インターセックス

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 508
感想 : 120
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087753868

感想・レビュー・書評

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  • 両性具有についてかんがえさせられる

  • ずっと読んでみたかった本をついに読了。インターセックスは漫画やドラマにもなっているので最近は結構感心の高い分野かとも思われる。
    感想は、こんなものか。。。といった所。興味をそそられるが、必要?と感じてしまう部分やそうやって終わらせて欲しくなかったなあという個人的な感想が先に来てしまった。
    白か黒でないのは賛成。

  • 「エンブリオ」の続編。
    読もう読もうと思いながら結構経っていて、細かいところは忘れてしまっていたのだが、ストーリーを思い出させてくれるような展開に徐々になっていて助かった!

    前作はひたすら後味が悪く、ある種のおぞましさも手伝ってかなり衝撃的だったのだが、本作はそれほど衝撃もなく、おぞましさもなく、「悪」としての岸川も殆ど描かれておらず、やや物足りなくもあった。前作で、著者自身の医者のとしての良心が痛み、本作を書かずにいられなかったのだろうか?とすら思える。一読者としては、あれはあれで別によかったような気もするのだけど。

    ただ、「インターセックス」として生を受けた人々の苦悩は、私など単に想像の範囲でしか理解し得ないが、それですらあまりに痛ましく、実際に同じような苦しみを味わっている人がいるのだろうなと思うと切ない。
    また、男女における薬の効用の差というのは興味深かった。実際のところ、その辺はどの程度考慮されているのだろうか。

    そういう意味で、問題提起としては非常に意義深い作品であったように思う。

  • 男でも女でもない性。
    その両方の性器を持って生まれてくるが、機能的にはそのどちらも不十分である。
    多くの場合、その事実はひた隠しにされ、女性として育てられ、やがて、手術により女性の身体へと作られる。
    が、それで、完全に女性になったわけではない。

  • 帚木蓬生のいつもの医療物。
    半陰陽とか両性具有とか呼ばれてきた、男か女かにはっきり分類できない性をもって生まれた人と、それに対する医療のあり方について。

    ミステリー要素を加味して読みやすくはしてあるけど、社会への提言の意味合いが強い作品。

  • (ネタバレ)
    舞台は、サンビーチ病院。産婦人科を中心に、小児科など他の病院では手が回らない患者でも受けいれられる病院。若くやり手の院長の岸川の元、有能なスタッフが全国から集められており、そこに引き抜かれた医師、翔子は新たに泌尿婦人科を創設しインターセックスの問題に取り組む。

    インターセックスとは、文字通り男性と女性の中間に位置するさまざまな性を意味する。
    一口にインターセックスと言っても色々あり、大雑把にでも5つにわけられるらしい。

    ○染色体がXX、XYどちらにも属さない。XO、XXX、XXY、XXYY、YYY等
    ○AIS、アンドロゲン不感受性症候群
    染色体はXYだかホルモンなど影響から外見は女性
    ○CAH、先天性副腎過形成
    染色体はXYだが胎生期にアンドロゲン過剰生産され、外見は男性
    ○膣無形成で染色体はXXだが、膣も陰茎もない。外見は女性
    ○真性半陽
    卵巣組織、精巣組織の両方をもち、外見も男女両方の特徴を併せ持つ。本来異なる性の双生児になるはずであった接合体の融解が原因と考えられている。

    症状の度合いは事なるが、ざっと計算しても日本に100万人はいるらしい。
    インターセックスというと、なんだか神話とかお話の世界のことのような気がしていたし、触れてはいけないもののような気もして全く知らなかったけど、すごくわかりやすく書かれていて興味深かった。
    そういう個性を持って産まれてきた彼らが生きていく道はやはり困難が多い。
    これまで、物心がつく前に親や医師がその子の性を決めて手術をすることが多かった。しかし、手術は一度では終わらず、患部は傷だらけになってしまう。思春期になったら診察でうける心の傷だって深い。
    主人公は、手術はせず、大人になった時に自分で選ぶ道の方がいいと説く。
    宗教、医療、制度、様々な所で性とは男か女だとされ、そうではない性だってあるのに全く考えられていない現実。でも、男や女である前に一人の人間であり、大切な「命の灯火」なのだと。そういう考えにはすごく共感した。
    他にも再生医療、不妊医療などにも触れられていて、それも興味深い。特に中絶児の臓器などを培養して移植に使うというのにすごく衝撃をうけた。
    前作であるエンブリオを読んでいないがこれだけでも楽しめる。病院に間する事件の数々はなくても十分おもしろいのに…という思いは若干あるけど。
    もう一つ言うと、最後に翔子が明かす事実はびっくりした。あれだけ患者さんたちに堂々と生きて!って言ってたのになぜ?と疑問が残る。

  • 帚木蓬生『インターセックス』読了。インターセックスとは、遺伝子と身体構造が合致しておらず、男女という区別ではくくれない性のこと。筆者は手術によって強制的に男女どちらかに区分するのではなく、男女の前に人間であり、第3、4の性のままでもよいのではという立場を貫く。

  • いろんな意味でかなり重い作品です
    私が医療系の作品を読むようになったのは海堂尊さんの『チーム・バチスタの栄光がきっかけなのですが、帚木さんの作品は海堂さんの作品とは全く世界感です

  • 医療系ミステリー。内容的には複数の不審死を主人公が解決するというものだが、どちらかというと作者の意図はタブーとされていて話題にもあまり上がらないインターセックス(Wikiによれば言葉の定義には賛否両論があるとのこと。性分化疾患を指している))・性同一性障害・性差治療に光をあてたい(理解を深めたい)ところにあるのではないかと感じた。もし小説内の性分化疾患患者数が現実に近い値だとすれば数千人に1人ということなので、日本でも多くの人が悩みを抱えているということになりますね。正しい知識を持つことが大事だと思うけど、人体は不思議なことばっかりで難しい。

  • 男でも女でもない半陰陽の性。


    知らなかった事実です。

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著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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