教室に並んだ背表紙

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716948

感想・レビュー・書評

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  • 最終章はメッセージ性が強く、心に響いた。
    読書をする意味、自分から感覚を離す想像力の大切さが丁寧に説明されていた。自分も詰んだ絶望感を味わっているので、未来は想像もしないことがあると信じてみたい。
    『花布の咲くころ』の図書委員は誰だったんだろう。
    『しおりを滲ませて、めくる先』は主人公のきっかけは描かれたが、いきなり馴染んだので過程も描いてほしかった。

  • ほんの少しのひび割れが、大きな崩壊へとつながっていく。しかしそこにあるのは悪意ではなく、自分を守ろうと必死に生きる、一人ひとりの息づかいだった。中学生だった自分に、語ってあげたい物語。

  • 図書室を舞台にした連作短編集。
    中学生ならではの悩みや葛藤が綴られています。

    なんであの年頃は学校しか世界がない感じなんですかね?世の中は広いのに。カーストがうざったくて仕方がない 笑

  • いつかの自分と重なる部分が多い。色んな感情が自分の中に溢れてきていて、読むのに時間がかかった。読み終わると暖かい気持ちになれた。小学生のときは、本が大好きでたくさん図書室へ行っていたけど、中学、高校の図書室は覚えていない。本以外に夢中になることがたくさんあったのだろうと思う。こういう出会いもあるのかもと思うともったいないことをしたなと思った。

  • 何者でもない私。スクールカーストの下の方に存在する私。弾かれないように息を殺してる私。図書室で先生と本に出会い、少しだけ変わる。でも、変われない悩みもあり、変わりそうな自分をもてあます悩みもあり。
    私も本に、図書室に、救われてたからひりひりしたけど、読んでよかった。

  • 自分も今学校が辛くて、ここの作品紹介を見て借りてみようと思った本だった。
    私はこの本に出てくるあかねと同じで読書感想文を書くのが得意ではないが、頑張って書いてみようと思う。

    しおり先生は優しくて謎の多い先生だった。最後まで読んでやっと正体が分かった。うちの学校にもこんな話しやすい先生がいたらいいな、と思った。

    あとは三崎さん。他の人の話にも登場し、他の人の視線で描かれている時はどんなことを思っているのか分からなかった。しかし最後の話で、三崎さんがどれだけ辛い思いをしていたか知ることができた。少しだけ昔の自分に似ていて、共感できる部分が多かった。

    この本は全体的に現代語(?)を多用していて、学生が馴染める本だと思う。中には陽キャしか使わない言葉もあるが、意味は伝わりやすい。

  • 図書室ものという事で評価が甘くはなってしまいますが、表紙やイラストの漫画っぽさに比べて、登場人物たちの痛々しさがかなりリアリティが有るので、読んでいてヒリヒリする感じがします。
    これは自分自身がいじめに遭っていた高校時代に、図書室や本にどれだけ救われたかという実体験を伴っているからだと思います。
    行き場所がない人を優しく受け止めてくれるんですよ、本という存在は。そして本のつどう図書室や図書館というのはその集大成です。是非居場所のない子供たちは図書室へ。
    他のドリーミーな図書館ものと違って、本で何かが劇的に改善する事なんて無くて、とにかく一時避難場所としての図書室なのが本当にリアル。
    連作の中でずっといじめられている姿が風景のように存在する、三崎さんの章が本当にきつかった。女王のように君臨するクラスメイトに、ふとしたきっかけで存在を全否定されて、お弁当を食べる場所も無く学校内をさまよう・・・。ああ、こういう子は世の中に無数にいるんだなあと思うと、人間って嫌だなと本当に思います。
    いじめてもいい存在というのが自分の中にいる事が、どれだけ精神的に穢れているのか自分で気がつかないのが恐ろしい。精神的な殺人者だと思います。
    とても良い本です。もっと読まれてもいい作品です。

  • なんとなくの表紙買い、図書室が舞台とのこともありましたが、
    様々な女子中学生たちの、「読書」を切り口にしての連作短編集となります。

    劇中に出てくる「本」は実在か架空かはわからずに、
    ふわっとしたあらすじのみで、気になってしまいました。

    これらが実在するのかどうかを探してみるのも楽しそうですが、
    架空であったとしても、『レインツリーの国』のような派生があったら面白い、とも。

    連環としての大きな仕掛けは二つ、名前にこめられたつながりと、
    行き違いから生じたズレが次第に収束されていく、そんなつながり。

    学園ものとして読んでも興味深いですが、、同世代の息子がいる身としては、
    どうしても親目線でみてしまうな、と感じつつ、どちらかというと、

    学校司書として、図書館という「場」を構築していくのが、楽しそうだなぁ、、と。
    自分が好きなもの、大切なものを語り会える友人ってのは、一生モノだな、なんて感じた一冊。

  • 新刊の告知を目にしてビビビッときて、次女あたりが好きそうなジャンルだと思ったので本人にも聞いてみたら案の定読んでみたいというので購入してみた。

    とある中学校の図書室にいれかわりたちかわり訪れる生徒が順に主人公になる6つの連作短編。もともと騒がしいのが苦手で本が友達という子もいれば、本など読まないけど教室の居場所を失って逃げ込む子もあり。助けを求めてくるわけじゃない、図書館や本が助けてもらえるところだなんて知らずにいる子も多い。いまどきな話し言葉や抱える不安に自分を重ねて共感できる女子中学生も多そう。全編を通してちょっとした謎解き要素もあって、後半は読み終えた章を何度も読み返してしまった。作品中でキーとなる短編集は、おそらく架空のものなのだろうと思うけれど、実際に「恋愛も部活も友情もでてこない中学生の物語」でおすすめできるのってなにがあるのかちゃんと考えてみたい。
    現実は物語のようにはうまくいかないことにもやもやして物語が楽しめないという中学生が作中に何人かでてくるが、せめて、現実の学校の図書室はしおり先生がいて自分からSOSを出せないような子をさりげなく見守ってくれているこういう場所であってほしいと願わずにいられない。願わくば、こういう物語に陽キャで本好きな女の子や、いろんな男の子ももっとでてくるといいんだけどな…。

    あなたには図書室という居場所もあるよという物語でもあり、ともだちには意外な一面や秘めた一面があるかもしれないよ、という意味では森絵都『クラスメイツ』などと並べておきたい。

  • 学生生活を迷いや不安を抱えながら送っている人に読んでほしい一冊。
    読書が苦手な方でも読みやすいと思う。

    本書はとある中学校の図書室を舞台の中心とした短編集となっている。
    それぞれの話に別々の主人公が存在するが、
    いずれも同じ中学校に通う女子生徒という共通点があり、図書室や本をテーマとして話が展開する。

    主人公それぞれが学校生活における人間関係に苦しんでおり、彼女達の心の葛藤が繊細に描かれている。

    大人からすれば「些細な出来事」であっても、
    思春期の学生からすればその「些細な出来事」に対応する方法や心得もなく、また「学校は絶対的なもの」であるため苦しくても逃れることはできないという強い思いがある。
    そのため、彼女達はその狭い世界の中で逃げずに戦い続けることを強いられて心を削られて行くが、唯一の「拠り所」との出会いにより少しずつ変化していく。

    本書は、本書の主人公と同年代の人に特に読んでもらいたいが、日々をモヤモヤしながら過ごしている大人にも良い一冊だと思う。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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