
    つまり、本当にそう思っていなくても発言することができる。

    手法としては便利だけど。
    これで議論が深まっていくのならいいけれど。

  • 日本人は論理性が不足している。その原因は「二項対立」「型」「背伸び」がそれぞれ足りていないせいだ。

    フランス人がやたら使用する「理由は三つある」などという言葉から日本人には論理性の「型」が必要だと著者は断言している。日本の教育界では「型」を使う事で考えが均一になり個性を壊す事になると嫌われてきたのだが、そういった流れから発生した押し付けの自由は本嫌いや作文嫌いを大量生産しただけだった。著者のいう「型」とは出発点としての組み立ての基準となるものであり固定観念を植え付ける類いのものではない。

    この意見に多いに賛同する。時として自由は人を縛りつける。それよりも「型」を与え作られたものから「型」を取りそこに残ったものを個性と評価するべきだと思う。

    この「型」を使い論理的に意見を述べるためには前半で書かれている「二項対立」が必要になる。「二項対立」とはイエスとノー、プラスとマイナス、顕在と潜在といったように物事の相反する二つの側面の事だ。あらゆる事柄は対立する「二項対立」の間にある。この「二項対立」を日本人は長い間苦手としてきた。それは禅の精神にそったもので生と死、自分と他者、イエスとノーをはっきりとは区別せず肯定と否定を区別しない。悪いとは言わないがこれでは他人と同じような意見を持つばかりで自己主張もできない。それよりも一つのものさしとして「二項対立」を意識しておく事で論理的に考えられるようになるだろう。

    最終章の『背伸び」の部分はおまけのようなものと思っている。おそらくフランス式に三つと言ってみたかっただけではないか。などと言っては筆者に怒られそうだが。

    最後に、この本に書かれている「型」はこれを使わなければ論理的な思考ができないわけではないし使用する「型」も全く同じものである必要はない。ここで用意されている「型」よりも優れた「型」を持っている場合はそれを使えばいいのだが、そのような人には本書は不要とも言える。そうでない我々は技術的な訓練として「型」を空で言える程度には練習する必要があるだろう。

    思考するというのは、言い換えれば自己主張するということだ。人として生まれてきたからには多いに主張していきたい。

  • 「論理的に考えるための初歩=型にはめる」


    論理の型となる言い回しや表現を集めた内容。


    メモのポイント、論述のポイントはなるほど使えそうである。

  • 分かりやすい。
    思考力という難しい題材に対し、考える「型」で分かり易く説明した本。二項対立という、二つの視点で考えるテクニックはあまり考え方に対して確固たるものを持っていない自身にとっては目からウロコ。親戚の中高生にも薦めたい本です。

  • 私はーーーと考える
    確かにーーーしかしーーー
    なぜなら
    このようなわけで

  • おもしろい本でした。

    知ったかをすることはある意味でいいことなんですね。

  • さらりと読めた。が、全体的にあまりしっくりとは来なかった…。口癖で論理の技術を磨く、というのは面白いと思った。あと、感動で終わる人はそこで思考が止まってしまうという指摘には、なるほどなと思った。

  • この本はいい!
    日本人と西洋人の考え方の違いがスゴク分かりやすく書かれています。
    それが正しいかどうかをさておいても、考え方の道筋をつけるには、とても役に立つ本です。
    年齢を重ねる前に読むことをオススメします。
    できることなら、この本を読む前後でヨーロッパに行って、体験学習もしたい!
    新書サイズなのに、内容がハードカバー分。余裕で元が取れます!

    論理展開を基軸にしたプレゼンを作るなら、ベースにしたい貴重な一冊です!

  • 二項対立


    メモの型 3WHAT3W1H
    3WHAT
    定義 そもそも~とは
    現象 今、起こっているのは、問題になっているのは
    結果 このままで行くと

    3W1H
    理由・根拠
    歴史的状況 かつては
    地理的状況 他の国、地域、組織
    対策 どうすれば改善


    論述の型

    背伸び
    転用

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著者プロフィール

樋口 裕一(ヒグチ ユウイチ)
作家、小論文専門塾「白藍塾」塾長、多摩大学名誉教授
作家、小論文専門塾「白藍塾」主宰、多摩大学名誉教授
1951年大分県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。多摩大学名誉教授。小学生から社会人までを対象にした通信添削による作文・小論文の専門塾「白藍塾」塾長。
著書に250万部のベストセラーになった『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP新書)のほか、『小論文これだけ!』(東洋経済新報社)、『読むだけ小論文』(学研)、『ぶっつけ小論文』(文英堂)、『ホンモノの文章力』(集英社新書)、『人の心を動かす文章術』(草思社)、『音楽で人は輝く』(集英社新書)、『65歳 何もしない勇気』(幻冬舎)など多数。

「2022年 『小論文これだけ! 人文・文化・思想・芸術・歴史 深掘り編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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