- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093865340
作品紹介・あらすじ
平成のトキワ荘、漫画家青春群像活劇
平成元年2月9日、主人公・歩は、夢への一歩を踏み出すべく大分にある鳥羽デザイン専門学校漫画コースの入学試験に挑む。漫画家になりたいと希望に満ちて入学した生徒達は、平成31年を迎えて、どんな大人に成長したのか。夢を叶えて大成功した者、夢破れて地に足着けて生きる者、嬉しいことも、思い通りにならないことも、全て大人への通過点。30年という振り返れば長く、思えば短い年月を、懸命に生きてきた少年、そして今、中年を迎えた男たちの感涙必至の漫画家青春群像活劇。
【編集担当からのおすすめ情報】
発売前に連載していた文芸誌きららでも大反響だった作品。風カオル先生が、漫画家志望だっただけあって、描写がとてもリアルで、夢を追い続ける少年達の思いが真に迫ってくる。漫画に興味ある人もない人も、漫画家を見る目が変わるかも。是非ご一読ください!
感想・レビュー・書評
-
ひりつくような熱い青春もの。
平成元年。
宮崎勤の事件などもあり、漫画=オタク=犯罪者予備軍というような風潮もある中、漫画家を志し漫画専門学校に入学した歩と黒田と宇治山。
彼等の友情と、漫画家デビューを目指す過程を描く。
主人公・歩が漫画家目指して半年の元野球少年、という設定のおかげで漫画ってどうやって描くの?ってところから入っていくので分かりやすかった。
あと、平成の風俗や事件やファッションが懐かしく、ああ、これあったよねえ、とか、思い出しながら楽しく読める。
文字も大きく、平易な言葉遣いで、ひらがなも多め、すらすら読めるので読み応えないかと思えばいやいや、どうしてなかなか。魅力的なキャラクター(滝先生好き!)とそうそう、これこれ!なストーリー展開で心地よく浸れた。
大分が舞台なのでそちら方面にゆかりのある方なら、さらに楽しめそう。 -
1989年の2月9日、手塚治虫が亡くなった日に細川歩は大分県の専門学校の漫画コースの面接を受ける。平成が始まった頃の漫画家志望の青年たち3人の群像を、テンポよく描いた小説である。当然ラストの場面は、平成31年の2月9日前後になる。
私は漫画家になりたかった。細川歩は18歳で漫画家を志したけど、私は18歳前後で諦めた。ジャンプで鳥山明の連載が始まって、私には才能はないと早々に思ったからだ。実はそのあとマンガ編集者になりたいと思って、その頃の(私基準の)主要連載漫画約100作品を全て(立ち読みや喫茶店で)チェックするという事も4年以上は続けていたけど、いつしかその習慣もなくなった。平成元年のこの年、『ドラゴンボール』『寄生獣』こそはチェックしていたが『ベルセルク』『SLAM DUNK』『幽☆遊☆白書』は、もう読む事もなかった。だから、漫画家志望青年たちの夢も挫折もいろいろと共感する。だから、漫画家志望青年たちの技術の高さやマーケット感覚を重視する姿勢には、それよりも大切なことがある、とつい思ってしまう。
漫画を好きでいるためにけじめをつける。佳奈さんもそうだった。みんな漫画が好きで、それだけはどうにもならなくて、ちがう道を歩き出す。(180p)
そうなんです。好きだから嫌いでいたくない。だから諦める。だから私も時々傑作に出会いたくて、未だいくつかの漫画をチェックしている。漫画が大好きだから。「ひりひり」するような痛さと心地良さと。
細川歩くんは、たった一年で劇的に変化する。細川歩くんも「それよりも大切なこと」を未熟ながら掴む。大分という東京から見たら田舎の、小さな専門学校という普通成功しないところで、それでも此処は日本なんだ、才能は開花するのだ、というメッセージがとても気持ちよかった。
2019年4月10日読了 -
なるほど、こんな切り口の青春小説もなかなか面白いしヒリヒリしますね♪
たまたまの動機で漫画家の道を選択した元 高校球児が悩み苦しみもがきながらも、ひたすら挑み続けるリアルで熱い様子に共感を覚えながら読了。
舞台も馴染みある大分や別府なので共感度合いも増幅(笑)
漫画家を目指す世界の大変さもよく分かり臨場感も伝わってきて一気に読みました。 -
単純に面白かった。大分の風景もちょいちょいでてくるし。情熱っていいな〜って感動しました。
-
漫画好きにとっては傑作。
この題名の本を読みながらダラダラと涙を流す私を見て、家人ドン引き。でも本当に感動したし面白かったです。
挫折した高校球児が偶然手に取った手塚治虫作品に感銘を受け、漫画家を目指す物語。
体育会系から漫画家なんて斬新だと思ったけど、想像以上にしっくり馴染むからもしかしたら漫画家も体育会系なのかもしれません。
私は漫画が大好き。ぐるりと見渡しても私ほどの漫画好きは知人に3~4人(あれ結構いるな)。
泥を噛むように漫画家を目指し、血を吐きながら漫画を描いてくれる先生方には感謝しかない。 -
爽やかで、まっすぐで、読後感がとても良かった!
漫画家になる夢に向かう男の子たち。
友情。先生との深い絆。
何度も胸が熱くなりました。
主人公は1970年生まれ。
平成元年(1989)に漫画の専門学校に入学し奮闘する。
今からちょうど30年前のおはなし。
当時の流行りの音楽や漫画やファッションなども
あれこれ書かれているので、
平成元年は自分は何してたかな?とか、
こんな事件があったんだっけ、
とか、あれから30年たったのかあ。。。
など思いながら懐かしく、胸が熱くなった。
大分が舞台というのも、あまりなく新鮮。
あのころ大分はこんな感じだったのかと
興味深い。方言も楽しい。
さいごの章、
読み終えるのがもったいなくて、
名残惜しくて、少しずつ、
ゆっくり読んでしまった。
この結末で、よかったあ。。。
続きが読みたいくらい、素敵な小説でした。
-
2019.4.25読了。
漫画を描くことに真摯に向き合う主人公に応援したくなる。
物語の時代背景とか、
田舎の雰囲気とか共感する。
あれ?でも、作者さんはかなり若いんだけど
この平成の始まりの頃は小学生だったんじゃないかなぁ。
よく描写されててすごい。
恩師の先生も素敵すぎる。
描かれてた漫画が実際にあったら読みたいと思わせる感じでした。
-
文芸誌きらら2017年7月号〜2018年7月号連載のものを2019年2月小学館から刊行。つい、漫画界を描いた平成の傑作バクマンと比べてしまいました。ぬるい。
こんにちは。
いつもいいね!有難う御座います。
こんにちは。
いつもいいね!有難う御座います。
こちらこそ、いいね!をありがとうございます。
こちらこそ、いいね!をありがとうございます。