- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101132198
感想・レビュー・書評
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面白い!美貌の女性実業家の転落死。彼女と関わりあった27人のインタビューで構成された話。語り手変わるたびに本当は善人か悪人か揺らぐ。聞き手=作者と思わせるドキュメント的なつくりにも笑える。「まああ」という口癖うつりそう。
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悪女として週刊誌に掲載された女性実業家の謎の死と生い立ち、真相が27人のインタビューによって徐々に明らかにされていく。本当に悪女なのか、それとも隠された真相が待ち受けているのか、予測のつかない結末にドキドキしながらインタビューの一部始終を読み進めた。
結局、悪女だったのかそうでないのか意見が分かれる結末だったと感じた。誰かに殺されたというわけではなく、自殺なのだろうと思うが、それまでの出来事を読み解くと悪女なのだろうか。実業家本人のインタビューはないため、読者の想像に委ねる終わり方となっている。
読後のもやもやが残ってしまったが、小説という形式でしかできない構成となっており、非常に面白い小説であった。これが昭和50年代に刊行されたとは思えないほど前衛的な手法だと感じる。 -
映像が目に浮かんできて、もし私なら主人公は勝手に君島十和子かなあ。苦笑い。
数年前のドラマでは沢尻エリカだったらしいけれど、ちょっと違うな。
黒木華ちゃんや蒼井優ちゃんでは物足りない笑。
松居一代じゃあ胡散臭すぎるし、小池百合子さんがいいかも?!
繁栄と栄華で満ち満ちた1人の女性について、27人もの周辺人物たちが、それぞれモノローグの形で語る。
メディアにも華々しく取り上げられ、絶頂を極めている女性実業家が謎の死を遂げる。
彼女の「人となり」を、周囲の人々が独白の形で露わにしていく。
努力家で才能と美貌や知性の溢れる女性と賛美される一方、欺瞞と虚栄に満ちた詐欺師と罵られる。
彼女の評価が真っ向対立しながらも、彼女への興味や関心が頁を捲るごとに増していく。
女性が添え物であった時代の物語にありながら、男性をもしのぐ手腕で次々と事業を拡大させる一方で、男性にしな垂れかかる売女のような一面もある。
どちらが本当の姿で、どちらが嘘か。表裏一体の妙。
出自や生い立ちを偽り、戸籍や名前までを改め、嘘に嘘を重ね、富を得て、彼女が本当に得たかったものは一体何なのだろう。
彼女に翻弄されながらも、周囲の人たちが彼女との関わりを断ち切れなった事実に彼女の本質が垣間見える。
貫井徳郎さんの『愚行録』もモノローグを重ねた展開で面白かったが、こういう形式が好みの方、お薦めです。
気が付くと、私も28番目の人として、彼女について誰かに語りたくなっている。 -
ドラマ化とのことで手に取ってみたら、初版は昭和58年とのことで40年も前の老舗本でした。
公家やら華族やらの社会的地位がまだ息づいていた戦後の高度成長期ならでは成り上がり術。
読み物なので誇張はあるとはいえ、あの時代、先を見据えた賢い人やたまたま流れに乗った成り上がり長者は確かに存在した。
自殺か他殺か…1人きりで巧みな話術と行動力であれよあれよと巨万の富を手にした女実業家キミ子の謎の死。
ある人は言う「とんでもない悪女だ!」と。
ある人は言う「悪女?とんでもない!」と。
彼女の人生に関わった人々が彼女について語るとき、全貌が見えているこちらだけが知り得るキミ子の生き様。それは〝真っ当〟ではないかも知れない。それは〝救い〟であったかも知れない。それでもキミ子との時間を幸せだったと言うのならそれは真実であるし、あるいは不幸だったと言うのならそれもまた真実。
誰の人生をとっても関わる全ての人にとって聖人であるはずもなければ悪人であるはずもない。
誰かが「私について」語るとき「大好き」と言う人もいるだろうし「大嫌い」と言う人もいるのと同じ。
スケールの大きなそんな話し。
時代感があっておもしろい。だけど答えはない。
ミステリーのようでヒューマン。
今年の17冊目 -
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vilureefさん、こんにちは!
コメントありがとうございます(^^)
そうかぁ~。
慣れたらコメントも長文になっていくんですね。
ここ...vilureefさん、こんにちは!
コメントありがとうございます(^^)
そうかぁ~。
慣れたらコメントも長文になっていくんですね。
ここって、自分がつけたコメントにコメントの返しがあったのかどうか通知がないのが悲しい所だと思います。
何せ、私記憶力が悪くて誰にコメントをしたか忘れてしまうので・・・^^;
ザ・女流作家ですか~。
もう林真理子さんも大御所ですよね。
角田さんは私も時々読みますが、すごくいい作品とそうでもないのと結構差があるような・・・。
いろんな試みに挑戦されてるな~とは見てて思います。
私は個人的に今時の言葉でいうと「イヤミス」系の話が好きで、昔からそういうドロドロしたのを好んで読んでるんですけど、その辺りの作家サン・・・湊かなえさんとか、真梨幸子さんとかに注目してます。
vilureefさん、その辺りの嫌~な感じの話を書く作家さんに心あたりがあれば是非、教えてください~(^^)
こちらこそ!
今後ともよろしくお願いします(^^)
2013/08/09 -
ああ、確かにそうですね。
誰にコメントしたか忘れちゃうことありますね(笑)
取り敢えず毎日目を皿のようにしてチェックです!
湊かなえさんか...ああ、確かにそうですね。
誰にコメントしたか忘れちゃうことありますね(笑)
取り敢えず毎日目を皿のようにしてチェックです!
湊かなえさんか・・・。
どうもデビュー作の衝撃が強すぎて(^_^;)
イヤミスだったら沼田さんはお読みになりましたか?
「ユリゴゴロ」なかなかでした。
katatumuruさん、たくさん読んでらっしゃるからお勧めできるものないな(≧∇≦)
好き嫌い別れそうですが、期待の作家は窪美澄さんですね。
心情をえぐり出す感じがたまりません。
私もいい人ばかり出てくる小説よりも、どうにもならない人間の性を描いた作品が好きですね〜。
2013/08/10 -
ハハハ・・・(*^▽^*)
目を皿のようにしてチェックですか~。
やっぱ自分で覚えてないとダメなんですね^^;
色々とオススメ本を教えてい...ハハハ・・・(*^▽^*)
目を皿のようにしてチェックですか~。
やっぱ自分で覚えてないとダメなんですね^^;
色々とオススメ本を教えていただいてありがとうございます(^^)
沼田さんの「ユリゴコロ」は以前読みました!
あれは独特な世界観の中に静けさを感じられるような作品で、面白かったと思います(^^)
窪田澄さんは初めて聞きました~。
早速チェックチェックです。
心情をえぐりだす感じっていいですね!
私もいい人ばかり出る小説はどうも苦手です(-_-)
何かキレイごとっぽくて表面上の事しか書いてないような・・・物足りなさを感じます。
たまにはそういうのが読みたい時もありますけど・・・。
濃密な人間心理や人間関係が書かれたものが好きです(^^)
それでいうと、やっぱり最近の小説は物足りないと感じるものが多いんです。
でもそういうのが結構世の中では売れてたりして・・・自分と世間とのズレをいつも感じてしまいます(-_-)2013/08/10
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美貌の女実業家、富小路公子が、転落死。自殺か他殺か、富小路公子(鈴木君子)の死の真相を探るため、彼女を知る27人へのインタビューで構成された本書。じわじわと明らかになる公子の生き様…真偽も善悪も、読めば読むほどわからなくなる。男心を巧みに操り、土地を転がし金を生み、 事業を拡大していくその手腕は誠にあっぱれで、時に爽快ではあるが…ぞわぞわと怖いときも頻繁にあり。どの面下げてそんな嘘まみれの台詞を言ってるのかと、背筋が寒くなる。そして…この辺の関係、並行してたよね!?こういうことしてた裏で、こんなこと言ってたよね!?というところ、把握するため時系列で書き出したい!!
狐につままれるという言葉があるが、これまで読んだ本でも上位の「狐につままれる」感。これは確かに、映像で観たい。何度か映像化されるのも納得の名作だが、機会があれば、原作の昭和の香りを感じられる昭和の映像化作品で堪能してみたい。 -
女実業家 の表と裏 を伝聞形式で綴る。
ドラマでも見ているような気分で読める。
そういう時代 生き方のもあったのだろうか。
やり場のない読後感が残る。踏み台にされた男の人生 家族はどうなるのか。 -
一言で言えばとてもとてもとても面白い小説。
富を築いた女性の謎の死後、彼女と関わりのあった27人に取材をし、それがそのまま小説の構成になっていました。
古い本のようですが今読んでも古さを感じさせない、素晴らしい作品。
悪女か悪女じゃないかは読んだ人それぞれが判断すればよいかと思いますが、主人公が直接読者の前に現れないのでなかなか判断するのは難しく、だからこそ逆に面白さが増しているように思います。
富小路公子がしたたかであったのは間違いないけど、自分の目的というか欲にとても素直な人なのでしょう。
ここまで徹底してると同じ女としては、愉快ですらありました。
外見と知性に恵まれていながら環境に恵まれていない女性なら誰しも公子のような部分は持っているはず。
女性にも男性にもおすすめ。
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思ったより読みやすい。
最後は?と、思ったが、楽しく読めました。
見事なまでの悪女としての生きざま。
悪、ではあるが邪悪、という感じはしない。
関係した人々、一人一人のインタビュー形式で話が作られているのがおもしろい。 -
有吉佐和子という作家がこの様なタイプの作品を書いていたとは知らなかった。
戦後から復興していく東京を舞台にしたミステリアスな作品で、27人の証言から構成されている。
文章の上手さが短編から構成されているにも関わらず、作品に深さを与えていると思う。
各証言が微妙に絡み合っているもの面白い。
よく巡り会えた作品だと思う。 -
沢尻えりか主演のドラマが面白かったので読んでみた。ドラマの印象が強かったのでどうしても公子の描写では沢尻えりかの顔が浮かんでしまう。それにしてもぴったりの配役だったなと思う。
今読んでも全く色あせることのない面白さ。なんで今まで有吉作品を読んでみなかったのだろう。ぐいぐい引き込まれて読み終わってしまうのが惜しいほど。
最終的には真実の公子を読者にゆだねることになるのも、またいい。脱帽。-
これ、面白いですよね〜!
有吉作品の面白さは、人の心の奥深くをぐいぐいえぐり出すところだと私は思います。
「非色」は15年ほど前に読...これ、面白いですよね〜!
有吉作品の面白さは、人の心の奥深くをぐいぐいえぐり出すところだと私は思います。
「非色」は15年ほど前に読んだもので、その時に受けた衝撃と感動は覚えているのですが、細かい所は正直忘れてしまっています。
大好きな作品だけに中途半端なレビューではなく、再読した際に書こうと思っています。
気長にお待ち下さいませ。ごめんなさい。2014/02/07
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ああ、すごいや。これは。
そりゃ何度も映像化するわ。
だって、見たいもん。
鈴木君子という人物が動き話す姿を。
たまたま深夜、NHKで田中みな実さん主演の「悪女について」の前編を観た。
田中みな実さんの演じていてるところをまともに観たのはそれが初めてで、そしてすぐに引き込まれた。
田中みな実らしさを生かしながらもちゃんと、「鈴木君子」だった。
田中みな実すごいじゃないか…。
そして田中みな実の次に気になったのは原作についてだった。
ぱっと調べてみて、随分古い作品だとわかった。
その割に何回も映像化されていて、そして今も本屋に普通に置いてある。これは名作の予感。
(田舎なので売れない本はすぐ店頭からなくなるんです)
読了できるか、最初は不安だった。
しかし「嘘」に気づき始めるとページを捲る手が止まらなくなった。
なぜ鈴木君子は死んだのか?
最後まで本人は出てこないのでその心は分からない。
真実らしきものは出てくるが、それが真実かはわからない。
ただ「人間」というものがこんなに多面的なのかと思う。
あ、あとそれぞれインタビューされたひとたちもちょっとずつ嘘ついてるところが多分あるよね?
この前読んだ「ポピーのためにできること」というほぼメールのやり取りのみのデータから殺人事件の犯人を探すミステリーを思い出した。名探偵って大変だね。
うーん名作。
あと言葉遣いや時代性が興味深いし、普通に読みやすい。
これはオススメできる。 -
謎の死を遂げた女に関わった27人の視点から、彼女の人物像を知っていくという構成が珍しくて面白いと思いました。
第三者からみると悪女と呼ばれることをしているとは思うけど、関わっていた人はそこまで悪女とは思っていないところが稀で魅力的な女性だと思いました。 -
いやー面白かった。
今からすると昔の作品ですが、古く感じず、この時代に読んでも楽しめる。
何とも君子は艶っぽいなー。
で、結局、死因はなんだったのか?
明らかに嘘つきなんだけど、一方でピュア。
周りが惹かれていくのが分かる気もしなくもない。 -
《自殺か、他殺か、虚飾の女王、謎の死》━━醜聞にまみれて謎の転落死を遂げた美貌の女実業家・富小路公子。
彼女と関わりのあった二十七人の男女へのインタビューで浮かび上がってきたのは、騙された男たちにもそれと気づかれぬ、恐ろしくも奇想天外な女の悪の愉しみ方だった。
男社会を逆手にとり、しかも女の魅力を完璧に発揮して男たちを翻弄しながら、豪奢に悪を愉しんだ女の一生を綴った長編小説。
悪く言うひと、絶賛するひとにわかれる
、本当はどっち?
自身の妊娠出産さえ何重にも利用して、複数人からお金を巻き上げる手腕。
本物の宝石を2、3回あっただけの人にプレゼントする一方、本物そっくりなイミテーションを高値で売り付ける表裏。
実際に本人もどこまで考えて、悪いと思ってたのかさえ謎-
時代だな-とも思う。昭和の高度経済性長期だからこそ、これが現実に有り得たかも、と思わせるよね。
現代だとネットやSNSがあるし難しいかと-
唐突に“娘”が登場した時が一番混乱しました-
すぐにあ、そういうこと-ってなったけど。
昭和58年に発行されて古い物語だけど、時代背景も景気良さげで勢いあって面白い。
そして、富小路公子が昭和11年生まれなこと━まだまだ元気なうちの母と1歳違いな設定━に個人的に物凄く衝撃を受けました…
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この手法。好きなんだよなあ
貫井徳郎さんの愚行録とかプリズムみたいなかんじで
その一人を、色々な角度からみるもの。
自分もそう見られているし、私も相手をそういう一面でしか見ていないということ。
盲目の老人たちが象を触って討論になったというあの寓話のような。
真実は、自分しか、その人しか知らない。
だから、決めつけない。 -
ある1人の女性の死に関して、27人が証言していく…。
実際彼女がどんな人物だったのか、なかなかつかめない。
またそれが、女・人間の恐ろしさか…。
小説の構成自体が斬新。
私もちょうど、図書館予約していたのが届いた連絡を受け取ったところです!こちら読んで期待が高まりました!
私もちょうど、図書館予約していたのが届いた連絡を受け取ったところです!こちら読んで期待が高まりました!
ぜひお楽しみください♪
ぜひお楽しみください♪
わたしはちょうど『紀ノ川』読み始めたのですが、こちらも面白いです!