孤独な夜のココア (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101175119

感想・レビュー・書評

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  • 15/12/26

    P42『りちぎな恋人』
    「わかってた?」
    と思わず、うれしそうな声になったら、
    「うん。そらあたり前や。好きや、思うてる子のしてくれる親切は、すぐわかるもんや」

    鳥肌な男がたくさんでてくる笑。
    勝手だねえ。それに振り回される(振り回されたがってる)女も。みんな思うことは同じだね。愉しかった。
    『雨の降ってた残業の夜』
    恋というものは、生まれる前がいちばんすばらしいのかもしれない。(P77)
    深いい~

  • 現代恋愛小説と言ったら田辺聖子

  • もはや、あの、雨の降ってた残業の夜の、たのしいこだわりない、いい雰囲気は、二度と生まれないという、不安な予感がする。恋というものは、生まれる前がいちばんすばらしいのかもしれない。

  • 若い頃に一度読んでいたけれど、再び手に取り読んでみた

    こんなにも二十代の女性の気持ちを優しく哀しく表現していたのかという驚きが、今私を満たしているなあ
    あの頃は何も解らずに、ただ読み易い本という印象でしか無かったと思う

    田辺聖子という作家の、人間の心の機微を描く力がようやくわかった
    遅すぎるかな 

    綿矢りささんの解説もとてもよかった
    私も、「純度の高い恋愛」が描かれている「ひなげしの家」が一番好きな短編

  • 女子側の書いた体裁の恋愛短篇集だけど、鼻で笑えるのは一つもない。不倫も含めて、どれもどこか人の真心を感じる作品。
    エープリールフールは彼氏が何か身に覚えあって、でも自分の場合と違って誠実に終わったので暖かい気持ちになり、釜飯やのところや夜の電話のところを何度も読み返してしまった。
    石のアイツは最後まで共感できなかったが、最後にガツンとやられた。自分はどうかしら。世間一般の考え方に捕らわれて、アンヌとジルの幸せに背を向けてないだろうか?
    それにしても38歳女性と42歳男性のカップルが完全に中年扱いで気持ち悪いものみたいに書かれているのは隔世感あり。今は堂々と婚活してますけど。

  • 久々に読んだ恋愛小説。さらに、めったに読まない短編。すすめられてよんだら、やっぱりその人の人柄と重なったりしてちょっと切なかったり。自立しているだけでなく、自由に生きる女の人に惹かれて読みました。

  • 2014/3/23田辺聖子さんのほん初めて読んだ。昔らしい雰囲気(昭和の若いOL?)と大阪弁鉛のテンポいい文体がいい、いい女って言うのはこういうものじゃない?って話しかけられるような。自分の昔を振り返るっていうような内容ではまったくないけれども、一つ一つの作品が淡い恋の話で素敵だった。

  • 12編の短編
    孤独な夜のココアという名前のとおり小説だ
    さびしくなる話の中でもなんだか落ち着くこれでいいんだと許されたような気持ちにもなる話がたくさん

    うわーと思ったのは3つめの「雨の降ってた残業の夜」
    最後の文節が猛烈に切なくなりました。
    締めくくりに「恋というものは、生まれる前がいちばんすばらしいのかもしれない」と書かれてあって
    ナンデこんなに田辺聖子はわたしのことわかってんのだ、とまた思った。(前回はどんぐりのリボンにて)
    本当に毎回溜息がでるくらい書き方もものすごく好きです。エイプリルフールで年下の彼と「家訓」という言葉が流行ったやり取りなど、本当に最高です。

    おそすぎますか?も最後本当にこのタイトルがばつーんときて、うわーんとなりました。
    ひなげしの家は本当に本当に恋愛小説だ。
    「わたしは生涯のうち、いくつになってもいいから、双方から愛し愛される恋にめぐりあいたいと思っている。」
    恋愛小説の主人公はこういう前提があって、話が始まるけれど、ひなげしの家は終わりにこの言葉がでてきます。でも本当に恋愛として当たり前のことかもしれないけど、実際はなんとなく恋愛してる。きっと。
    だけど、本当に、恋愛ってすてきなものだなあと改めて感動しました。

  • ああ、とても切ないお話ばかり。

    特に印象に残っているのは
    春告げ鳥
    りちぎな恋人
    エープリルフール
    おそすぎますか?
    ひなげしの家
    怒りんぼ
    中京区・押小路上ル

    関西の言葉で紡がれる12編のお話。
    携帯電話を持たない時代の男女のお話。

    なつかしいけど、きっと変わらない
    女心が描かれています。

  • 安定の田辺聖子さん。

    甘すぎず肩の力を抜ける感じが好き。


    わたしのお気に入りは、最後の短編。

    中京区に住む彼女、着物の仕立てをきっかけに、京友禅の魅力と幼なじみの文ちゃんを異性として意識していく、、というストーリー。
    暗くて寒くて湿っぽい、そんなところを離れるんだと思っていたのに 日々過ごしていた行事やお祭りをいつもそばで見てくれていた幼なじみの存在をまた改めて感じるようになるのだ

    当たり前と思っていたこと、その良さも悪さも捉え方次第かなと思う。当たり前で嫌だなと思っていたことにもきらりと光る一粒はあるし、当たり前で正しいと思っていたことにも実は足元はゆらゆらしてたり。

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

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