教室に並んだ背表紙

著者 :
  • 集英社
3.85
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感想 : 215
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716948

感想・レビュー・書評

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  • 連作短編。
    とても良い本だったけど、大人の私でもちょっと読むのが辛いお話だなぁ。
    小中高生なんて、学校が全ての世界で居場所がないのは本当に辛いことだと思う。
    お弁当を食べる場所がなく、お昼休みに食べる場所を探してうろうろするなんて。
    本当に逃げてもよくて、そこから先は大人の役割だと思った。
    しおり先生の正体はあの子だったのね。
    表題の話が1番辛いけど、一番良かった。

  • mediumを読み終えて、同じ作者とは思わずと図書館で借りた順で読みはじめました。
    中学生の女の子独特の雰囲気、中心からは外れている、外された子、それぞれ思うこと、感じることは、さまざまで、心理描写がよかったです。
    中学って特に、学校がすべてだと思うときだったな。と思いました。

  • 読みやすい作品ではあったけど、盛り上がりには欠けるかなぁ。

    いじめの内容とすればよくあるものだったけど、その心情が細かく書かれていることで、より残酷なものに感じる文章だった気がする。

    共通の話題で盛り上がることができる相手がいるっていうことは幸せなことだ。

    素晴らしい本に出会えることは、素晴らしい友人に出会えることと同じくらい貴重だと思う。

  • "物語を読むこと"に対する感性、読書観が似ている作家さんはそれだけで信頼に値するけど、また新しい物語との付き合いかたを教えてくれた。
    モラトリアムのいま、読めてよかった。大人でも子どもでもないいま、これが刺さる感性のいま、読めてよかったなぁと思う。たぶん昔読んでたらはここまで刺さらなかったし、これが刺さる感性の大人になりたいと思う。

  • 最後の「教室に並んだ背表紙」を読むと主人公を
    高校時代の自分と重ねてしまって涙が出た。

    居場所がなくて、勉強も出来ないからどうせ受験も失敗して未来もないだろうし
    人生詰んでるとしか思えなくて。
    だから本と出会った時も、特に自分と同年代の主人公が恋や部活や勉強で青春を謳歌しているような小説も、絶対的なヒーローが助けてくれる小説も大嫌いだった。
    自分の世界がより孤独で救いようのないものだと突きつけられたように感じて、本の世界でも現実逃避さえさせてくれないのかよってまた苦しい苦しい気持ちの波がやってくるから。

    でもこの小説は、あの頃の自分を抱きしめてくれたみたいに優しくてあたたかいな。

    『学校で過ごした時間で、すべてが決まってしまうなんてこと、絶対にないよ。そんなのに勝ち負けなんてあるはずがない。あっていいはずないよ。たとえきれいな青春を過ごさなくたって、わたしたちは生きていける。生きていてもいいの。だから今という時だけですべてを決めつけたりしないで』

    『物語の中で助けてくれる人も、あなたと出会うために存在しているのかもしれない。わたしたちは物語を通して、そこに生きる人たちと出会うことができる。その言葉と優しさは、きっと本物だよ。実際に誰かと出会うことができなくても、物語に込められた願いは、あなたを救ってくれる』

    『だから、寂しくて、迷ってしまったときには物語を読んで。きれいな言葉にふれて、想像力を育んで、他人の心を理解出来る人になって。そうして、優しさをたくさん身につけて、すてきな大人になってね』
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    それと、この本を読んで思ったのは、
    本を読むということは、誰かの人生を読むということ。
    例えそれが空想の人物であろうと、読書で感動したり感情移入ができる人は、きっと現実でも誰かに寄り添える心を持った人じゃないかと思う。

    『あたしは、きっと誰かにあたしを読んでもらいたい。ほんの僅かな間でもいい、そのひとさし指でこの背に触れて、窮屈な書架から抜き出してほしかった。あたしという物語を、好きになってほしかった。』

    『でも、未来が考えていたものと違ったとしても、そのときに抱いていた気持ちは、きっと無駄になんてならないと思う。あとで懐かしんで、そのときの思い出に、そっと栞を挟んで読み返したくなるような、大切な時間になると思うわ。』

    『心を具現化してくれる魔法のページ』

    『静謐』

    『本や物語に、貴賤はないよ』

    『この涙は、あなたがくれた、優しさの結晶なのだから。』
    いつか、別れをこんなふうに捉えることが出来たらいいな。
    ー❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆❆ー
    お酒を飲んで、大人になってよかったと、こんな自分でもなっていいんだと思いたい

    が傘をさしてくれたように、そんな経験がある人はまた誰かのための居場所を作ることができると信じたい。
    そのあたたかさを知っていると思うから。
    2023.9.6

  • とある中学校の図書室と、司書のしおり先生を繋がりにして描かれる様々な女子中学生たちが主人公の短編が6編。各話の繋がりを発見するたび、おっ!と楽しくなる。
    きらきら!部活!青春!みたいな題材が苦手だったり(苦手じゃなくても)、学校生活とかに悩んでいる(悩んでなくても)中高生にぜひ読んでほしい本。きっと世界が広がると思うし、救いがあるかもしれない。もちろん大人にも。

    中学生って、みんな多感で、だからこそ居づらいとか、大人に近づきつつある、でもほとんど子どもらしい心で、なかなか自分の本心が分からなかったり、何か分かっててもうまく言葉にできなかったり、クラスメイトや友人とうまくいかなくてモヤモヤすることもある。そういうところの描写がとてもいい。それぞれのお話ごとに、主人公の悩みや考え方やモノローグに個性というか、その子らしさがしっかり詰まっていて良き。
    読みながら、なんか寄り添われてるなぁって感じられる。
    学校生活って、キラキラしてて楽しい!だけなことってなかなかないよね。人によってはつらいことの方が多かったりする。そんな時にキラキラした物語を読むのは苦痛だって子が本書の主人公の中にいて、たしかにそうだなぁ…と思い返した。
    中学生までの頃って、ほんと(親の協力次第だけど)学校以外に行くとこがないんですよね、行動範囲が狭くて。だからそこに居場所がないと「終わった」と思っちゃう。そういう感覚も読みながら思い出しました。
    困った時大人になかなか頼れないのも。
    私が中学生の頃に読んでいたらもっと共感していただろう。なんせクラスメイトや先生とうまくコミュニケーションが取れるような中学生ではなかったので…いわゆる陰キャってやつですね。まあ、あまりそういう区別の仕方をするの好きじゃないんですけどね。最初からそういう区別をしちゃうと、相手や自分を見る目が曇りますから。

    表紙イラストや装丁も派手すぎずかわいらしくて、各話の最初にあるそのお話に添ったイラストを見るのも楽しい。 

  • 最近お世話になっている“図書館”を舞台にした作品だったので読んでみることに。
    ミステリー要素?があると思っていなかったので、しおり先生の正体が分かったときはビックリ。ちょっと違和感あったよな~っと読み返す…
    読んでいて心が辛くなる部分も多くあったが、しおり先生の優しく寄り添いつつ、しっかり守ってあげて中学生達が前進していく様子が良かった。しおり先生のようになりたい。
    そして、やっぱり読書良いなと思える本でした。『おすすめおしえてノート』素敵だな。

  • 読みやすいんだけど、読んでて辛くなってくる内容だった。特に表題の作品はすごく辛い。お弁当の件なんてそれだけで泣けてくる。いじめ嫌だなぁ、、しおり先生助けてあげてって思いながら読んだ。。
    最後、しおり先生の正体がそのまま悩んでいる女の子たちの希望に繋がる感じがすごくいいと思った。大人になるっていうのはこういうことなのかな。

    世の悩める若者に読んで欲しいけど、同じくらい、こんな世界だけじゃないよとも伝えたい。

  • すごく良かった。学生時代の苦労を思い出して気持ちが沈む場面もあったけど。けどそんな私も大人になれてる。いま苦しい思いをしている子が大人になるのを諦めないでいて欲しい。大人な私も癒やされた。しんどいときは助けてって言えばいいのは大人も同じ。

  • 学校ってこんなに悪意が満ちてる場所ですっけ??ってくらいなんか重い。今時はこうなのか?自分の時は鈍感すぎて気が付かなかったのか?
    最近の学生物の小説はこういういじめが多い気がする。クラスみんなで誰かをいじめる様な。テレビなんかもそうかも。
    なんか辛いな。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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