或る女 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 495
レビュー : 51
  • Amazon.co.jp ・本 (752ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101042053

感想・レビュー・書評

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  • 水村美苗さんが影響を受けた本だったか好きな本だったかで挙げていらしたので読まねば!と思って積んであった本をやっと。
    前篇は、なかなかストーリーがすすまない感じで人間関係もつかみにくく、主人公に共感できることもなく、読みとおせないかもと思ったけれど、後編に入ったら突如おもしろくなってきて、いったいどうなるんだろうと引き込まれていった。のだが、だんだんおもしろいを通りこしてホラーかと思うおそろしさになっていき、ラストのほうではまさにこわくてふるえた。
    主人公葉子の狂気がこわい……。これはいったいどこからくるものなんだろう……。いわゆる業とか性とか……? この時代の閉鎖的な社会からはみだしてしまう個性……?
    救われない者は絶対に救われないというような人生の無常みたいなものを感じるような。
    しかし、やはり文章はすごいかも、と。
    狂気の描写とか自然描写とか読んでて戦慄するような、凄みがあるというか。
    ほんと、おそろしかった……。

  • 読み応えたっぷり。

    和製スカーレット・オハラな女性、早月葉子の奔放で激情に身を委ねた人生を綴った大作。

    婚約者の待つアメリカへと渡る船の中で、イケメン事務長に惚れてしまい、そのまま帰国。
    このときの葉子の揺れ動く心が、海に揺られる船という舞台に絶妙にマッチしてて、その生々しい感情が読者にストレートに伝わってくる。

    その表現力、内容の濃さ。感服です。

    あぁ、女ってなんて馬鹿な生き物。
    そう思わせる作品。

    いつの時代も同じ(なのかな?

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「女ってなんて馬鹿な生き物」
      私は、そうはならないよ。って言う反面教師になるのかな?
      馬鹿でどうしようもないのは、男も同じですよ。
      「女ってなんて馬鹿な生き物」
      私は、そうはならないよ。って言う反面教師になるのかな?
      馬鹿でどうしようもないのは、男も同じですよ。
      2012/06/25
    • cecilさん
      >nyancomaruさん
      反面教師・・・女性が愚かになれるのはそれだけ相手を信じてるから出来るのだと思うのです。だから、私は葉子が必ずしも...
      >nyancomaruさん
      反面教師・・・女性が愚かになれるのはそれだけ相手を信じてるから出来るのだと思うのです。だから、私は葉子が必ずしも不幸だとは思えないんですよね><
      2012/06/26
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「それだけ相手を信じてるから」
      んーー男は、それを利用するのか、、、嫌ですね。
      幸不幸は、本人次第かも知れませんが、傍から見て可哀相に思える...
      「それだけ相手を信じてるから」
      んーー男は、それを利用するのか、、、嫌ですね。
      幸不幸は、本人次第かも知れませんが、傍から見て可哀相に思えるような事にならないようにしたい(何だか反省しちゃいました)。
      2012/06/26
  • 連休を使って読み終わりました。文章は読みやすく、長編小説と言っても飽きさせない主人公の心理、言動が如実に描かれておりました。自分の気持ちに忠実に従った葉子の気持ちを時に海や嵐、木々の花々に擬えて表現している所が良いところです。男性に対する冷淡な姿勢もよく解ります。前半と後半では葉子の落差が伺えて、少し胸が痛くなり、あれだけ憧れて読み進めた葉子の姿が変わり果ててしまい描写も独りよがりになって行った気がします。主観もありますが、評価は3ぐらいとなります。
    無論墜落していく様を描き切っているところはこの小説の良いところです。それを筆者は描きたかったのだと思います。100年前の時代の女性達にとってはセンセーショナルな題材だと推測出来ますが、その当時の社会でこの様な生き様の女性が居たという事をこの小説を保って表現さす事により、時を経て女性擁立社会にも繋がって行ったのだと思います。

  • 葉子はとんでもない女だけど、世の女性は少なからず葉子に憧れる部分があると思う

  • すっごく胸糞なんですが、すっごく読みごたえがあって面白かったです。私の一番好きな姦通(?)小説。
    内容は簡単に言うと「奔放な恋愛に生きた美貌の女が、徐々に恋人の愛を失い、精神的にまた肉体的に没落していく鬱小説」。こう書くと、読みたい気持ち一切失せるんですが笑 でもでも実際は、人の愛情の危うさ、長閑さ、儚さを微に入り細に渡って描き出した長大な恋愛小説と言えます。
    前半部は、許されない恋の道にはまりこんでゆく男女のスリルある展開が息つく暇もなく面白い!でもこの作品の一番の魅力は、後半部、葉子(美貌の女主人公)がみるみるうちに愛に狂い、恋人の愛情を取り戻そうと必死になり、狂気の道へ突き進む…という展開。

  • 100年前の小説なのに古さを感じない。時代が移り環境が大きく変わったのに、人の思うところは一寸も変わらないのだな。複雑な感情の移ろいを細やかに表現する。色褪せない長編だ。2014.10.27

  • 『或る女』とはまさしく有島本人のことだ。日本にもアメリカにも帰ることができなくなった女。船に揺られ、海、すなわち「あいだ」を漂うことしかできなくなった女。それはブルジョアジーがプロレタリア文学を書くこと、日本人がキリスト者になること、その不可能な可能性が有島の揺れだった。『或る女』にジェンダーを観るなんて馬鹿馬鹿しい。それこそ、しらける。

  • p.181 ファウンテン・ペン→万年筆
    p.361 ソウダ・ビスケット→バターミルクビスケット、スコーン?
    p.508 ソップ→スープ

    解説に書かれてあるように、この小説は主人公「葉子」を描きだした物語。丁寧に描かれた葉子の人物画のような物語。

  • 記録

  •  これは、「物語」の教科書です。

     一人の女が燃えるような恋をして、その時負った火傷の燻りに苦しみながら、やがて尽きていくまでの話。
    虚構と現実の混ざり具合、心理戦、その辺りの描写が本当に素晴らしい。

     上げるだけ上げて、後は容赦なく叩き落としていく感じがたまらないですね。一瞬だけ同情しかけても、次のページにはもう「仕方ねえよなあ」ってなってる。なかなかえげつないですね、有島先生。

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