沈みゆく大国 アメリカ 〈逃げ切れ! 日本の医療〉 (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207859

感想・レビュー・書評

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  • ・国民皆保険制度の素晴らしさと、今それが解体されるかもしれない危険があることを啓発する本。
    ・無知は良くないと改めて感じた。制度についてよく知り、感謝するべきですね。
    ・政府に騙されないよう気を付けなくては!

  • 老人医療と介護産業は儲かる。納税者の金を吸い上げモンスターのように急成長。政治と業界の癒着が始まるであろう。

    憲法25条の生存権
    国民皆保険→社会保障である。

    経済財政詰問会議→これほど民主主義の政治理念に反し、リベラリズムの思想に反する制度はない。(宇沢弘文)

    2013年 竹中平蔵 「国家戦略特区」外資系企業に大きなビジネスチャンス

    日本 人口は世界の1.6%なのに世界の薬の4割を消費している。
    予防医療は医療費を大幅に削減する。特殊な高度医療費はいらない。
    年金制度、健康保険制度、国民皆保険制度については、国民にきちんとした知識が必要。小さい頃からの教育が必要である。

  • 沈みゆく大国の第2弾
    国民皆保険を謳っているが、中身は投資家や保険会社、企業の利益が中心となり、医師や患者が置き去りにされているアメリカの新たな保険制度オバマケア。
    医療は商品ではない、心が入って成り立つものである。
    対岸の火事ではなく、日本にもその触手が伸びている。
    「日本の国民皆保険は共同体の精神から生まれた制度」
    助け合いの精神を忘れず、お互いを思いやる気持ちがないと国民皆保険は継続できない。
    反面教師であるオバマケアと比較しつつ、制度について理解しなくてはならない。

  • 世界がうらやむ国民皆保険制度。その良さを日本国民全体が自覚し、守る意識を持たなければならない。無知は弱さ。

    「国家戦略特区が全国に広がり、日本全体で外資系企業がしっかり稼げるよう十分に規制が取り払われたところで、TPPを締結させる。そうすれば、一度広げた規制は元に戻せないとい<ラチェット条項>が、総仕上げとして規制緩和を永久に固定化してくれるという寸法だ。」堤さんの本を読んでからTPPには反対だったけど、国家戦略特区を絡めたこのシナリオは一段と恐ろしい。

    「諸外国で財政赤字を算出する時は、国の資産から借金文をマイナスする。だが、日本の財務省は資産の部分を無視して借金の数字だけ国民にみせて<財政赤字1000兆円>と騒いでいる。これを諸外国と同じ方法で計算すると、借金は256兆円になる。」というのは驚いた。借金が少ない方がいいのは間違いないけど、こんなこともあるんだ。

    いつも思うことだけど、資本主義一辺倒は嫌だ。

  • レビュー省略

  • 株式会社化したアメリカの医療がいかに企業、保険会社によって食い物にされているのかを具体的かつわかりやすく 説明してくれている。
    国民皆保険にちかい制度として導入されたオバマケアも実は保険会社や製薬企業の利益を優先させる仕組みで、実際は庶民の保険料は上がってしまったというのだから恐ろしい。
    著者はそんなアメリカ企業による医療のマネーゲーム化が日本にも押し寄せてきていると警告している。
    国民皆保険で守られていた日本は規制をなくせば、企業がこれから利益を上げる余地がいくらでもあるのだ。
    そんな先行きくらい社会に対して著者は処方せんも示してくれている。
    まず、国民が無知でいないこと。いくら優れた制度を持っていてもそれを自覚していなければすぐに掠め取られてしまうだろう。
    医療の原点に立ち返り、共生、協同の精神で地域社会を自らが支えていくことが、医療を守っていくことになるのだ。
    内容も優れているし、文章もリズム感がありとても読みやすい本書であった。

  • 3

  • 国民皆保険が社会保障である日本と違い、オバマケアは民間医療保険への強制加入を義務付けて皆保険にした制度だ。ひどい。

  • アメリカのほんの一部になっている金持ちが、いかにしてその富の独占を強めようとしているかについての第二弾。今回は医療について書かれています。オバマケアに始まる皆保険制度、日本のものとの違いとその問題点。そして日本にもまたその爪先が迫ってきているということを、臨場感あふれる書き方で、具体的な話も踏まえて分かりやすく書かれています。このままいくと、知識のない私たちは、知識のある人間たちの良いように制度を利用され、変えられてしまう。そうならないために、行動を呼びかけるところなど迫るものを感じました。
    本書の内容を鵜呑みにするのではなく、まず医療について学ぶところから始めるように気づかせていただいた点は良かったと思います。

  • 米国の暗部を抉り返す刀で米国化する日本を憂う、お得意の安定した作風で前著に引き続き健康保険問題に切り込みます。特に当初がん保険が米国の保険会社の独占で日本の保険会社が参入できなかったなど、米国の圧力とそれに唯々諾々従うわが国の政府の事例を紐解き現状の国民皆保険を守れと強く呼びかける後半には心を動かされます。本当にぼんやりしていると日本の医療が米国の保険会社の餌食になりそうです。本書でも紹介されている互助組合のような解決方法もネットの時代らしいですね。

  • この本を読み終わった頃に日歯連の贈賄事件が明らかになった。あれって、TPP交渉山場を前に医療関係者を恫喝する材料にされたんじゃないか?ってのは穿った見方なのかぁ〜。

  • 高額医療費制度を利用しての入院中に読了。
    日本の将来に悲観的な側面はありつつも
    希望もまだ多く残されていると感じた。

    私が生まれた年に制定された国民皆保険制度は死守するべき大切な制度だと改めて認識した。

  •  私たち一般庶民の生活や医療や老後を考える上で重要なことが、本書には色々と記されています。それらを一つ一つ挙げていくことは私にはできません。内容を詳しく紹介されたブログも色々あるので、ぜひ検索して見て下さい。
     でも一番いいのは、実際に本書を読むことでしょう。
         
     本書ではアメリカの政治状況について記されています。
     政治は公平に行われている、と思うのはもはや幻想ですね。 大企業や投資家といった金と権力を持った連中がロビー活動を行い、利潤を追求しているというのが現実です。そして日本の政治も同じようになっていく、いや既になっているでしょう。
     そしてアメリカの製薬企業や投資家がビジネスチャンスとして狙っているのが、日本の医療業界。彼らの参入に障壁となる日本の国民皆保険制度などを潰そうと虎視眈々と狙っています。
     離れ小島の竹島や尖閣諸島を領土的に狙うというのは、ビジュアル的に分かりやすいものです。医療制度の改悪というのは分かりにくいものですが、国民の医療や生活に直接関係する重要な問題です。
     国民の命をアメリカの大企業や投資家に売り渡していいものか、これは日本の庶民をアメリカの大企業や投資家の奴隷とするものであり強生連行ではないのか、ということです。
         
     新自由主義の論客が規制緩和を主張する際、反対する層を「既得権益」と攻撃します。
     日本の医療制度を考える際、「既得権益」で守られているのは、一般の国民なのです。まさしく、このレビューを書いている私であり、このレビューを読んでいるあなたのような人々が「日本の医療制度の既得権益」で守られているのであります。
     医療や介護を金儲けの手段として考えている連中が、この「既得権益」を狙っているのです。
     しかし悲しいことに、我々一般庶民は自らが享受している「既得権益」についてよく分かっていません。
     日本の医療制度が改悪されようとする時、まず反対するのが医師や医療関係者でしょう。
     だから「既得権益」を狙う連中は、医師や病院や医療業界を「既得権益者」としてバッシングするでしょう。アメリカもそうだったといいます。日本もそうなるでしょう。
         
    「政府やマスコミが医師たちを積極的に仮想敵にし始めたら要注意です」
         
     医療業界を規制緩和して外資系の企業が参入したら良くなるのではないか、と騙されてはいけません。我々国民は、我々を守っている日本の医療制度について知る必要があります。
         
    「無知は弱さになる。持っている人がその価値をわかっていないものほど、奪うのは簡単ですからね」
    (実は日本国憲法の改悪を巡る問題でも、同じことが言えます)
     http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20150913/p1

  • なんとかしなければならないですね

  • 前作(沈みゆく大国アメリカ)に続く続編。
    アメリカの医療制度の荒廃ぶりを臨場感あふれる文体で書き記し、現在の日本の医療制度のすばらしさ、そしてそれを失ってはいけないと警鐘を鳴らす一冊。
    筆者の熱い思いが伝わってくる一方で、やはりこういった類の本はきちんと状況を理解するためにはカウンターパート的な立ち位置の本もあわせて読んでおきたいところである。

    p.182には、「統計的にも、予防医療は医療費を大幅に下げる」
    と記されていますが、これはちょっと疑問です。
    医療経済学的には、逆であり、「病気予防や健康づくりによって医療費が削減できると実証されたものはない。」と私は理解しています。
    参考情報として、
    「病気予防政策で医療費がむしろ増加するという逆説」
    http://diamond.jp/articles/-/75765
    を挙げておきます。
    付箋は16枚付きました。

  • 前作を読み、怖くなってこちらも手に取った。『知ろうとすること』『ぼくらの民主主義なんだぜ』と続けて読み、政治家って自分の子供や孫に渡す世界をこんな風にして本当にいいと思ってるんだろうか?と怒りを通り越して悲しくなってきたが、本作を読んでその思いが一層増した。これは政治家だけではなくて1%の人間、、、ウォール街や製薬会社などだが。途中から辛すぎて読むのをやめようかと思ったが、小さい力でも抵抗している人たちがいるんだという事に希望がわいた。
    それにしても、日本の医療。。。本当に逃げ切って欲しい。アメリカ、何様なんだ。前から自分の事しか考えてないなと思っていたけど。
    無知だとつけこまれる、この言葉が印象に残った。失うまで気づかないようなことにならないように、大切なものを守るためには勉強しなくてはいけない。子どものためにも。孫のためにも。

  • 逃げ切れるのか? と第二弾を読むのをすごく楽しみにしていた。
    結論から言うと、かなり逃げ切れない(日本の医療と健康保険はアメリカのようになってしまう)、ところまできていて、「知らないうちに」いろいろ決まっていて始まっている。この「知らないうちに」が厄介。本当に知らないうちに? 知ろうとしていないだけでなく? そんなんだったら、失っても自業自得かもしれない。この本を読んで、そう思ってしまった。失ってからじゃないと気づかないのかもしれない。

    本としては、第一弾より、「報告型」の文章が多く、固有名詞をだして主人公を設定し、現実を感じさせるところは少なくなっていたような気がする。それでも充分内容はせまってきたし、それだけ切羽詰まっているのだろうと恐怖も増した。

  • 職業柄、この危うさは理解できる。教育にまで遡って立て直す必要がある。

  • 2015年7月新着

  • いつも思う。この人はアメリカのことを見ながら、将来の日本を見ようとしていること。
    食料の次は医療。アメリカと同じような運命をたどることになったら、間違いなく医療破産は起こるでしょう。いくら収入があっても足りないでしょう。
    すごく考える。これは無くなって欲しくない。

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著者プロフィール

堤 未果(つつみ・みか)/国際ジャーナリスト。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒業。ニューヨーク市立大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券を経て現職。米国の政治、経済、医療、福祉、教育、エネルギー、農政など、徹底した現場取材と公文書分析による調査報道を続ける。

「2021年 『格差の自動化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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