関ケ原(中) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152134

感想・レビュー・書評

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  • 2016年4月15日読了。天下をとるべく豊臣家恩顧の大名たちへの根回し・戦準備に余念のない家康と、豊臣家を守るべく諸将に檄を飛ばす三成と、戦況をうかがう諸大名たちの駆け引き。中巻に至ってもまだ関ヶ原の戦は始まらない!が、戦は「結論を出す」場に過ぎず、実際は戦が始まる前に雌雄は決しているものであり、「ばくち」を打つのは戦の場ではなく、戦を開くためのプロセスにあるのだ・・・ということが分かり、非常に面白い。「豊臣家の恩顧」は過去の話で、将来自分がどのような利益を得られるか?について諸大名が考えをめぐらした上で家康に加担したとしても、それで批判されるいわれはないわな。ただ家康についたことで利益を得るも後に断絶された家あり、関ヶ原での苦い教訓を活かし幕末に勢力を増す家ありで、歴史とは複雑なものだ。

  • 京都・養源院(文禄3年(1594年)淀殿、創建。元和5年(1619年)焼失。元和7年(1621年)、淀殿妹の徳川秀忠の正室・崇源院(江)、再興)。先日、ここに残る血天井を拝観。本書で描かれた伏見城の戦いで鳥居元忠死闘いの跡である廊下の板の間を供養のために天井としたもの。生々しさが400年経っても残る。家康の強みは、鳥居氏のような家臣に恵まれたことだろうなと実感。将として円熟した家康だが、三成のような一途さを持つ男がいたことで救われる想いがした人々もいたのではないかと想像してみる。読者の自分もその一人。

  • ガラシャの章がとても印象に残りました。

    http://blog.livedoor.jp/maikolo/archives/51025157.html

  • いよいよ決戦に向けて各人の思惑や思考が表出され出してきて面白くなってきた。戦いの前の作戦や分析が垣間見られ出してきて歴史から勝敗の結果だけはわかっていても、そこに至るまでのプロセスや登場人物たちの心情の機微を楽しみたい。

  • 合戦に向けていよいよ様々な武将の立ち位置や考えを細かく描いてくれている。東軍・西軍共に寄せ集めの軍隊だったんだなと。そりゃ寝返りも起こるわと。人間くささが前面に出ているのが面白い。

  • p141.風雲
    家康は、風のなかで立っている。
    どっしり構えていた家康が、初めて心を乱された。
    さすが直江兼続。パチンコで主役を務めるだけある。

    その他
    小山評定での発言ひとつで徳川政権後の石高が変わる面白さ。
    家を残すための必死さ、謀略など。面白い。

  • 三成が奉行の座を追われ、家康が上杉討伐に動き出す。三成の挙兵を待っていたかのように小山評定に。
    三成と家康の派閥工作が丹念に描かれているけど、いくら何でも、これらがすべて家康と正信の脚本通りとするの思いっきりがよすぎるよなぁ。ま、そのおかげで講談みたいに面白いんだけどさ。

  • 所謂獻上城池給家康,其實是堀尾忠氏的妙策,只是被扮豬吃老虎的山內一豐給偷了...

  • 上巻は9日かかって読んだけれど、中巻は2日と少しで読み終えた。派手な合戦に至る前のその裏で各々の諸将たちの腹の探り合い。仁と義と利とが脳裏に渦巻く中で、友情をもって不利な戦に赴こうとする将もいる。この時代、命というものはかくも重みがなかったのかと、かくもいさぎよく死を受け入れることができたものかと粛とした心境になる。
     それにしても石田三成の嫌われようは悲惨で残念でもある。何せわたくし、卵焼きは好きだけれど巨人も徳川も大嫌いで西軍ひいきの身であるからして。
     生き上手、出世上手になるにはただ、正義正直誠意だけではダメなのだ。タヌキ、狐になり腹黒くならなくてはならないのは今の世の中でも同じなのだろうか。

  • 「男の最大の娯楽といっていい、自分が興るかほろびるかという大ばくちをやることは」

    ……引用は、石田三成の家臣、島左近の台詞から。三成は正論を振りかざすが故に諸将に嫌われ、「あらゆる細工をほどこし、最後に賽をなげるときにはわが思う目がかならず出る」ように、利をもって諸将を手懐ける家康の立場を更に有利にしてしまった。しかし、“利”ではなく“義”で行動する者(島左近然り、上杉景勝、直江兼続然り)もいて、彼らは現世で栄えはしなかったものの、その生き方は後世に憧れの対象となる……果たして、どちらが男の幸せなのだろうか。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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