薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.34
  • (240)
  • (442)
  • (1365)
  • (116)
  • (26)
本棚登録 : 5049
レビュー : 421
  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087475852

作品紹介・あらすじ

情熱。ため息。絶望…でも、やっぱりまた誰かを好きになってしまう!恋愛は世界を循環するエネルギー。日常というフィールドを舞台に、かろやかに、大胆に、きょうも恋をする女たち。主婦。フラワーショップのオーナー、モデル、OL、編集者…etc.9人の女性たちの恋と、愛と、情事とを、ソフィスティケイトされたタッチで描く「恋愛運動小説」。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 江國香織の本はなんというか凄く清潔感がある。
    うまく言えないけれど、汚れた物やだらしない物迄、秩序の中にある感じだ。
    それは、文章の力だろうか?
    寄って、お洒落な読み物の様に見えるけれど
    そうではなく、感情を揺さぶるのに不快ではないのである。その力に私は読み進めていき、起承転結のないドラマに不満も無く、気持ちよく読み終えました。

  • 女、女、女、女、女、たまに男。
    いろんな人が交錯してそれぞれの日常がつづられる。
    どの登場人物も理解できないようでいて、ふとこういう気持ちかもと思いつくような。
    この本を読んでいると人ってみんな、ちょっと不幸で、それは自分としてはどうしようもない不幸と考えていて、ちょっと幸福、でも幸福にはあまり気づいていないんだな。
    身勝手にもいろんな形があるもんだ。

    解説を読んで初めてこれは恋愛小説だったのか!と驚く。あ、後ろにも書いてあった。「恋愛運動小説」?
    確かにいろんな形の恋愛?が出てきたけれど。
    江國香織さんの変わらないものと変わっていくものの描き方がとても好き。
    あと丁寧に家事をする描写には憧れさえある。
    陶子や綾やれいこのように家事を楽しめる女性に憧れる。
    でも実際は綾のイライラ部分に共感し、エリ子のような生き方をしてしまいそう。
    「きちんとした妻でいることが、自分にとって大事であるために。たとえば夫や息子のためにしているのであれば、きっとこんなに孤独ではないのに」
    結局、自分の思うように行動が出来るのは収入があるから?

    途中まではチクチクと棘が散りばめられていて、登場人物たちがもどかしく読み進めるのが辛かった。
    それがポロポロと皮が剥がれるように変わっていく人々が出てくる。
    たとえば陶子の本音、衿やれいこの不安、近藤の情熱。エリ子の孤独。
    その辺りからホッとして読むことができた。

    「誰かを好きになったからといって、夫をきらいになれるわけじゃないもの」
    「でも、もう二度と、夫に男性的な魅力は感じられないと思うわ」
    女性が強いお話でしたが、世の中「オタガイサマ」なことも忘れずにいたいもの。

  • 恋愛が日常茶飯事的に、誰かの心に入り込んで、誰もが主役で、そして誰もが自分勝手で。
    柔らかい言葉で描かれていて、潤いがある。

    終りのない物語。また読み返したくなる。

  • 登場人物が多くて混乱しつつも読み終わった。

    江國香織の小説はいつも、本当にこんな生活あるのかなあと思わせる。
    みんなどこか現実っぽくなくて、地に足がついていない感じでふわふわ生きている。生活感がぜんぜんないんだよな。

  • 薔薇も枇杷も檸檬も、それぞれの求める土壌や気候があって、それぞれがきれいな花を結び、実をつける。自分を生きるのに必死だけれど、周りの美しさに目を奪われては羨んでしまう。その環境では自分は生きられないことを知っているからこそ、その気持は増幅していく。
    もちろん美しい物語なんだけど、読み終わったときは悲しくなりました。

  • 表現方法がいつもお洒落な江國作品。
    ドラマ化するならトレンディードラマのイメージが強いので石田純一とか浅野ゆう子あたりが似合いそうだなって思いました。

  • 何度も読んでいます。

    読む度に視点が変わる不思議な感触。たぶんその時の自分が置かれている状況や憧れる対象が変わっているからなんだと思う。

    読んで「今の自分」を知る感じ。

    衿のように強くなりたいと思えば、陶子のようにぬるま湯にひたりたくなり、桜子のように不器用でも人を好きになってみたくなったり、草子みたいになりたいとも思う。

    さて、次に読んだときには私は誰に共感するのだろう。

  • 江國さんの本は、本当に緩やかな時間をくれる。 桜子は痛々しくてよく解らなかったけど、あとのメイン人物の気持ちは解るような気がする。でも、衿が一番好きかなぁ。

  • あぁ・・・
    色々胸が詰まる。

    幸福感にも、哀しみにも。

    江國さんは、感情の動き(始まりや終わり)や、表情を何てうまく表現する方なんだろうと、つくづく思う。


    中でも、近藤慎一の言葉が好きだった。
    “感受性の近さには幸福になる”
    “彼女と話しているときの自分が本当の自分だということ。彼女に会う「正しい時間」があれば、ほかの時間もちゃんとこなすことができる、そんなふうに思う。”

  • 何回も読み返しては楽しんでいます。この本を読むと、日常の
    細やかなところに目が向きます。窓や靴が汚れているのが
    気になったり、たばこの煙を目で追ったり・・・。そういう、
    些細なことに意識が向いていく感じがすごい好きです。
    この本には、たくさんの人物が登場します。1回読んだだけでは
    登場人物の個性や人物関係が把握しにくいかもしれませんが、
    読めば読むほどに登場人物に味が出てきます。
    個人的には江國さんの小説のなかでは最高傑作だと思います。

全421件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)のその他の作品

江國香織の作品

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする