- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087204841
感想・レビュー・書評
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入門用
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入門編としてとても良い。現代アートという活動を理解し楽しむにあたり、色々な人にオススメしたい本。
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現代アートの数点の作品を事例に出しながら、その作品の背景も含めた鑑賞法について、初心者に寄り添った形で書いてくれている本
このレビューでも紹介した13歳からのアート思考とも重複する作品を紹介してくれていて、そう言った意味でも現代アートへの理解がさらに深まる
作品との対話を始め、背景を知っていた方が理解ができる作品もあれば、感性で見る作品もあり、裾が広い現代アートを網羅的に理解できる1冊になっている -
【概略】
「現代アートは、わからない」という印象、その印象を本書では12名のアーティストによる作品を通じて、「向き合い方(「わからない」という意見も含む)」に対するヒントを与えてくれる。
2021年07月17日 読了
【書評】
「13歳からのアート思考」を読んで、「アート思考」そのものの楽しさと実社会での重要性はわかったものの、現代アートに対しては、やはりちょっと及び腰。疲れるのだよね、能動的にキャッチしにいかないといけないから。それに比べると昔の絵画(セザンヌあたりまで?)は、楽なのよ。だって対象物がすごくハッキリしてるから。受け身でいいもん。
やっぱりこの能動・受動って部分が美術とアートの境目であり、アートはもはや哲学の領域に達してるなと思ったところ。哲学というか、「美」という概念ではなく、どんな方向であれマインドを揺さぶることの総称がアートなのだなと。そういう意味では、絵画鑑賞とアートはもう、別物だ。ホキ美術館にある写実絵画も存在していいし、美しいと感じていいし、なんか意味のわかんない塊から人生の在り方を感じたっていい訳だ。後者は、モチベーションが必要になるのだよ。美術とアートを同じ土俵で見ようとしてたから、サインが描かれた便器や幾何学模様に対して「なんじゃこりゃ」になるよね。
・・・と、ここまでは哲学といえども、どちらかというと論理性の高い感じでの語り。本書ですごく興味深かったのは、意味のわかんないような抽象的な作品でも、人は何故か、感覚的に掴まれるという事例があるということって記述。たとえばカンディンスキーの作品を逆さまにして眺めると、なんか違和感(ちなみに、カンディンスキーの作品、そんなに見たことない立場だから、刷り込みって要素はないと思う)なのだけど、正しい(いや、違うな。カンディンスキーが見せたいとした向き、だな)方向から眺めると座りがよいというか、なにかキテルの。「ただの模様でしょう?」「ただのガラクタでしょう?」ってのが、そうじゃないって証左でもある。そしてその「クル」ってのは、鑑賞者によっても異なる。鑑賞者も多様性。
確かに先日、ヤマザキマザック美術館へ行った時、ボヤーっとしたシャガールの作品「サン=ジャネの村、夜」にちょっと魅入られたもの。ピカソの「マタドール」にも。言語化できないけど、なんか感じた。一番長い時間、絵の前にいたのはルブランの「ドルゴロウキー皇女」だけどね。
なんというか美術やアートって、それを語ってるだけでなんかちょっと「偉い」とか「凄い」とか言われがちじゃない?そんなこと、全くないと思うのだけど、そういう自分も現代アートを面白いって言ってる人に対してそういった感覚(劣等感なのか?)を持ってたよ。でも、「13歳からの・・・」や本書を読んで、「わからない」ということも受け入れていいと思うし、いかに「わからない」を言語化するか?に集中してもいいし、なんならこうやって「考える」ことそのものが重要なのだ、これがアートなのだ、と思えるようになったね。
現代アートの扉、ちょっとだけ、開いたかも。 -
・現代アートの一般大衆に対する共感と、事例の背景
・多様化しすぎて背景知識は専門家も足りない
・主観、感性にも意味がある -
「わからない」にも種類があるんだなー、と。
私から見ると同じように分からない、図形が描いてあるだけの絵が2枚あるとして
一方が新造形主義だと自我を排しようとしていて、もう一方がシュルレアリスムだと“自分でも気付いていない無意識下の自我”を表そうとしているのだとすると両極端で面白いと思いました。私が見分けられるかどうかは別ですが。
内容が現在のアートシーンに近づいてくるに従い、紹介される作品に対する自分の興味が薄れてくるのを感じました。
今の私たちは、普通にSNSに接しているだけでも毎日たくさんの問題提起をされて疲弊しています。わざわざこちらから「あえてタブーを犯している危険な」「こちらから知識を付けて解読しに行かないと理解できないような」現代アートに近付いていって同じような問題提起をされに行きたくはないなぁと思ってしまいました。
しかしそれは本を読むか読まないかとかと同じようなことだと思うので、結局は好きか好きじゃないか、肌に合うか合わないかなんでしょう。 -
美術館に行っても意味わからんだった。見る視点が増え、美術館にも興味を持てるようになった。
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有名な作品を作者と一緒に鑑賞できた感じがしたため、読みやすかったし、楽しかった。
アートを見る時、気負いすぎず、自分の言葉を持って鑑賞したい。
これから色んな作品を見るのが楽しみになりそう。 -
現代美術の流れがコンパクトにまとめられてとても読みやすい。自分の好みもどこに位置づけられるかが分かる。
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マティス、ピカソ、カンディンスキー、マグリットにウォーホル。
このあたりのThe現代アートから、同時代まで。
私たちの「クラシックアート」で培われたの常識のどこに挑戦する作品なのかを解き明かす。
このあたりは、昨年話題となった『13歳からのアート思考』と同じ。
読者への問いがさしはさまれることも似ている。
もちろん、2009年に刊行されている本書の方が先取りしていたわけだけれど。
アートは美しくなければいけないか?
わからなければならないか?
うまくないといけないか?
自己表現でなくてはいけないか?
誰がアートと決めるのか?
アートとして成立する空間が限られていてもいいか?
自己表現ではないアートもあり得ること、文脈限定のアートもあることなどは、自分にとっても新鮮な視座だった。
いろいろな常識や境界を揺り動かして、現代アートは発展してきた。
いまや、「中心」がなく、「主流」もなくなった現代アート。
筆者は、現代アートが自分の感覚を問い直すことを期待している。
と同時に、難しいことを考えず、自分の感覚で楽しんだらいいとも言う。
うん、まあ、そうなんだけど。
結構疲れることは確かだな。