流しのしたの骨 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 731
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339153

作品紹介・あらすじ

いまはなにもしていず、夜の散歩が習慣の19歳の私こと子、おっとりとして頑固な長姉そよちゃん、妙ちきりんで優しい次姉しま子ちゃん、笑顔が健やかで一番平らかな`小さな弟'律の四人姉弟と、詩人で生活に様々なこだわりを持つ母、規律を重んじる家族想いの父、の六人家族。ちょっと変だけれど幸福な宮坂家の、晩秋から春までの出来事を静かに描いた、不思議で心地よくいとおしい物語。

感想・レビュー・書評

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  • おかしな家族のお話。妙ちきりんだけれど平和な家族と、そんな一家の日常に起きる、ちょっとした事件たち。聞いたこともないような常識や習慣だらけの家族なのに、主人公が家族に向ける視線は、どこか自分と通じるところがある。ばらばらなのに繋がっていて、言葉にしなくても分かってしまうのに、それでもお互いを救いきることはできない。どこにもないようで、実はよく知っている家族のお話。

  • この本にはたくさんのいいなぁが詰まっていて、読み終わるたびにいいなぁが増えていく。ところどころの細かくてわかりやすい描写に、あ、それ、知ってる!となんだか嬉しくなる。それも読み終わるたびに増えていく。

    とくになにか大きなことが起こるわけではなくて、宮坂さんちの日常のお話。なのにこんなに面白い。

    大抵人はなにかしていないとだめって思われる。暇な時間がいけないみたいに、よく言われる。一人の時間も、恥ずかしい事のようにされがちだ。

    だけどこの本の主人公はなにもしていない。まずそこがいいなと思った。なにもしない静かな一人の時間を丁寧に描いている。

    食事をごはん、と書いてあるところも好き。

    あったかいお茶とかコーヒーとかを飲みながら、クッキーとかケーキとかを食べたくなる。

    多分これからも何度でも読むだろうし、なにか読みたいなと思ったら真っ先に手にする本。

  • 読み終わってすぐ、また最初から読み始めたくなるような、不思議な魅力をもった物語でした。
    この家族の空気にとりつかれてしまったみたい。
    メビウスの輪のように、同じ場所をぐるぐるまわって、閉鎖的だけど、息苦しくはなく、なぜかとても憧れます。

  • 面白かったです。
    とても個性的な家族なのですが、ふわふわと進んでいくので読んでいてとても心地好いです。
    そよちゃん、しま子ちゃん、こと子、律の姉弟もそれぞれ好きです。そよちゃんが一番好き。
    深町直人も良いです。
    家族の生活を覗く、ってドキドキするのですが、起こる事件は現実的でも、流れていく生活の一部でしかないのだな、と思いました。
    この一家はとても強い気がしました。

  • 初めて読んだのは、こと子と似たような状況の時だと記憶している。人生のレールを外れてしまったと思い込んでいた時。当時はこと子の気持ちに一番近かった。でも今は、そよちゃんの気持ちが理解できるような気がする。少し前の自分と重ねてしまう。子を持つ親になったら、母親の気持ちも分かるようになるのだろうか。それはそれで楽しみである。

    p202
    私はときどき人生について考える。
    生まれてから死ぬまでの時間について、そのあいだに起こる出来事と起こらない出来事について、行く場所と行かない場所について、そして、いま現在の場合について。
    (中略)
    「何を考えてるの?」
    やけに白い天井をみつめていた私の目の前に、深町直人が雪やけした顔をつきだした。細い体にアンバランスな、太い、しっかりした鎖骨。さわりたくてうずうずした。
    「いいこと」
    かるく目をとじて、私はこたえる。深町直人の鎖骨から気をそらすためだ。
    「素晴らしいこと」
    考えても考えなくてもいい、人生というもののこと。自然に動いていく景色。向うからずんずん近づいてくるもの。

  • まだ読んだことない本が棚にたくさんある、と思って整理をしていたら発見。

    江國香織かー、「きらきらひかる」が好きだったな。
    この本はまだ読んだことないや、と表紙を見ながら思った。

    1ページ目1行目を読んで衝撃。

    「読んだことあるじゃん」

    読み進めていくうちに内容を何となく思い出してきて、
    そうかそうか、しま子ちゃんてこんな子だったな、とか
    律、いいぞいいぞ、バランス取ってくれてありがとうとか心の中でたくさん
    つぶやきながら読みました。

    読めば読むほど、初めて読んだ当時の思い出が蘇り、
    こと子ちゃんの誕生日の前日の出来事を読んで、
    「あ、私がこれを読んだのはことちゃんと同じ二十歳の頃だったわ」と思い出した。
    そして男性に初めて奢ってもらう食事の特別さをすっかり忘れて、
    何をごちそうになったかさえ思い出せない自分を悔やんだな。という思い出。

    読んだ内容や本の表紙は覚えている方だと思っていたのに、自分に失望しつつ、
    覚えていなかったからこそ、また出会うことができた一冊。

    きっとこんな感想を持つことを、この家族は許してくれると思った。
    そんな、気持ちがおっとりしてふわふわして、なめらかになる作品でした。

  • 読んでいる時は「この家族変!」とずっと思いながらイライラしてたが、読後しばらくして思い返すと、どこの家族も他人様には知りえない不可解で変な日常があるのかもしれなと考えるようになった。というか、こういう変な人々を許容できる人こそ幸福なのかもしれない。自分を省みていろんな事を考えた。ほっこりする、とかの類いではなかったけど不思議ちゃんにはお勧め、かな?

  • 両親と三女と一男、ちょっと変わっている人たちだけど仲良く幸せな宮坂家の日常。何か大きな事件が起こるわけでもなく、ちょっとした出来事は静かな日常のスパイス。家庭というある種の閉じた空間、日常であって閉鎖的、それは流しの下のよう。そして、どこの家庭も他から見ればおかしなことがある。それは流しの下にそっと置かれている何かの骨のようである。

  • この本は、実家に帰る電車の中で読んでいた。

    家族と自分がどう関わるか、両親の人生と自分の人生をどう考えるか。答えのないことでもやもや。

    そんな中で読んでいて、家族とはおかしなこと、うまくいかないこと、どうにもならないことを乗せ、それでも走っていくバスなんだと、思った。

    ここに出ている家族は、毎日同じ朝ごはんをたべる。近所で小さな縁日があれば楽しみにして出かける。ささやかな喜びしかないように見える。しかし、どこかがへんてこりん。

    ちょっとずつ、歯車がずれている。それは家族の当たり前、文化。違和感なく、サラサラと日々は流れる。

    自分の両親と向きあっていて、
    なんでこうなっちゃうんだろう?と、思うけど、家族とはおかしさを含むものだと、思ったら、気が楽になった。

  • 隣のお宅の家族の、外国よりも遠いローカルルール。
    家族のなかで大切にしている事を、ひとつひとつ丁寧に綴った物語。
    何回も繰り返して読みたくなる面白さです。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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