教室に並んだ背表紙

著者 :
  • 集英社
3.85
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本棚登録 : 2497
感想 : 215
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716948

作品紹介・あらすじ

「私は欠陥品なのかもしれない。自分が大人になれるって、無条件で思い込めるみんながうらやましい」(本文より)

中学校の「図書室」を舞台に、クラスへの違和感や未来の不安、同級生に対する劣等感など、思春期の心模様を繊細に描き出す全六編の連作短編集。

【著者略歴】
相沢沙呼(あいざわ・さこ)
1983年、埼玉県生まれ。09年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。11年3月「原始人ランナウェイ」が第64回日本推理作家協会賞(短編部門)候補作となる。18年『マツリカ・マトリョシカ』が第18回本格ミステリ大賞の候補に。19年『medium 霊媒探偵城塚翡翠』が国内ミステリランキングを席巻し、大ヒット。その他の著作に『雨の降る日は学校に行かない』『小説の神様』など。

感想・レビュー・書評

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  • 中学生には色々な悩みがある。そんな時にしおり先生がいる図書館に行ってみてはいかがでしょか。司書でもあり、時にはカウンセラーのような存在のしおり先生。それは彼女の過去に秘密があった。1度読んだらまた再読してこの謎を解いてほしい。

  • 学校の中で窮屈な想いをして過ごす女子生徒たちに焦点を当て、それぞれの目線から浮かび上がってくる物語たち。
    いじめをテーマにしてはいるものの、本作では逆襲や仕返しは描かれていない。
    物語は現実の圧倒的な情報量や時間の流れの中では不利だし、何の役にも立たないがそれでも物語にしかできない事がある。
    静かな物語だ。大掛かりな仕掛けも、目を見張るような展開もない。
    だが、それがいい。

  • 自分が抱く本に対する考え方と似ている部分が多々あり、共感しながら読むことが出来た。

    青春の良さを実感。

  • 中学校が舞台の図書室物語。レビューを拝見しても実に多くの方が同じような思いや経験をしている事が窺える。それだけここで語られる家庭や学校生活、カーストやいじめ、将来への不安や恋愛事情などが日常であり、誰もが経験しうることであるのだ。その只中にいる人にも、なんとか乗り越え大人になり回想する人にもそっと寄り添う本であろうと思う。

    流す涙のネガティブなイメージからの変化。「優しい気持ちで流す涙で、…」

    気づき。「誰も助けてくれないのは、助けてって声をあげなかったからだって。…」

    なにもない、ただ好きなものがあるだけ。「いくつになっても、好きを始めることはできるもの。人間は、人に出会って…」

    私の琴線に触れたフレーズである。読者一人ひとりに寄り添い、語りかけてくれるフレーズがあるでしょう。
    言葉は生きていると感じます。現代小説ですから『若者言葉!?』(こう書く時点で私は古いのだが…)が使用されるのもわからないわけではないが(私なりに理解して読むも本意はあやしい)、数年後、その言葉は使われなくなりきっと「?」となるのかなと思ったりもしました。

  • 読書を始めてよかったって思うような心温かくなる物語でした。
    自分の中学生時代を思い出して懐かしい気持ちになったり読書の世界にのめり込む前の自分はこの子と同じ気持ちだったなと思ったり。
    本を読んでいる時、読んだところの内容が頭に入らないと次に進められないから何回も同じ行を読んだりして(笑)
    授業の課題として選択された本を読むように言われても、かまえてしまって良い読書感想文を書かなきゃ!ってプレッシャー感じるよねって共感したり。
    しおり先生の言う言葉めっちゃ分かるってなってうんうん頷いていた。
    自分が小学6年だった頃にこの本と出会いたかったな。

    【印象に残った・心に刺さったことば】
    大人になっても、やっぱりたくさん泣いちゃうことに変わりはないんだけれど…。けれどね、嬉しかったり、感動したりして、涙を流すことも増えてくるの。優しい気持ちに包まれて、胸が温かくなって、じんじん心が揺れ動いて…。そうして流す涙は、とても優しい温度をしているんだよ


    読書のスピードは、遅い方だった。気に入った文章を口の中で転がしながら何度も読み返してしまうからなのだろう。好きな歌を口ずさむみたいに、心に入り込んできた文章を眼でなぞっていくのは、思いのほか心地いいから。

  • やさしいお話でした

  • それぞれが抱える悩みはリアル寄りだけど、解決への道のりはややファンタジー。現実はなかなか厳しい。でもだからこそ小説の中では温かい世界が見たい。中学生って微妙な年代だから、女子間での関係は難しいよね…なんかいろいろ思い出すな…

  • 『おすすめ教えてノート』図書館とかでも取り入れられればいいなぁ。
    星野さんたちのその後がどうなってるのか…先生たちはどう対応するのか、その先を見てみたくなる。
    しおり先生のように、寄り添いながら生徒たちの心の支えや居場所となれるって、これからの時代とても重要になりそうだ。

  • 教室に並んだ背表紙/相沢沙呼
    最初の図書委員会の子が主人公の話を読んだ時、なんか私っぽいなと思った。その分共感できるところが多く、上手に生きたいのに生きられないもどかしさを感じる。私のいるところにしおり先生みたいな人がいて欲しかったな。先生の正体にびっくり 思わず感泣 #読了 10/15

  • 最近お世話になっている“図書館”を舞台にした作品だったので読んでみることに。
    ミステリー要素?があると思っていなかったので、しおり先生の正体が分かったときはビックリ。ちょっと違和感あったよな~っと読み返す…
    読んでいて心が辛くなる部分も多くあったが、しおり先生の優しく寄り添いつつ、しっかり守ってあげて中学生達が前進していく様子が良かった。しおり先生のようになりたい。
    そして、やっぱり読書良いなと思える本でした。『おすすめおしえてノート』素敵だな。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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