- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087453706
作品紹介・あらすじ
僕の会社は悪徳商法のブラック企業!? 退職を決意し詐欺の証拠集めに奔走し、会社とは違う“ある場所"で日々繰り広げられるバトル。表題作ほか短篇一篇を収録した新芥川賞作家の話題作。(解説/古市憲寿)
感想・レビュー・書評
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めっちゃウンコしてるしめっちゃ若い
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トイレ(うんこ)という、表立って取り上げられることが少ない、しかしながら人々にとって極めて身近なテーマがタイトルになっている本作では、生活リズムの中で多くの人がすれちがう「公共の場所にあるトイレ」がキーポイントになっています。
会話をするわけでもなく、どこの誰か、何をしている日とかも知らないけれど、毎朝のトイレで顔を合わせたり、隣り合う個室で時間を共有する他人との時間や、職場のトイレでの一幕など、物語の要所要所ででてくるトイレでの過ごし方の描写は、生々しくリアルです。
ブラック企業で働く主人公を描いた「御不浄バトル」とそのスピンオフ作品である「荒野のサクセス」が収録されています。
たしかに、「きっとこういう人はいるよね」という感想は抱きますが、読み終えて爽快かと問われると少し悩みます。
社会で(あるいは会社で)自分の仕事に自信が持てない若手の悩みを描いているようにも感じましたし、作者の「らしさ」が良く出ている作品であるようにも感じました。 -
羽田圭介、初読み。
文章も読みやすくて面白かった。
えっ、これで終わり?って感じで、話がプツッと途切れるように終わるところもなんだか不思議なあと味を残して良かった。
ただ便所飯だけは、共感できず・・・でした。 -
羽田圭介によるブラック企業小説でありトイレ小説でもある本作。
社会人にとってトイレとはある種の憩いの場である。労働時間であろうとそこにいる時は労働から逃れることが可能となるのだ。
本作で主人公は高額な教育商材を売り捌く悪徳企業に経理として勤めている。パワハラをそれなりに横行している社内には「言い訳禁止、結果史上」なんて標語も貼られるようなブラックっぷりだ。
ブラック企業という概念は本作発表当時まだ生まれて間もない、もしくは生まれてないような時代だったようが、この社会的なテーマを作品に混ぜ込んでいる羽田圭介の着眼点は流石である。
羽田圭介の作品の特徴といえばやはり肉体的表現にあると思える。言葉選びとしても遠回りなものを選ばず大便の排出描写を入れたり、女性に対する欲情のうごめきをそのまま描き出したりもする。こういったものは一部の層からは気持ちが悪いなどと思われるであろう要素であるが、直接的な肉体の表現というのもは人間自身の最も根源的な感覚を呼び戻させ、純文学としての人を描く素直さの表れの一つとも言えよう。
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「ブラック企業」という言葉が話題になる5年前に刊行されていたことに驚き。
当時あまり売れなかったというのは、時代の先を行きすぎてたのかもしれませんね。
今ならば、すっと入ってくるというか、良くも悪くもブラック企業が想像しやすい。
ブラック企業の中にも日常があって、生活があって、なんかしんどくなりました。
トイレが憩いの場所というのは、多かれ少なかれあるのではないかなと。
会社員だと、一人きりになれる場所って、なかなか作れなかったりしますよね。
ただ、ここまでしっかりトイレ時間を描いてる作品はないんじゃないかなと。
かなりリアルなので、お食事に影響しない時間に読むことをおすすめします。
解説は、古市憲寿さんです。
羽田さんの他の作品にも触れられていて読んでみたくなりました。
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【御不浄バトル】
不安から逃れるように、壁に守られる僅かな空間をいかに死守するか。
隣に誰かいるという、スリル。
待ってる人がいるという焦燥感。
そんな狭い空間と、会社のストレスが交じり合う。
最早、性癖。
周りの異常性を訴える人間は、既に異常なのだ。
【荒野のサクセス】
近くにいたトイレのあいつが、こんなやつだったなんて。
なんか、読んでると悲しい。
果たしてサクセスなんだろうか。
空回りの虚しさが、寒くさせる。 -
けっこう感想が二分してるけど、私は好きだった。
特に御不浄バトルの話が、主人公にやや共感できる。初めての社会生活と、今までの自分の人格とで、どこか矛盾や鬱屈とした精神抱えるよなあって理解できる。
私が主人公と同い年くらいなのもあるんだろうけど、2010年よりも今の方が主人公の性質を理解できる人が増えてる気がするな。
解説でも言われていたけど、ブラック企業の社会問題も大きく声が上がる3年前にこの小説が刊行されたとのこと。たぶん早すぎたんじゃないかな。今の若者の方が絶対に共感できると思う。
あと、いかんせんトイレの描写が多くて、しかもやたら詳細に書いてくれている。小説にこういったものが描かれることに品がないとは考えてなかったな。逆に品のある小説ってのもあるんかよく分からないけど、要はみんな生理的に嫌なんだな。人のトイレが。
なんかトレインスポッティングを思い出しました。
あとトイレでダッチワイフとかのイカれた雰囲気が、頽廃的で良かった。主人公は悪徳な会社を、自分の社会保障のためにも狡猾に辞めたい。そのメンタリティとイカれた行動があっているような気がした。 -
ごめん、それがポイントなんだろうけど便意の話はやはり時と場合を選ぶ。ブラック企業の部分は結構好き
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羽田さんは、前から興味があり、初めて作品を読んだ。良く言えば、超現代風。悪く言えば、下品。正直、あまり好きな作品ではない。
御不浄バトル
荒谷のサクセス