- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087466140
作品紹介・あらすじ
時は安土桃山。運命的に出会った四人の若者が一座を結成した。驚くべき速さで三味線を弾きこなす藤次郎。出雲のお国一座の笛役者・小平太。信長の従者だった黒人の太鼓叩き・弥介。べらぼうに喧嘩の強い天性の舞姫・ちほ。型破りな芸で熱狂的に民衆に迎えられた彼らは、やがて、庶民への支配を強める秀吉に立ち向かうことに-。エネルギッシュで爽快な、第20回小説すばる新人賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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何度目かの再読だけど、これはロックバンド小説の傑作。
戦国末期が舞台だけど、完全にロックバンドが描かれている。「ボーイ・ミーツ・ギター(三味線だけど)」「価値観の違いによるメンバーの脱退」「体制への反抗」そして「ワールド・ツアー」といったロックバンド物語に出てくる要素がキチンと揃ってる。
しかも、それを戦国末期の舞台の中でしっかり成立させてるところが素晴らしい。嘘のつき方が抜群に上手い。
そして、脇を固めるキャラクターも魅力的だ。
中でも本作の豊臣秀次のカッコよさは白眉。おそらく、フィクションに登場した中で一番カッコイイ秀次ではないだろうか?
という事で、また読みたい作品。 -
民衆へのしめつけを強める秀吉の支配に、反発する一座があった。
第20回小説すばる新人賞受賞作。
おもしろかった。
人物も魅力的だし、史実との絡め方、後半への盛り上がりなど、これがデビュー作かと驚く。
反権力・反体制。
ロックな青春小説。
一風変わったかぶき者たちが痛快。
4人の性格のバランスもよかった。
芸能を愛した秀次と、しめつけた秀吉。
ふたりの権力者とのからめ方、史実とのつなげ方も、おもしろかった。 -
五条の河原には、音が溢れている。リズムにのって皆が踊る。河原者、富商のせがれ、子ども、傾き者、入り乱れて踊る。視線の先には4人の芸人、三味線、笛、舞い、太鼓。よく見ると三味線の弦は6本。ROCKの原点は桃山時代の五条河原にはあったのだ!
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物語が奏でる…疾走するビート、駆け抜けるスピリット、、。もの悲しい史実も絡め、弾圧への反抗は魂の叫び…まさにロックだなぁ。天性一心の
直情なちほちゃんには殺られたなぁ -
踊りのちほ、太鼓の弥助、三味線の藤次郎、笛の小平太。秀吉政権末期、大阪。金やら地位のあるもんにおとなしく聞かせるなんてくそくらえ。いままでの芸能の世界を叩き壊し、斬新な音楽で斬り込み、ひとびとを熱狂させ、激しく踊らせる。ひとびとを統制しようとする時の政権に目をつけられ、生きづらくなっていく中、文化に深く通じた庇護者として描かれる関白秀次。彼の一族の処刑時におきたことは、この物語の一番のクライマックス。踊りと抵抗と。弥助のアフリカへの里帰りに、みなついていくエンディングもあかるさを感じさせて。ライブ好き、クラブ好きには特に楽しく痛快に読める一冊だった。
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時代小説なんだけれど、堅苦しくなく、むしろリズミカルで重厚で、ガンガン読み進められる話でした。宮藤官九郎かだれかで映像化してほしい。イメージとしては、北野武の座頭市みたいな、スピーディーな雰囲気で。激動の時代を背景に、新しい視点で面白かった。これはいろんな人に薦めたいかも。特に、この時代が好きな人に。