- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087753868
感想・レビュー・書評
-
重い内容ですが読んで良かったです。人としての尊厳を考えさせられました。なぜ人は自分と異質なものを受け入れられないのか インターセックスに限らずそう思うことが日々常にあるので 色々考えさせられました。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
サスペンスだったとは。
-
いっきに読了。知識・視野を広がりました。途中展開がよめてしまったのは残念。また唐突すぎる展開もあったので★は少なめに。
しかし読みやすくいろいろと考えさせてくれる本は貴重だと思います。
サンビーチ病院のこれからのストーリができるのを期待。 -
五体満足、生きるということを色々考えさせられました。
-
初の帚木蓬生作品。
バチスタシリーズ同様、現役医師による医療ミステリー。
“生殖と移植では「神の手を持つ名医」と評判の岸川卓也院長が率いる、贅沢な施設と高度な医療を誇るサンビーチ病院。泌尿婦人科医の秋野翔子は岸川に請われてこの病院に勤務することになった。そこでは性同一性障害やインターセックスの患者たちへの性転換手術やさまざまな治療が行われていた。翔子は「人は男女である前に人間だ」と主張し、人知れず悩み、絶望の淵にいた患者達のために奔走する。やがて翔子は、彼女に理解を示す岸川の周辺に不可解な変死が続いていることに気づく…。
神が創り出した少数派の人間たちの魂の叫び、身体と魂の尊厳。医学の錯誤を見据える世界初テーマに挑む、衝撃と感動のサスペンス大作。”-帯より。
【インターセックス(インターセクシュアリティ)】
古くは半陰陽、両性具有と称されたが、外性器の形状や生殖器、染色体が曖昧で男女の一方に分類できない人々。広義に見ると100人に1人の出生頻度で出現する。
インターセックスって、最近関連書籍も増えて、目にする機会は増えてたけど、ここまで医学的に書かれたものは初めて読みました。原因とか分類とか、すごく多様なんですね。
性差医療…全く聞いたことない分野だったけど、興味深く読めました。ミステリー要素はあまり強くないけど読みやすく、読了。
実は『エンブリオ』って作品の続編みたいです。サンビーチ病院の秘密が書かれた前作もぜひ読んでみたい。 -
男と女の中間の性、インターセックス。
人を人として接すること。
普通の人と異なる境遇に追い込まれる本人と家族、そして周りの環境の辛さ、それを乗り越える勇気と強さ。
一度は手に取り読むべき価値があると思える本です。
難しい話を学術論だけにせず、ミステリー的なストーリーを絡めることで読者にもイメージしやすくしています。
難しい問題が山ほどありますが、人が意識する単位が地域、日本、世界、地球と大きくなっていく中で、特に日本人が暗に避けてきたことを意識できる訓練にもなると思いました。
良書です。 -
性の尊厳を巡る書き下ろし医学サスペンス
「ひとは男女である前に人間だ」。インターセックス(男女どちらでもない性器官をもっていること)の人々の魂の叫び。高度医療の聖地のような病院を舞台に、医療の錯誤と人間の尊厳を問う書き下ろし長編。
エンブリオの何年か後が舞台。インターセックス関連の描写が多く、エンブリオよりもサスペンス色は薄め。主に新しく登場した女医さん目線で物語が進む。私は彼女の考え方にまったく感情移入できなかったためエンブリオのほうが面白かった。またラストも、え?って感じでちょっと拍子抜け。 -
おもしろかった。分厚い本だけど、スラスラ読めた。肉体的に男性と女性の間の曖昧な状態で生まれた人たちの苦悩と、それに対してあるべき医療の姿について、熱い主張がこめられている。
岸川卓也医師と秋野翔子医師を中心に話が進むが、インターセックスの人たちの告白にもページを割き、それぞれが圧巻だった。
この二人の医師は熱意と使命感に溢れ、これからのこの分野を引っ張っていくのにふさわしい人物に思えた。
ただ、ミステリー部分については、単純すぎるし、岸川医師の人物像となじまなくて不満足だ。
渡辺淳一の短編「セックス・チェック」にも半陰陽の人が出てくるのだが、「インターセックス」の迫力には遠く及ばない。