教室に並んだ背表紙

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716948

感想・レビュー・書評

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  • メディウムが面白かったので借りてみた。

    背表紙だけ並んでいる本(特に文庫本)って圧倒的に発信する情報が少ないわけだけど、ヒトはどういう基準で読んでみようと思うのだろう、という学生時代からの疑問に一つの答えがあった。

    どうやらタイトルと著者名だけを頼りに何となく棚から引き出しているらしい。
    (考えてみれば当たり前)

    (イメージカラーを沿えてくれてる新潮文庫が好きでした)

    マジか。最初のとっかかりはそんなに小さくて良いんだ。
    それで表紙や目次やあらすじ、あるいは最初の数ページに目を通し、気になれば、読む。合わなければ、戻す。

    合わなければ、戻していいんだよと当時の自分に教えてあげたい。

    あと花布という名前を初めて知ってなんだか嬉しい。
    単行本のあそこの部分にそんなに風流な名前があって、そんなに密やかなお洒落を楽しめるとは。

    思春期のいわゆる陰キャの、本で鎧う女子の心理描写がちょっと凄いなと思う反面、図書委員の子たちもしおり先生も、皆ステレオタイプなようにも感じられて、ストーリーにはあまりピンとこず、読了できなかった。
    ティーンズ向けなのだろう。

  • 「その背に指を伸ばして」
    自分の好きな作品を。
    保身に走る気持ちは分からなくないが、あまりにも露骨すぎる態度は傷にしかならないだろ。
    もしも一人で対応していたら、楽しい時間になったかもしれないな。

    「しおりを滲ませて、めくる先」
    悲観的な未来にある。
    未来を見る力がないのだから、答えを探そうにも生き続けて自身の目で確かめるしかないな。
    当時の夢は叶わなかったかもしれないが、新たな夢は叶ったのでは。

    「やさしいわたしの綴りかた」
    言葉に出来ない想い。
    口に出す時に言葉が分からず飲み込むものも、紙に書き出してみたら意外と分かる時あるな。
    これだけのモヤモヤを抱えて生きるのは、心が疲れてしまいそうだ。

    「花布の咲くころ」
    好きな人が出来たの。
    現実に存在しない者が相手だったとしても、想いは本物だろうし軽い気持ちではないだろう。
    好きな人の為に変わるのはいいが、想い出を否定するのはダメだろ。

    「煌めきのしずくをかぶせる」
    決められた名前には。
    強制的に取り上げて考えが変わるなら簡単だろうが、それが原因だという理由はあるのか。
    自分で選んだものでないのに、周りから弄られるのは辛いだろうな。

    「教室に並んだ背表紙」
    助けて欲しいと願い。
    独りで全て抱え込み闘っていた彼女は凄く強いと思うが、心を病んでしまわぬか不安だった。
    これだけの事をされているのに、担任の教師は気づけなかったのか。

  • 教室での居場所がなく感じてる子たち
    本との出会いでちょっと一息
    図書室のしおり先生がそっと寄り添ってくれる

  • 章ごとに視点が変わって面白かった。
    読み進めていく上に展開も予測出来たけどみんなそれぞれ悩みがあって、外見だけでは分からないし考えさせられた。
    シオリ先生の事は最後の最後にわかって、
    読み終わった後、また最初から読み直しちゃった笑
    全般的にネガティブな子が多くて、自分もネガティブなので共感する事が多かった。

  • 学校が辛い・居場所がない…そんな悩みを抱えた中学生が、
    学校司書と出会い、その先生との交流によって気持ちが解きほぐされていく。
    図書室が舞台の連作短編集というキーワードに惹かれて読んでみた。

    悩みをモチーフにした作品なので全体的には暗いので、しんどくなる。
    それぞれラストはハッピーエンドだが、個人的には響かなかった。
    それぞれの悩みは重く深刻で、心痛くなる程なのだけど、読了後特にパッとしない。

    この作品、現役中学生・高校生が読むとまた違うのだろうなぁと思う。
    文章は所々、イマドキ言葉で書かれてたりしてて、そういった面でも若者は読みやすいかもしれない。
    が、数年後には死語になっていそうな気もするが。

  • とっても素敵なお話ばっかりのうえにしおり先生の正体がわかった時ぱぁーっと世界が広がった気がした。
    中学生って1番難しい年頃で、私も本に逃げ込んだりしてたなぁと色んな事を思い出した。
    心無いヤツらのせいで大変な思いをしてる子が、少しでも素敵な世界に向かえますよぉに。
    優しい心を持った子達が、そっとその優しさを向けてあげれるようになる過程も好きやった。

    やっぱり本って素敵やなぁ。

  • 司書のしおり先生と図書室に集まる悩める中学生女子の短編集。

  • わたしは、学生時代に自分が感じていた、どこか重苦しい空気を感じられるような作品が好きで、この作品も読み進めていくとあの頃の自分を近くに感じられた気がした。
    読み始めはどうかなあ…と思ってたけど自分には合っていた。
    相沢さんの作品は初めて読んだけど、他にも読んでみたいなあと思った。

    物語がなければ生きていけない部類の人間っていて、わたしもその一人なんだろうと思う。

  • 辛い学生時代。繋がりがない話かと思ったが、
    繋がっていた。2回目を読んだ。
    イジメられた側ではないので、なかなか理解が難しい。やりたいことが見つからない人は、沢山いるんだ。幸いにして、ずっと大学まで、野球するために学校に行っていた自分は、幸せだった。

  • 小学校や中学校のころから読書しておけばよかったなぁと思いました。
    登場人物の心情の変化に勇気が貰える作品です。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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