星への旅 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101117027

感想・レビュー・書評

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  • 死から見る生、生から見る死。これほどに鮮やかなものはない。個人的には表題作はもちろんだけど、少女架刑は読むべきだと思う。

  • 非常に異質な本だ。エロチック感のない夢野久作?おぞましくない乙一?
    乾いた視点で現実からすこしずれたような世界を克明に描いている。

  • 描写に唸ってしまい、とても身のある小説なんですが、面白いとはちょっと違う。
    かといってチクチクするような傷み小説でもない。

     標題にもなっている「星への旅」がすごくウワッとなりました。

  • 短編集。
    1話目読了。
    2話目途中。

  • 吉村昭は「戦艦武蔵」や「零式戦闘機」から入った私は、普通の小説(?戦争の関係のない、ストーリー性のある小説とでも言いましょうか・・・)を読んだことがありませんでした。
    てっきりコレも、その類のものだと思って手にとったのですが。

    良い意味で裏切られました。
    戦争とは関係がない、短編集でしたが、とてもよかったです。

    何が良かったかというと、意外性を見た感じです。いや、私が吉村昭について詳しく知らないだけで、これが本当の吉村昭なのかもしれませんが。

    短編のほとんどは死にまつわるような話でした。
    でも、別に表現が生々しすぎるとか、読んでいるだけで痛々しくなるとか、そういうんじゃないです。寧ろあまり痛みを感じませんでした。

    個人的な意見ですが、吉村さんの小説は、文体がとてもきれいというか清潔な感じで、なんとなく「可もなく不可もなく」な部分があったんですが・・・そんなきれいな文体で、「え、こんなことも書くの?」っていう内容でした。そのギャップがよかったです。

    全体的に、「ぞわっ」とするような感じでした。
    特に「星への旅」はぞわぞわっとしました。読みながら、そうなってほしくない、やめてほしい、そうならないで、と願うのに、そうなってしまう。ぞわっ。

    こんな吉村さんも素敵。
    さらに色々と興味が沸いてきました。星五つ。

  • 全体的に内容の重い短編集ですが、とても面白い。
    「少女架刑」から「透明標本」の流れはちょっとザワっとなった。
    「あぁ!これってアレの事か!!」と。
    表題作「星への旅」は集団自殺の話だけど、嫌な気分がしない良い話だった。

  • 表題作のほか「鉄橋」「少女架刑」「透明標本」「石の微笑」「白い道」収録。

    どれも日常からはみだしたもののつぶやきを描いていて、それを見る作者の視線はやさしいが、硬質な作品群。

  • ページが重たくってなかなか進まなかったけど、なんだか気になって最後まで読んだ。平和ボケしてるわたしからは出てこない発想ばかりだった。

  • ・2/24 のっけからかなり暗くて思い物語で、なんだか気分まで澱んできてしまった.こんな暗い物語を読んでこれから毎日疲れるのかなぁ.
    ・2/25 それにしても骨や解剖の話が多い.詳しいからもしかして著者は関係する仕事をしてたのかもしれないな.えもいわれぬ気分になる話しばかりだ.確かにこの本は生きる希望に満ち溢れていて元気な時に読まないと、やり切れない気持ちになってしまうだろうなぁ.
    ・2/27 読了。それにしても凄まじい凄さだった.物語に出てくるキーワードは、墓地、死、自殺、骨、家族.本当に毒のある荒涼、殺伐とした物語群だった.読み終わってほっとしているのも珍しい.

  • かれは、眉をひそめ、心持ち顔をそむけた。岩肌が、掌から頬にかけてせまった。かれは、眼を薄くとじた。次の瞬間、皮膚の下の骨がきしみ音を立てて、一斉に開花するように徐々に散るのを意識した。

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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