教室に並んだ背表紙

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 2497
感想 : 215
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716948

感想・レビュー・書評

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  • 図書室を舞台に、少女たちが友だちとの関係や自分の居場所を探して悩みながら少しずつ成長していく連作短編集。
    司書のしおり先生が素敵。先生の言葉は温かくて、自分はこのままでいいんだと安心させてくれる。
    心がじんわり優しい気持ちで満たされる1冊でした♪

    *「やさしいわたしの綴りかた」
    *「煌めきのしずくをかぶせる」
    *「教室に並んだ背表紙」
    読書感想文の話、漫画家とネイルアーティスト志望の少女のお話が特に好きでした。
    表題作も良かった。

    本好きの一人としてしおり先生の言葉に「うんうん」ってなったし、心に響いてくるフレーズがいっぱいあって何度もじーんときた。
    現役の中高生に特に読んで欲しい。それ以外の人にもお薦めの1冊です♪


    『たとえ架空の中であっても、そこに一人の生きている人間を見出すことができるの。誰かを慮って、心を動かし、考えることができる。その感性は誰もが持っているものじゃない、とても得がたいものなんだと思うよ』

    『わたしたちは物語を通して、そこに生きる人たちと出会うことができる。その言葉と優しさは、きっと本物だよ。実際に誰かと出会うことができなくても、物語に込められた願いは、きっとあなたを救ってくれる』

  •  相関図がないと誰が誰だか混乱する、時系列までいじってくるとは。

  • 中学校の図書室を舞台にした連作。
    それぞれ異なる悩みや思いを抱えているだけでなく、中には本好きでない子さえいる。けれど図書室という空間と司書のしおり先生が各々に優しく寄り添い、物語が明日へ導いてくれる。その明日が今よりも明るいかもしれないと希望を持たせてくれる、前向きなお話だった。

    最後のちょっとした仕掛けにもまんまとやられ、なるほどそういうことだったのかと直ぐに読み返したくなる面白さもあり。本好きの私にとってしおり先生の紡ぐ言葉がどれもすっと心に染み込んできたり。

    人はこうして、いくつ歳を重ねても、物語の中の登場人物に救われたり、想いを馳せたり、温かい涙を流せたりする。物語はやっぱり、私たちをどこへでもどこまでも連れて行ってくれるんだ。

    2021.5.1 読了

  • 中学生の女の子の、自分の事しか見えなくて居場所や存在に不安を抱える気持ち、大人になると、踏み出せば変わると気づくけど、その時は怖くてできないのだろうな。そんな女の子達にふんわり関わる学校司書のしおり先生。意地悪な子に加勢するかのようなクラスの人や頭のかたい担任や理解のない親に違和感があるが、1人でも「ここにいていいよ」と言ってくれる人がいて良かったかな。ここまで生徒に関われるほど、学校司書の立場は学校の中では重くないのが現実ですよーー(笑)

  • 中学生の心の機微の表現は、武田綾乃さんや住野よるさんみたい。最終話の大ネタにはまんまとやられた。そうそう、どこか変だよなとかどう絡めてくるのかなと、その章を読んだときには思ったけれど、それ以外のつながりの目くらましのおかげでその違和感はどんどん隅っこに追いやられて、いい塩梅に忘れかけていたころにズバッと切り込まれるから、ころっとやられる。『medium』のときみたいだ。しおり先生は「お仕事を教える係になるのです」「関係ないのです」とかって胸をそらして言ったり、おすすめおしえてノート(っていいね!)を「じゃーん」と言って得意げな顔で差し出したり、可愛い大人の女性って感じ。CV花澤香菜さんで脳内再生されていた。『言の葉の庭』のイメージを思い出したからかも。多用されている今どきの話し方は賞味期限が短いのかも。中学校のころって学年やクラスが違うクラスの前の廊下はたしかに通りづらかったなという記憶を思い出した。

  • 久しぶりに「あぁ、いい本を読んだなぁ」としみじみと感じた一冊。登場する女の子たちは思春期真っ盛りの中学生。色んなことに多感で、恋も友情も楽しい時期なのに、其々孤独や不安を感じ、未来を絶望している。大人になって振り返ればなんてないことも、その時は人生の終わりのように感じて、私なんて…と悲観的になっている。兎にも角にも生きることに必死なのだ。私もそうだった。そしてそう感じる人は意外に多いのではないだろうか。この物語の女の子たちは、本を読むことで救われていく。司書のしおり先生が投げかけてくれる言葉と共に。私も学生の時、こんな風に話しかけてもらいたかったなぁ…と何度も思った。それくらい、しおり先生の言葉は心に沁みるのだ。ノートに書き留めたいとこんなに思ったのは久しぶりのように感じる。最後の章でサプライズがあるのも相沢先生らしい。学生にはもちろん、大人にも強くおススメしたい一冊。

  • 【収録作品】その背に指を伸ばして/しおりを滲ませて、めくる先/やさしいわたしの綴りかた/花布の咲くころ/煌めきのしずくをかぶせる/教室に並んだ背表紙 
     珍しく? 直球のメッセージがある。ちょっとした叙述トリックも。

  • きっと 誰もが感じたことのある気持ち
    思い出して 心のささくれに胸が痛む 切なくて苦い幼い頃の自分

    しおり先生の 生徒たちとの関わり方が 押し付けではない優しさで素敵だと思った
    そして さりげなく本との橋渡しをし 読書の素晴らしさを気付かせてくれる

    私も自分の好きな本を こんな風に 大切な人へ伝えることが出来たらいいな

  • 教室に並んだ背表紙
    著作者:相沢沙呼
    発行者:集英社
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    偶然クラスメイトが捨てた下書きを見つけてそれを利用しようとするが、

  • 中学校の図書室を逃げ場とする生徒と司書の先生の触れ合いや使われていない図書室で、本にはさみこまれていた謎の手紙のエピソード、読みたい本の情報を書いて調べる「おすすめノート」など興味深かった。本と図書館を愛する人に読んでもらいたい感動作です。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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