月の上の観覧車 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101230375

感想・レビュー・書評

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  • 中高年期にさしかかった人生の、ビターチョコレート味のひとこまを描いた短編集。
    中高年にもなるとシミも多くなる。消したくもなるシミ、隠したくなるシミも多々あるが、それもまた自分なんだとも思う。
    個人的には、「上海租界の魔術師」「レシピ」「ゴミ屋敷のモノロークローム」が心に残った。

  • 日常の、ふとした時、立ち止まってみたり、
    後ろを振り返りたくなる。
    そんな、少し歳を重ねた大人たちへ。

    短編で読みやすく、
    思ったよりも軽い。

  • 泣けるわ
    自分が歳とったからなんだろうね
    うまいなあ〜

  • 思うようにいかなかった、悔いの残る過去を振り返る、ノスタルジックな8つの短編。何れも重たい。

  • 40過ぎの人達にはグッとくるであろう短編集。この本はある程度の年齢にならないと良さがわからないと思う。仕事がうまくいかず家庭もうまくいかなくなった中年男性が主人公の話が多いです。漂ってくるのは哀愁。マジシャンで自由に生きてきたけど年をとって厄介者になった祖父が若い頃に好きだった中国女性をずっと思い続ける「上海租界の魔術師」や観覧車に乗ると会いたかった死者と会える表題作の「月の上の観覧車」がとても良いです。「レシピ」だけは他の作品と違って女性のしたたかさがしっかり描かれていて妙に共感できてしまった(笑

  • 全体的に「ふーん」ってのは多かったけど、トンネルのとゴミ屋敷のは良かったな。

  • 短編、相変わらず苦手。
    ふーん、って感じでどれも終わってしまった。

  • 5冊目。なにかと今話題の著者。貰わなければ読まなかったと思う。
    述懐の物語、あるいは追憶の物語。話自体に捻りはないし、出てくるエピソードもバブル世代のそれが多くてイマイチ良くわからない。なのにどうしてこんなに胸が苦しいんだ。
    歳をとったんかなぁ。歯ブラシを見て帰ってしまう威勢がいいはずのおかんとか、柱に刻まれた記録とか、なんか記憶に残ってしまう。
    表現がキレイということはある。この人の比喩好きだなぁ。記憶を呼び覚ますような平易だけどなかなか思い浮かばない比喩と思う。
    一番好きなのはお盆の話かな。な。章内節の「π」がとてもおしゃれと思うの。2~7に見られるそういう遊び心も好きでした。

  • 閉園後の遊園地。高原に立つ観覧車に乗り込んだ男は月に向かってゆっくりと夜空を上昇していく。いったい何のために? 去来するのは取り戻せぬ過去、甘美な記憶、見据えるべき未来――そして、仄かな、希望。ゴンドラが頂に到った時、男が目にしたものとは。長い道程の果てに訪れた「一瞬の奇跡」を描く表題作のほか、過去/現在の時間を魔術師のように操る作家が贈る、極上の八篇。

    「トンネル鏡」・・・東京から故郷の日本海に面した小さな町に帰る列車の中で、今までの人生を辿る男の話。
    大学受験で上京してから30年、「私」は50歳を目の前に証券会社を退職しました。現在は離婚しており、故郷で一人暮らしていた母親も亡くなりました。
    閉ざされて何もない小さな海沿いの町、酒を飲み煙草を喫い、ド演歌を唸る母親から逃げるようにして東京へ向かった「私」が、再び故郷の町で暮らそうとしています。

    「上海租界の魔術師」・・・若い頃上海でマジシャンをしていた祖父の話。
    「レシピ」・・・書き溜めたレシピノートで昔の恋を想う主婦の話。
    「金魚」・・・鬱になった男が金魚を通して亡き妻を想う話。
    「チョコチップミントをダブルで」・・・離婚した妻に引取られた娘と年に一度だけ会う男の話。
    「ゴミ屋敷モノクローム」・・・ゴミ屋敷に住む老女と若い公務員の話。
    「胡瓜の馬」・・・故郷の好きだった少女の話。
    好きだった少女は今でもやっぱり好き、なのです。結婚した妻を愛することとは別に、少女の面影が男の胸から消え去ることはないのです。

    「月の上の観覧車」・・・夜の観覧車で自分の人生をなぞる年老いた男の話。
    誰にでも、死者とつかの間出会える瞬間がある...「私」の場合、その場所が観覧車でした。
    閉園後の遊園地。この施設のオーナーである「私」は、高原に立つ観覧車に妻の遼子と乗り込みます。
    月に向かって夜空を上昇していくゴンドラのなかで、先天的な疾患と障害をもち夭折した息子・久生を想います。

  • 老人やそれを取り巻く人を主人公に描いた8つの短編。
    来し方を振り返り、そこに在る喪失を嘆きながらも、どこかわずかに明かりの差すエンディング。じっくりと読ませてもらいました。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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