- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101036168
感想・レビュー・書評
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思ってた内容と違った
違ったけれど読まなくても良かったとは思わない内容
いわゆる思春期と言われるこの頃の不安定さに懐かしさすら覚えます
ぼくは勉強ができないけど女にはモテる
可愛い女の子は大好きだ
こんな男子、いたかもってちょっとクスッと笑ってしまう
あとがきにも書いてあったけれど、この世代よりも、大人が読んだらいいかもと思う
この世代の子どもを持つ親とか、いいんじゃないかな詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルから爽やかな青春小説かと思ったら全く異なっていた。
主人公は母親と祖父と三人暮らしで年上の女性と付き合っている高校生。人に対する考え方が少し大人びており、また完全に大人でないことへの自覚から、周囲との人間関係や自分自身に煩悶しながら生活をしている。
淡々と流れていく物語と、答えのでない悩みに対する主人公の悩みに対する描写の対比が印象的。主人公以上に、ひょうきんながら時折参考になるアドバイスをくれる祖父がいい味を出していた。 -
(2024/03/20 2h)
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主人公の秀美は、他者のことも自分のことも冷静に分析することができ、物事の本質を見抜くことに長けている。そんな観察眼と洞察力がすごいなと思ったし、素直に羨ましくも思った。また、当の本人が、そのような自分の凄さに自覚的で、周りとは違うという自意識が強く、飄々と生きているのが何だか物珍しく感じられて面白かった。秀美と周りの人達との関係性を踏まえると、その強さを好意的に捉える人もいれば、ある種の劣等感を抱いて恐怖する人もいるのかなと考えた。
節の中でも「○をつける」が特に印象に残っている。人は、「事実」について、各々の「価値観」で良し悪しや正誤を無意識にそして勝手に判定する。さらに、そのような価値観は、インフルエンサーや周りの人たちの価値観や考え方を取り込み形成されている、というのは、私自身を振り返ってみても確かにそうだなと納得できた。そんな真理に気づくことができる秀美はやはりすごいなと感じた。
一方で、秀美は、いくら思慮深いとはいえ、高校生でまだ経験も浅く、学校という狭い世界で、時に苦悩を抱えながら精一杯生きている。まだまだ柔軟さを持っている時期だからこそとも言うべきか、周りの価値観、考えに触れて成長していく姿はとても好ましく思えた。 -
「ぼくは勉強ができない。でも、女にもてる。それにしても、ぼくはいったい何者だろう。ま、いっか」といったところか。思春期ならではの柔軟で脆い感性のフィルターを通して描く日常の出来事は山田詠美氏らしい軽やかでテンポがよくも微風のように心を撫でる文体である。
男性読者からすると女性から見た思春期の男子高校生像で、人間関係や立ち回りも少し違和感がある。おそらく主人公と同年代の人より大人になったほうが楽しめる作品であろう。それほど好みの作品ではなかったが「番外編:眠れる分度器」が秀作。言葉にしにくい幼少期の独特な人間関係や空気をとても上手く言語化しており不思議な気持ちにさせてくれる。 -
主人公は男子高校生だが、中学生にも大人にも読んでほしいと思う。(ただし下ネタ注意)
ひとつの言葉に対しておじいちゃん、お母さん、主人公それぞれの考え方をもっている感じが良かった。
「歩く時に、右足を出した時、左腕も前に出るという事実を確認しようとでもすれば、歩くという行為自体に失敗してしまうだろう。」「考えることだって、動作のひとつだ」 -
タイトルに惹かれて読んだ。確か、昔、高校生の頃に、大学受験の過去問か何かで読んだような記憶がある。
悩める高校生の日々を描く短編集。
ちょこちょこ下ネタもあり。
面白い小説、とは言えないけど、リズミカルな文体で、まあ、さくさく読める。
主人公の秀美は、世の中の型にハマるのを嫌がっている。私が中高生の頃は、全く疑問を感じることなく世間の”一般的・常識的”な態度、考え方に適応していたなあ、秀美のように日常の一つ一つに立ち止まり「なんで?」を周りに発信するような子じゃなかったなあ、と振り返った。世の中を斜め上から見下ろして自由に発言しつつも、自分という存在にしっかり悩む秀美に、ちょっとだけ憧れる。 -
主人公のキャラが立っている。また数年して読みたくなる作品だと思う。女慣れしているのか?していないのか?よくわからん「秀美」。男性主人公。
タイトルに何となく惹きつけられて、読み上げたがなかなか良い作品だと思う。読みやすいのも良し。 -
知人に薦められて読み始めた本です。
時田秀美という男子高校生が主人公の9つの話から成る短編集。
読み始めた頃は主人公に対して変にませていて、性格が歪んでいる子だなという印象でした。ただし読み進めるうちに案外一途であったり、頑固なところ等年相応の高校生らしいところも垣間見えた気がします。
同時に自分の高校生時代を思い出す場面もあり、どんどん彼らの世界に引き込まれました。
この本を通して印象に残ったことは、自分が異性に対して何に魅力を感じるかが何となく分かった気がすることです。
平和な高校生の日常を覗き、その冗長さに心地良さを感じました。