- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101152134
感想・レビュー・書評
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2016年4月15日読了。天下をとるべく豊臣家恩顧の大名たちへの根回し・戦準備に余念のない家康と、豊臣家を守るべく諸将に檄を飛ばす三成と、戦況をうかがう諸大名たちの駆け引き。中巻に至ってもまだ関ヶ原の戦は始まらない!が、戦は「結論を出す」場に過ぎず、実際は戦が始まる前に雌雄は決しているものであり、「ばくち」を打つのは戦の場ではなく、戦を開くためのプロセスにあるのだ・・・ということが分かり、非常に面白い。「豊臣家の恩顧」は過去の話で、将来自分がどのような利益を得られるか?について諸大名が考えをめぐらした上で家康に加担したとしても、それで批判されるいわれはないわな。ただ家康についたことで利益を得るも後に断絶された家あり、関ヶ原での苦い教訓を活かし幕末に勢力を増す家ありで、歴史とは複雑なものだ。
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ガラシャの章がとても印象に残りました。
http://blog.livedoor.jp/maikolo/archives/51025157.html -
いよいよ決戦に向けて各人の思惑や思考が表出され出してきて面白くなってきた。戦いの前の作戦や分析が垣間見られ出してきて歴史から勝敗の結果だけはわかっていても、そこに至るまでのプロセスや登場人物たちの心情の機微を楽しみたい。
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合戦に向けていよいよ様々な武将の立ち位置や考えを細かく描いてくれている。東軍・西軍共に寄せ集めの軍隊だったんだなと。そりゃ寝返りも起こるわと。人間くささが前面に出ているのが面白い。
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三成が奉行の座を追われ、家康が上杉討伐に動き出す。三成の挙兵を待っていたかのように小山評定に。
三成と家康の派閥工作が丹念に描かれているけど、いくら何でも、これらがすべて家康と正信の脚本通りとするの思いっきりがよすぎるよなぁ。ま、そのおかげで講談みたいに面白いんだけどさ。 -
所謂獻上城池給家康,其實是堀尾忠氏的妙策,只是被扮豬吃老虎的山內一豐給偷了...
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上巻は9日かかって読んだけれど、中巻は2日と少しで読み終えた。派手な合戦に至る前のその裏で各々の諸将たちの腹の探り合い。仁と義と利とが脳裏に渦巻く中で、友情をもって不利な戦に赴こうとする将もいる。この時代、命というものはかくも重みがなかったのかと、かくもいさぎよく死を受け入れることができたものかと粛とした心境になる。
それにしても石田三成の嫌われようは悲惨で残念でもある。何せわたくし、卵焼きは好きだけれど巨人も徳川も大嫌いで西軍ひいきの身であるからして。
生き上手、出世上手になるにはただ、正義正直誠意だけではダメなのだ。タヌキ、狐になり腹黒くならなくてはならないのは今の世の中でも同じなのだろうか。 -
「男の最大の娯楽といっていい、自分が興るかほろびるかという大ばくちをやることは」
……引用は、石田三成の家臣、島左近の台詞から。三成は正論を振りかざすが故に諸将に嫌われ、「あらゆる細工をほどこし、最後に賽をなげるときにはわが思う目がかならず出る」ように、利をもって諸将を手懐ける家康の立場を更に有利にしてしまった。しかし、“利”ではなく“義”で行動する者(島左近然り、上杉景勝、直江兼続然り)もいて、彼らは現世で栄えはしなかったものの、その生き方は後世に憧れの対象となる……果たして、どちらが男の幸せなのだろうか。