インターセックス

著者 :
  • 集英社
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感想 : 120
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087753868

感想・レビュー・書評

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  • 私が始めて「インターセックス(両性具有)」と言う言葉を知ったのは、鈴木光司さんの小説「リング」でだったと思います。
    貞子が「両性具有」かもしれないみたいな記述がありました。
    意味が解らなくて、多分調べたのだと思います。
    そして、私は「両性具有」とは、男でもあり女でもある人だと理解しました。
    でも、この小説を読んで、インターセックスとは、男でもなく女でもない人だという事がわかりました。
    原因はわからないけど、男でもなく女でもない、神様のいたずらのような赤ちゃんが産まれてしまう。
    現実にも存在するのでしょう。
    医者の手によって、何回も手術を繰り返されて、心はずたずたにされ、体は傷だらけ。
    でも完全に男にも女にもなれない。
    性同一性障害は、入れ物が間違えで産まれてしまう事。
    こちらもすごく悩み葛藤すると思う。
    でも手術で入れ物を変える事が出来るけど、インターセックスはけして変える事は出来ない。
    この小説の主人公の女性医師はそんな性差医療の現場にいます。
    親友の殺人事件も絡んでくるけど、大筋でインターセックスの事が詳しく描かれています。
    軽々しく感想を述べてはいけない本だと思います。
    でも、自分の誤った知識が正された事が、この小説に出会った大きな収穫だと思います。

  • ※インターセックスとは・・・
    古くは半陰陽、両性具有と称されたが、
    外性器の形状や生殖部、染色体が曖昧で、男女の一方に分類できない人々。
    広義に見ると100人に一人の出生頻度で出現する。

    サンビーチ病院の泌尿婦人科医の秋野翔子は、
    インターセックスの患者たちのために、親身になって治療をしていた。
    しかし、友人の死に、院長がかかわっているのでは?という疑いを持ち、
    その真相を探るうちに、過去にもいくつかの不可解な変死があったことを知る。


    人間は男と女の2つに分けられるものだと。。。
    それが当たり前のことだと思っていたけれど、
    そうではないのだと、衝撃的な現実を、この本は教えてくれた。
    そして、そのあいまいな性に生まれたばかりに、
    苦悩の人生を送る人々がいることを。。。

    最初は好奇心で読み始めたのだけれど、
    しみじみと読みふけりました。
    作者が医者であるからこそ描けた問題であり、
    テーマとしては重く衝撃的ではあったけれど、
    愛と希望があふれる物語でした。

    この本だけでも面白いのですが、
    できれば先に「エンブリオ」を読むと、もっと楽しめると思います。

  • 冒頭の裁判は前置胎盤がからむお産での死亡したやつかな。
    判決無罪で控訴しなかったはず。。
    海堂尊の“ジーン・ワルツ”も産婦人科医のシビアな現場が描かれていたな。
    この本はインターセックスについて。
    しらないことばかり、人の内面が大事だな。
    問題提起された感じ。
    たくさんのひとがこのことを知るといいな。
    美奈ちゃん、隆太くん、珠美さんなど頑張ってほしいな。
    秋野翔子先生も。
    サンビーチ病院・岸川院長と秋野翔子先生との出会いから始まる。

    2009/2/5

  • 性別という問題、生殖医療という問題。

    医療に詳しい作家だからこそ書けるフィクション。

    半陰陽という言葉をご存知だろうか?

    男性器のような、女性器のようなものを持つひとのこと。

    男性と女性という単純な二択しかないようにみえて、

    人間には様々な性があるということを忘れるべからず。

  • 友人に借りて読みました。様々に考えさせられることの多い小説でした。分厚い小説でしたが、二晩で読み終えました。

  • いやー、面白かった。久々の大作。読後の達成感が素晴らしい。医療モノはやっぱり医師の作者に限る。翔子の告白には、びっくりした。インターセックスの出生頻度が思ったよりも高いことにもびっくり。性は二種だけじゃないことを心に刻みたい。

  • 相変わらず読みやすい文体で、長編でも苦になりません。前作にあたる「エンブリオン」の内容は完全に記憶の彼方でしたが、特に支障はないようです(笑。「インターセックス」とは器質的な異常により男性とも女性とも区分しがたい、言わば「第3の性」のこと。性同一性障害については昨今広く知られるようになってきましたが、これとは本質的に異なります。この作品をきっかけとして世の中の理解が進みますように。

  • エンブリオという小説の続編のようですが、そちらを読んでいないので、内容の中にわからないことがありました。くぅ〜残念。インターセックスとは言葉通り、男と女の間にある性。半陰陽という言葉は知っていましたが、インターセックスがそれだけではないことを知り、驚愕でした。たぶん、今まで触れることすらタブーにされていた事なのだと思いますが、世界中の人が男と女意外の人たちの存在を知り、認め、すべての人間が平等に生活していく上でこれからオープンにしていくべき問題だと思いました。それプラス、サスペンスが組み込まれていて、とても面白い作品でした。

  • 箒木に俺が嵌り直したw『エンブリオ』の続編にして完結編。<br>
    <br>
    やはり、この人の作品は深い。<br>
    <br>
    そして、暗い。<br>
    <br>
    こんなに面白いのに、それほど売れないのは何でだろう・・・<br>

  • タイトルに惹かれて買いました。インターセックスとはこういうものなのか、と目から鱗が落ちるような感じ。ミステリとしては、犯人の目星は割合直ぐにつくと思います。でも、ミステリとして読むというよりはどちらかというとマイノリティに対する意識の持ち方を考えよというメッセージとわたしは受け取りました。

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著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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