精神科ER 鍵のない診察室 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087467000

感想・レビュー・書評

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  • 短編のものが多い。事実だからこそ、終わりが物足りないものや途中のものもある。精神科と家族などを考えさせられる。読みやすい。

  • 基本的には最初に出たエッセイ後のエピソード(フィクションだと強調されてはいるが)。

    今回は中越沖地震、阪神大震災時のエピソードもあり、そしてこの原稿を脱稿した直後に東日本大震災が起こった(あとがきより)。

    震災で家族を失った人、自殺で失った人などさまざまだけど遺された重みは何年経ってもあたりまえだけど拭えないということが切ない。

  • プシコの難しさを 12 の症例とともに記すドキュメント。震災や自死の遺族の苦しさ、PDD の配偶者としての心労は、たぶん文章に書き表せられないほどのことでしょう。それを思うと、医師と向き合って治療に専念できない患者がいることは、医師としても大変に苦しいのではないか。

  •  精神科ERに勤めていた先生が、個人で開業をされて、鍵のない診察室で診察を始めた後の話。
     でもどちらかというと、慢性期の人の話ではなくて、急性期と慢性期の人のボーダーの話が多めです。
     それと、先生が研修医だったころのお話も少し。

     読んで思ってたのが、これが私の知ってる精神科だなあ……と。
     私の知ってる世界だ……と思いました。

     でも、行政の保健師が行くのは訪問看護扱いはしないと思うのだけれど……と、そっと付け加えておきたいけど、沖縄ではそう呼ぶのかな?
     精神科の入院の基準は自傷他害の危険性ってことになるから、私は結局、いつまで経っても入院できないわけだ(死ぬ気はないし、他人を傷つけるなら自分が死ぬことを選ぶけど、そもそもにして他人を傷つけたいとは思わない)。
     なんか、そういうルールがこういう本で、もっと広がればいいなあって思います。
     だって説明するのめんどくさいし。
     まだまだ偏見がいっぱいあるから。

     でもこういう本って結局、興味がある人しか読まないんだよねえ……。
     難しいです。

  • 2014年の70冊目です。

    精神科医である著者:備瀬 哲弘の前作「精神科ER」の続作です。
    精神科とERが結びつくイメージを持ちにくいと思います。
    精神的に急激に悪化していくというより、継続的な精神的不調が続くことで、突発的に(周りにはそう感じられる)発現する行動に対処が必要だということです。
    代表的な事例が”自殺”や”自傷行為”です。幻聴に悩まされている人は、突然意味不明の事を叫んだりします。
    こういったケースで、警察へ通報されると、普通の人の行動基準と異なるため、精神科への緊急入院措置が取られるのだそうです。そして、そこでベットに拘束具で縛られ、病室に鍵を掛けるんだそうです。そういった経験をした患者さんは、二度と病院に入院したくないと頑なに拒まれるようになるそうです。鍵の無い診察室で診療ができているうちは、その人にまだしも寄り添ってケアーができます。
    精神的な疾患には、多くの種類があります。統合失調症や広汎性発達障害(代表的なものではアスベルガ―症候群)や一時的な抑うつ状態など。
    これら精神的疾患に対しては、多くの場合、完治させる薬があるわけではない。その時その時の患者さんの状況に寄り添う以外に方法は無いようです。いくつかの事例が紹介されていますが、どれも切なくなります。
    相手の気持ちに、迎合するのではなく、寄り添うことは、自分の身近な人に対しても難しいことだと思います。精神的な状態におけるダイバシティーが広範になりつつある現代において、この精神科医のような人への接し方が望まれているのでしょうが、ハードルは高い。

  • 短い精神科医エッセイがいくつか入っている。
    研修医時代のエッセイが面白かった。

  • あんまりキチガイいなかった。と思うわたしの頭がキチガイ。

  • 実際の精神科医がどのようなことを考えながら診察にあたっているかがよくわかった。フィクションとあるがリアルな患者さんとのやりとりも良かった。短編集になっていてとても読みやすかったので他の本も読んでみたい。

  • 精神的につらいときの解決方法がかかれているわけではない。
    みんななんとかかんとかやってるんだな、と再確認した次第。

  • 『精神科ER緊急救命室』の続編といえる本書。『精神科ER緊急救命室』では主に鬱病と統合失調症が紹介されていたのと比べて、この本ではそれに加えて境界性パーソナリティ障害や鬱病時の躁転、解離性障害、広汎性発達障害などが紹介されているが、いずれも初診時の事のみで、どうしたら寛解まで持って行けるのかという踏み込みが足らない気がした。

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著者プロフィール

1972年沖縄県那覇市生まれ。精神科医。吉祥寺クローバークリニック院長。精神保健指定医。琉球大学医学部卒業。同附属病院、旧・東京都立府中病院精神神経科、聖路加国際病院麻酔科、JR東京総合病院メンタルヘルス・精神科などを経て、2007年より現職。著書に『発達障害でつまずく人、うまくいく人』(ワニブックス)、『大人の発達障害』(マキノ出版)などがある。

「2017年 『大人の自閉スペクトラム症』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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