女の一生〈1部〉キクの場合 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123233

感想・レビュー・書評

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  • 半年くらい前に、津和野に行きまして。
    そのときたまたま立ち寄った、山奥にあるちいさな教会が、
    ずっと昔、キリスト教を棄教させようと
    集められた教会だという話を聞きました。

    まさかそのモデルになっているとは。
    この本に出てくるあの場面が、拷問のあった場所を指しているとは。
    すごく衝撃的でした。
    早くこの本を読むべきだった…

    この本、先輩Wさんからお借りしたのですが、
    そのWさんと、宗教について考えさせられる本だよね、
    という話をしました。

    宗教とは? 信じるとは? 愛とは?

    っていうのが主要なテーマかと。

    自分を信じるのってすごく大変。
    そして不安も伴うし。
    だけど、誰かがそばにいてくれたら、
    何かが支えてくれたら、
    きっと自分という人間は生きていける。
    そう思わせてくれる本です。

  • 久しぶりに遠藤周作の本を読みました。
    私が受けたとき、この本じゃないけど、遠藤周作がセンター試験の問題だったなぁ…。Z会の問題にも『海と毒薬』とかでてたなぁ…。

    ともあれ、凄く面白かったです。キリスト教云々とか日本人とは、という思想的な部分はちょっと何とも言えないけれど、ストーリーが良いです。

    映画とかにしたらいいと思います。

  • この本を読んだのは、大好きなアーティストの言葉がきっかけ。この本を読んで、愛すること、大切な人がいること・・・を想いながら曲を作ったと話していた。実際読んでみると、曲のタイトルや歌詞の内容により深みが増したように思う。もともと、個人的にグッとくる歌詞だったから気になって、一気に読んだ。いわゆる目を覆いたくなるような描写も多くて、字を追うのが辛い場面もあるし、ストーリーを通して救われないと感じることも多いかもしれないけど・・・。

  • 「堕ちて行く女」を描いた作品が個人的に好き。
    堕ちる中でも気高さや品格を失ってない女性像に憧れがあるからか?;
    「居酒屋」「ナナ」「椿姫」にはまったの時と同じツボを刺激された気がする
    第2部もいいけど、どちらかというと、こっちのほうが私は好み

  • 悲しすぎるやろ。本でこんな怒ったのはない。

  • 江戸時代末期の長崎。切支丹弾圧の中で信仰を続ける村の若者と彼にひたむきに想いをよせる浦上の農家の娘キク。

    この時代、キリスト教への迫害ってすごいものだったんだね。でも何故 拷問にあったり流刑になったりしてまで信仰は捨てないんだろうか。そんなにキリスト教って重いものなのかしら。キクは強い想いを抱いてしまったばかりに不幸な終わり方をしてしまったけど、そんなにも惚れた男の人に会えたのは幸せなんだろう。

  • 第一部は幕末から明治にかけて長崎の商家に奉公に来ている娘キクを主人公にした作品です。


    キクは、キリシタンである男清吉に思いを寄せる。やがてキリシタン弾圧の手は清吉の元にも及び、彼は津和野に流され、惨いせっかんを受ける。

    清吉が信じている神さまは、清吉が苦しんでいるのになんでなにもしてやらんのん...そう思ったキクは教会の聖母マリア像にやるせない思いをぶつけるようになる。やがてキクは清吉を助けるために伊藤という男にいいくるめられ、身体を任せ、その後肺病を病み、マリア像のそばで息を引き取ってしまう、という話。


     第一部は私が小学校の頃に小泉今日子主演でドラマになっていたので物語の最初のほうだけなんとなく記憶がありました。そのドラマを見た時、子供心にキクさん可哀想やなぁと思っていました。
     時が流れてあらためて原作を読んで、ラストで伊藤が清吉に自分もまたキクに惚れとったと告白したところで胸がつまりました。こんな形でしか愛情を伝えられんかったのか、と思うと。。。。また、秀吉がキリシタン弾圧をしたころはかなり惨かったと歴史の時間にも習ったが、明治の世でもやはりひどい弾圧がなされていたのだということに驚きました。

  • 江戸時代末期、開国に向かう日本での
    隠れキリシタンの話。
    しばらくは読んでいなかった、一途に愛する
    女性キク。こんなにも人を愛することが強く、
    尊いものなのだと。

  • 「沈黙」が辛すぎた私には、こちらのほうがシミジミ味わえました。どちらにしろ辛い一生。

著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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