本屋さんのダイアナ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.23
  • (597)
  • (604)
  • (212)
  • (25)
  • (3)
本棚登録 : 6609
感想 : 527
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101202426

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • もし自分の名前が大穴だったら。。。
    もし自分が彩子と同じように、大学のサークル事件に遭ってしまったら。。。
    ダイアナや彩子の心情が痛い程よく分かり、感情が入ってしまいました。
    ハラハラドキドキで、読者も一緒に二人の成長を見守っていく感じがいいです。

  • 何年前の夏フェアで見かけて、ずっと気になっていた本。

    矢島ダイアナと神崎彩子の、8歳から約15年にわたる生涯が描かれている内容。

    意味は理解できるのだか、完全に感情移入するということはできなかった。自分が男だからかな?
    でも、女性の気持ちのなかを垣間見てるようで面白かった。

    一番印象に残ったシーンは、終盤。本当の父親が電車に乗り込もうとするとき、ダイアナが自分の名前を叫ぶシーン。ずっとイヤだった自分の名前が、この名前でよかったと思える瞬間。
    本当の父親である「蛍」は、今後どんな気持ちで人生を歩んでいくのだろう。ダイアナと会える機会は保たれるのだろうか。

  • 同い年のダイアナと彩子の交流と成長・葛藤・嫉妬・誤解と再会の物語。

    裕福な家の彩子。キャバクラ勤めの母との二人暮らしのダイアナ。彩子はダイアナの華やかなところに、ダイアナは彩子の優雅なところに惹かれ、本・読書という共通項に結ばれて仲良しになる。

    ところが、二人が少し成長して、境遇・進路の違いや肉体の変化が原因の些細なことから、絶縁状態に。二十歳過ぎまで交流が途絶えてしまう。

    絶縁状態になっても二人はお互いを認め合っていたのに、もったいないなぁと思いました。二人が再会して小学生の頃と同じような気持ちで接することができるまで長かっただろうなぁ、と思いました。

    裏表紙に「ガールミーツガール小説」って書いてあったので、少女マンガ的な物語なのかなぁって思っていたんです。なんかほんわかした感じの。ところが、なかなかハードな事件も起こったりして、予想外の衝撃を受けました。まぁ、ないことはないんでしょうけどねぇ・・・。ちょっとショックでした。

    けど、最終章の「呪いを解く方法」のためには必要だったのかも、ですが。でも、彩子ちゃんは普通の大学生活を送って欲しかったな、と思いました。完全に親目線ですが・・・。

    物語の内容が全部楽しかった訳ではないですが、楽しく読めました。

    二人のヒロインはもちろん良かったけど、ダイアナのお母さんのティアラさん、ダイアナと彩子と同級生の武田君。良いキャラでした。

    他の柚木作品も読んでみようと思いました。

  • 「あの子にはさ、〜自分を信じて生きていって欲しいんだ。誰かに何かを与えてもらうのを待つんじゃなく、欲しいものは自分で掴んで欲しいんだ」

    何かを与えてもらうのを待つんじゃなくて、欲しいものは自分で掴める人になりたい!と思いました。

    最初は本好きのための小説だろうな〜としか思っていなかったけど、何も知らなかった少女たちが大人になる様子を力強く描いたお話でした。
    彼女たちのそばにはいつも本があって、本が彼女たちを支えていて、、、
    人生において、そんな拠り所になる本ってかけがえのない存在ですよね。

  • 家庭環境の全く違う二人の少女。ダイアナと彩子。小学3年生で出会い、共通点は本が好きな事、そしてお互いの持たざる物に憧れと嫉妬を持ちながら、大切な友人となります。
    中学入学を期に疎遠になりがちな二人。恵まれた家庭の彩子は私立女子中学へ。シングルマザーでキャパ嬢のママを持つダイアナは、公立中学へ。少女らしい誤解が彩子をダイアナから遠ざけていきます。
    ダイアナママの意志の強さと生活力。彩子両親の美しい物と時間に溢れた生活感。違いが大きくても、二つの家族が認め合えるところが落ち着く。
    少女達は、悩みながら恋をしながら成長していく。再会できるのは、多少時間がかかってしまったけれど。
    ダイアナが、「赤毛のアン」の友人のダイアナが由来ということに感嘆。何処かで書いてしまっているのだけど、私も赤毛のアンは、「アンの青春」までが面白いと思っていた。(だから同じように思っていた人達がいるんだなと嬉しくなった。)アンの愛情って、ギルバートとの恋愛小説でねえ。小学生の頃なので、文庫では読んでなく、作中の花岡さんの後書も知らなくて。なるほど、ダイアナが避けられない現実を受け入れて自分の道を進んでいく「アンの愛情」に、この小説のダイアナが重なるんですね。
    私は、彩子ちゃんも好きだったので、大学生活を充実させてあげたかったのよねえ。恵まれている事が不運ということは、ないのだから。それだと再会できないけど。

  • 女性は共感する人も多いのかなと思った。私も共感する部分が多く、途中読むのが恥ずかしくなるところも…笑
    女の子が大人になるまでの心情の変化をすごく丁寧にリアルに描かれていました。

  • 自分がたくさん古典名作を読んでいたらもっと楽しめたんだろうなぁ〜と思って自分の読書量の少なさに幻滅した。

  •  エンターテイメント性の高い面白さがある。
    『赤毛のアン』をベースに、『ぐりとぐら』『マドレーヌ』から、『若草物語』『秘密の花園』『嵐が丘』『ジェーン・エア』『風と共に去りぬ』『悲しみよ こんにちは』『危険な関係』等等。

     女の子なら一度は手にとるであろう本たちに歓喜する(わたしの勝手な思い込みかも)。 
     また、父性においては、森鴎外・幸田露伴と娘たち、向田邦子を上手に登場させる。 その辺りは、読者の心を巧みにくすぐる。

     前半の、ダイアナと綾子の友情物語は、面白い。
    後半は、ちょっと強引なストーリー展開が気になったが、全体的には、意外なわくわく感を楽しめた。

     わたしにとっては、次はどんな本・作家が登場するのだろう? そのわくわくの方が大きかった。

  • 3.7

  • 子どもの頃に繰り返し読んだ物語の力は、背骨に、脳髄に、あるいは心に染み付いていて、それは大人になって、背を押してくれる、正しい方向に導いてくれる勇気や希望と呼ばれるものになる。現実は物語のように美しくなくても、それでも、それだから、その世界があることに救われるのだと知っている。
    わたしの隣にいつもハリー・ポッターがいてくれたみたいに。

著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
恩田 陸
辻村 深月
朝井 リョウ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×