インターセックス

著者 :
  • 集英社
3.72
  • (61)
  • (96)
  • (105)
  • (13)
  • (3)
本棚登録 : 508
感想 : 120
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087753868

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「エンブリオ」の続編。
    インターセックスというものを知らなかったので、日本にも百万人はいると推測されるとは驚き。
    この問題がどれだけ隠されてきたのか。
    その他、幼児の臓器移植問題等 医療の問題点が山積み。
    考えさせられます。

    「エンブリオ」で発生した、火サス並みの殺人件数はどうなのかなと思いますが、
    岸川院長の医学への情熱や病院運営法など、「インターセックス」を読む中では簡単に殺人へと進む人とは考えずらい。
    これはやはり「エンブリオ」から読むべきでしょう。
    とても面白かった。

  • 「エンブリオ」の続編で、いわゆる両性具有/具無を設定にしたミステリー。

    両性具有=人ならざるもの・特別なものというイメージであるが、
    実際はただの人でしかないわけで、たとえば恋愛・結婚を考えたときに、
    「性を二つ持つ、或いは性を持っていない」というのは
    どんなにか大変で辛いことだろうと思う。

    そういったところで、非常に考えさせられる小説。
    また、これで一応この病院の話は終わりなのかなと思うけど、
    病院の今後が気にる…。

    「インターセックス」な人の数は決して少ないものではない、というのにも驚き。

  • 100人に1.5人。
    インター・セックスの人の割合。
    性同一性障害とは違う
    男女の中間の人々の存在。
    染色体はXYなのに女性。
    染色体はXXなのに男性。
    性器が不完全な人。
    男女両方の性器を持つ人。
    現代だけではなく
    古代からのことなのに
    これまでほとんど考えたことはなかった。
    そして性差医療。
    大切なことなのに知らなかった。
    殺人の推理小説でありながら
    新しい分野の知識も得ることができる
    楽しめて学べる作品。

  • 圧倒的なボリュームで「インターセックス」という人々を、言葉を、読む人の記憶に刻む本。

  • 世の中に存在するのは男と女だけじゃない。視野と知識が広がった一冊。話の半分はインターセックスの人々の生き方について、もう半分はその医療と向き合う医者と扱う病院の話。臓器移植の話も書かれていて、医療のことは全く無知ではあるけれど、興味深かった。


  • 性の尊厳を巡る書き下ろし医学サスペンス
    「ひとは男女である前に人間だ」。
    インターセックス(男女どちらでもない性器官をもっていること)の人々の魂の叫び
    。高度医療の聖地のような病院を舞台に、医療の錯誤と人間の尊厳を問う書き下ろし長編。

    読み進めていくうち
    初めて知った事が多く
    衝撃的な1冊でした。
    しかし、分厚くて重かった〜(笑)

  • この人のミステリは内容が濃いのですが、
    淡々としていて、流れが同じなのが残念。

    この1冊だけだったらおもしろいと思います。

  • 初めてインターセックスという状態について知ったのは、「内科学」という本でだった。
    性染色体の分裂がうまく分裂できず、XXYとかXOとかXXXとかで産まれてくることがある、というのを知って、単純に「なるほど」と思ったのを覚えている。
    その他にも、ターナー症候群やアンドロゲン不感受性症候群などの記述があり、そういうこともあるんだな、くらいの気持ちで読んでいた。

    最近、性同一性障害は社会で受け入れられ始めてるとおもう。
    はるな愛みたいに、「おっさんやん」みたいにはやされることもあって、まだまだ生きやすい社会ではないかもしれないけど、社会的な認知度はすすんだと思う。

    インターセックスは、そういう面でまったく社会的地位は得られていない。
    存在すら知らないことがほとんどだと思う。


    私も、インターセックスという状態があることは知っていたのに、当事者のしんどさについて考えることをしていなかった。
    それでは、存在を知らないこととまったく同じことだと思った。
    この本の中では、100人に1.5人は何らかの程度のインターセックスであると述べられている。
    300人の学校なら、4人はいる計算になる。
    これは、まったくひとごとではない、自分の知ってる人にもインターセックスで悩みを抱えている人がいてもおかしくない。

    「インターセックスは第三の性である」という考え方は、これから私がインターセックスの人と出会ったときに、基本となる考えの一つになると思う。
    よく「個性」というけど、インターセックスは個性の一つである、と思える。
    個性ということの意味が、少し分かった。
     

  • よかれと思って 多数派に 少数派を合わせようとする多数派でいる方が 何かと簡単だけどでも 世の中 いろいろな人 がいて それでいいんだと思うこの本を見て インターセックスに 興味をもったひとは 新井 祥 さんの 性別がないということ も 読んだらいいと思います。

  • エンブリオの続編。医療内容がどこまでが真実かわからないが、両性具有がそんなに珍しいことではないということは驚き。小説としては、都合よすぎだし、ラストも納得いかないが、面白いかったことは事実。

全120件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

帚木蓬生の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×