山のある家 井戸のある家 東京ソウル往復書簡

  • 集英社
4.00
  • (0)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 26
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087748574

作品紹介・あらすじ

日韓を代表する女性作家が、交わし合った二四通の手紙。野菜や花の話、子どものころの回想、家族への思い、そして文学のこと…。ささやかな、でも美しい賜物のような経験…。移ろいゆく季節のなかで、ゆっくりと深みをましてゆく理解と共感の一年間。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 記憶がない父太宰治、周囲の方が太宰治を知っている状況の中で母の姓の育つとはどんな気持ちなのか語られ興味深いです。それ以上に、時間的には申京淑さんの「母をお願い」を書き上げる以前ですが、往復書簡の中で、ほぼ「母をお願い」の構成要素が見て取れたことに得した気がしました。こんな風に、ひとつの作品を書く前は小説の素材にかかわることを信頼する相手に重ね重ね語りながら、構想していくことがあるんだと知りました。

  • 津島佑子(小説家。太宰治の娘)と申京淑(韓国の小説家)の往復書簡。文学が世界を変えるかもしれないと思わせる素晴らしい本

    2人のキーワードは 喪失と再生。2人の文章には 「喪失の悲しみと再生の喜び」「時間を経て 喪失から再生が生まれる」が随所に見られる

    2人が伝えたいのは「国、言語、歴史が違っても、共通している 文学、小説家という仕事、女性、家族との関係などをキッカケに、時間をかければ、お互い 理解し合える」

    男性的な野蛮な政治や愛国心では解決できないと思うが、この本のように 母親的な柔らかい対話で 日本と韓国の関係が再生に向かえばいい

    印象に残ったのは「生きるということは、違う形に変化していくこと〜」

  • あるシンポジウムで日本の作家と韓国の作家が出会い、手紙のやりとりをするようになる。冬から始まり冬で終わる、往復書簡によってなりたっている。移ろう季節のこと、節目の習わしや行事のこと、家族や住まいのこと、なんと赤裸々に綴られていることか。特に津島氏の、まわりが口をつぐむ父という人について、自分の力で知り得た経緯や、亡くなった兄や、息子のことなど、なんだか人の手紙をこっそり読むような後ろめたさを感じたほどだ。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

【著者】申 京淑(シン ギョンスク)
1963 年、全羅北道井⾢市⽣まれ、ソウル芸術⼤学⽂芸創作科卒。22 歳で⽂壇デビュー。詩的で独特な⽂体で⼈気を博し、韓国⽂学を牽引する作家となる。李箱⽂学賞、現代⽂学賞、万海⽂学賞、東仁⽂学賞など受賞多数。2008 年に発表された『⺟をお願い』(安 宇植 訳、集英社⽂庫)は、世界 41 カ国で出版され、252 万部の⼤ヒットとなった。2011 年、同書でマン・アジア⽂学賞受賞。そのほかの邦訳作品に『離れ部屋』(安 宇植 訳、集英社)、津島佑⼦との往復書簡集『⼭のある家 井⼾のある家』(きむ ふな訳、集英社)、『⽉に聞かせたい話』(村⼭俊夫 訳、CUON)、『オルガンのあった場所』(きむ ふな 訳、 CUON)などがある。

「2024年 『父のところに行ってきた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

申京淑の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
エーリヒ ケスト...
ウンベルト エー...
三浦 しをん
村上 春樹
エラ・フランシス...
ヴィクトール・E...
村上 春樹
カズオ イシグロ
ミヒャエル・エン...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×