宵山万華鏡 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 639
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468458

感想・レビュー・書評

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  • 苦手だった『きつねのはなし』系統と友人から聞いていたので、あんまり期待せずに読んだけど、全然そんなことなくポップで面白かった。宵山に行きたくなる。

  • ★4.5
    構成が良くてよくできたお話だと思った。
    本のタイトルがぴったり。宵山を中心にたくさんの登場人物のそれぞれの出来事がいくつかの視点から描かれていて、読み進むほど人も場所も時間も立体的に感じられ、更に異世界も重なって最終的に俯瞰すると独特の世界が完成されていた。
    美しく、妖しく、不可思議で、少し不気味な世界観も魅力的。確かにお祭りというのは妖しい何かを含んでいることが多い。
    また、お祭りというのは本来非日常なのに、その日がずっとループしてしまう設定が興味深い。日常がループするよりも更に色々吸い取られると思う。適切な量なら効果抜群の薬になるけど度を超すと毒になる感じ。でもそれは大人の感想なのではと思う。私が子供の頃は規則正しい日常が窮屈で仕方なく、祭が毎日続けばいいのにと本気で思っていた。だから赤い浴衣の少女たちは祭に魅了され疲れなど知らずにはしゃいでループし続けているのでは?(もはや人ではないようだけど。)それとは対照的に、ループしている大人は疲弊していく。
    ループはやり直しのためで、柳さんは水晶を返すことを求められたわけだが、画伯は何をすればループから出られたのだろう?画伯にとってはやり直しのためのループではなく娘に会いたいがためのとどまりたい意志のせいで出られなかったのだろうか。

  • 表紙と森見とタイトルを見て『これはほっこりだな』と勝手に判断したのが間違いだった。予想以上に背筋がゾッとする作品だった。美しく、きらびやかで、異形の者たちが闊歩する宵山。そして、人々を捕まえて離さない宵山。宵山で起こった、珍劇、喜劇、哀劇をひとつの作品の中に織り交ぜている。

  • 京都祇園祭、宵山が舞台の短篇集。
    地元のことではないのでいまひとつピンと来ないけど、
    宵山とは、祇園祭のハイライト、山鉾巡行の前日のことだという。
    お祭りの非日常的な光景はどこでもあるからなんとなく想像。
    そしてここの話に出てくる人たちを想像。うんうん。
    夢心地の子どもたちが、このお祭りに慣れていない他所の人たちが、
    いろんなものを見誤って不思議なものを見てしまうのかなぁ。
    ちょっと暗いものを想像したけど、こういうのもわるくない。

  • 何処までが現実で何処からが幻想なのか、恣意的に騙されているのかそれとも狐につままれたのか、読み進めて行くうちにわかるようで全くわからない、不思議な読後感。
    宵山を舞台に夢と現実が交錯していて、宵山に出掛けて酔っ払ってうとうとしていたら、きっとこんな夢をみるのかなと思いました。

  • あの大混雑の中でこんな密やかな物語が繰り広げられる訳がない!
    と、言い切れないのが宵山とこの物語の魅力。
    万華鏡のように少しづつ絡まりながら色んな破片が散りばめられているのに惹きこまれる。
    静謐でちょっとひんやりする物語の中で馬鹿馬鹿しさ大爆発な偽祇園祭の一編が楽しい♪

  • 妖怪的。熱いのにゾクッと。鮮やかなのにセピア色。森見作品としては新境地。ただ個人的にはもっと森見節が効いた作品の方が楽しく読めるような...

  • すごく好き。
    「夜は短し歩けよ乙女」を読んだとき、夢と現実の間を綱渡りするような、ある時そこからはっきりと夢の世界に足を踏み入れるような感覚を覚えた。
    本作はそんな感覚を期待して読み始めた。タイトルに「万華鏡」だもんね。それにしっかりと応えてもらえた感じがして、とても幸せな気分。
    楽しいのに寂しい、でもすごく綺麗。そんな妖しい宵山の一夜、夢幻の一夜に酔いしれる。

  • 素敵できらきらしているのに、ゾッとするお祭りがここにはあります。

    壮大に計画された宵山と、
    そこに絡み合ういくつかの物語。

    私もお祭りが大好きですが、お祭りが毎日繰り返される様子が絶妙に表現されていて、とても怖かったです。

    年に一度やって来るから、毎年楽しみに待って、艶やかな夜を過ごせるのでしょう。

    夏にぴったりの一冊です。
    それから、懐かしの偏屈王が登場して、とても嬉しかったです(*´ω`*)

  • きつねのはなしのような幻想的なお話の比重が重くて、おふざけ和風ファンタジーは少なめ。
    森見さんが本当にやりたいのは前者のような作風だと聞いた気がするのですが、確かに京都って幻想的で怪しげな雰囲気には事欠かない。
    お祭りのわくわくと熱気と胡散臭さと幻想と恍惚と不安、全部が詰まっている一冊。

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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