インターセックス

著者 :
  • 集英社
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感想 : 120
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087753868

感想・レビュー・書評

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  • 重い内容ですが読んで良かったです。人としての尊厳を考えさせられました。なぜ人は自分と異質なものを受け入れられないのか インターセックスに限らずそう思うことが日々常にあるので 色々考えさせられました。

  • サスペンスだったとは。

  • いっきに読了。知識・視野を広がりました。途中展開がよめてしまったのは残念。また唐突すぎる展開もあったので★は少なめに。
    しかし読みやすくいろいろと考えさせてくれる本は貴重だと思います。
    サンビーチ病院のこれからのストーリができるのを期待。

  • 「エンブリオ」の続編。
    冒頭で実際にあった産婦人科医の医療裁判を基にしたと思われる裁判がある。そこで本作の主人公・翔子と前作主人公・岸川は出会う。
    翔子は岸川のサンビーチ病院に勤めることとなり、数年前に起きた不審死の謎を追っていく。
    前作よりは面白みが薄れたように感じる。エンタメ性より作者の主張・主義といったものが重要視されているように感じたせいか。

  • 五体満足、生きるということを色々考えさせられました。

  • 初の帚木蓬生作品。
    バチスタシリーズ同様、現役医師による医療ミステリー。


    “生殖と移植では「神の手を持つ名医」と評判の岸川卓也院長が率いる、贅沢な施設と高度な医療を誇るサンビーチ病院。泌尿婦人科医の秋野翔子は岸川に請われてこの病院に勤務することになった。そこでは性同一性障害やインターセックスの患者たちへの性転換手術やさまざまな治療が行われていた。翔子は「人は男女である前に人間だ」と主張し、人知れず悩み、絶望の淵にいた患者達のために奔走する。やがて翔子は、彼女に理解を示す岸川の周辺に不可解な変死が続いていることに気づく…。
    神が創り出した少数派の人間たちの魂の叫び、身体と魂の尊厳。医学の錯誤を見据える世界初テーマに挑む、衝撃と感動のサスペンス大作。”-帯より。

    【インターセックス(インターセクシュアリティ)】
    古くは半陰陽、両性具有と称されたが、外性器の形状や生殖器、染色体が曖昧で男女の一方に分類できない人々。広義に見ると100人に1人の出生頻度で出現する。


    インターセックスって、最近関連書籍も増えて、目にする機会は増えてたけど、ここまで医学的に書かれたものは初めて読みました。原因とか分類とか、すごく多様なんですね。

    性差医療…全く聞いたことない分野だったけど、興味深く読めました。ミステリー要素はあまり強くないけど読みやすく、読了。

    実は『エンブリオ』って作品の続編みたいです。サンビーチ病院の秘密が書かれた前作もぜひ読んでみたい。

  • 男と女の中間の性、インターセックス。

    人を人として接すること。
    普通の人と異なる境遇に追い込まれる本人と家族、そして周りの環境の辛さ、それを乗り越える勇気と強さ。

    一度は手に取り読むべき価値があると思える本です。

    難しい話を学術論だけにせず、ミステリー的なストーリーを絡めることで読者にもイメージしやすくしています。

    難しい問題が山ほどありますが、人が意識する単位が地域、日本、世界、地球と大きくなっていく中で、特に日本人が暗に避けてきたことを意識できる訓練にもなると思いました。

    良書です。

  •  若く美しい女性医師・秋野翔子。
     泌尿器科と婦人科をまたぐ領域「泌尿婦人科医」を名乗る彼女のもとに
     は、生殖器などからは性別の判定がむずかしい「インターセックス」と
     いう問題を抱えた子どもやその家族がやって来る。
     外見や性的なアイデンティティーは「真中(まんなか)も許される」という
     信念を持つ翔子は、性別をどちらかに特定するような整形手術はなるべ
     く避け、度重なる診察や手術で傷ついている子どもたちの心をケアした
     い、と考えて奔走する。

     ストーリーは、翔子が医療訴訟の被告になった先輩医師の裁判で、 
     弁護人の証人として発言したサンブリオ病院の院長岸川と出会う場面
     から始まる。これだけを見ても、帚木さんが医療の世界について訴えた
     いことを小説という形で発表されているのだと感じる。
     岸川の愛人だった女性(翔子の親友)の死の謎を探ろうとする翔子。
     サンブリオ病院の隠された謎は?というように一応ミステリーには
     なっているのだが、そんなことは二の次と言っていいくらい中身が濃い。
     いままでぼんやりとしか知らなかったインターセックス(半陰陽)の人たち
     に対する思いもこの本を読んで全然変ってしまった。
     「ノーマル」って何なのだろう?人がありのままで生きられることこそが
     ノーマルなのではないだろうか?
     たとえば認知症でも、それを治したり、認知症にならないような薬を発明
     することも大事だけど、それ以上に大事なのは「認知症になっても
     地域で家庭でそのままありのままに生きられること」ではないだろうか?
     そういう社会こそがノーマルであってほしい。
     同じ医療の矛盾を描く作家海堂尊も面白いけど帚木さんの作品は
     「品格」が違うと思う。読み応え十分だ。

  • 性の尊厳を巡る書き下ろし医学サスペンス
    「ひとは男女である前に人間だ」。インターセックス(男女どちらでもない性器官をもっていること)の人々の魂の叫び。高度医療の聖地のような病院を舞台に、医療の錯誤と人間の尊厳を問う書き下ろし長編。
    エンブリオの何年か後が舞台。インターセックス関連の描写が多く、エンブリオよりもサスペンス色は薄め。主に新しく登場した女医さん目線で物語が進む。私は彼女の考え方にまったく感情移入できなかったためエンブリオのほうが面白かった。またラストも、え?って感じでちょっと拍子抜け。

  • おもしろかった。分厚い本だけど、スラスラ読めた。肉体的に男性と女性の間の曖昧な状態で生まれた人たちの苦悩と、それに対してあるべき医療の姿について、熱い主張がこめられている。

    岸川卓也医師と秋野翔子医師を中心に話が進むが、インターセックスの人たちの告白にもページを割き、それぞれが圧巻だった。
    この二人の医師は熱意と使命感に溢れ、これからのこの分野を引っ張っていくのにふさわしい人物に思えた。

    ただ、ミステリー部分については、単純すぎるし、岸川医師の人物像となじまなくて不満足だ。

    渡辺淳一の短編「セックス・チェック」にも半陰陽の人が出てくるのだが、「インターセックス」の迫力には遠く及ばない。

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著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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