月の上の観覧車 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101230375

感想・レビュー・書評

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  • 胡瓜の馬、月の上の観覧車、よかった。今の自分の年代で読めたからかなー、じわじわときていろいろ考えてしまった。日々、大切に生きなくては。

  • 人生の半分以上を生き、残りの方が少なくなった今、大切な人や夢を喪失した過去を振り返り、あの時に違う選択をしていればと後悔している人たちの話。過去に戻れない事は百も承知で。八篇。

    もしも選ばなかった方の選択肢を選んでいたらこんなはずでは...という気持ちは痛いほどわかる。どの選択もいやいやした訳ではないだろうし、その時はそれがいいと思ったのだろうから。
    何を選びどんなふうに生きたとしても後悔する事はあるんだと思う。だからといって後悔を否定する必要もないし、何度でもやり直しが出来るなどとも言いたくはない。
    死ぬ時に後悔が一つもないなんて言える人はいないのだから。

    一度しかない未来へ。という解説の大矢博子さんの言葉は印象的。
    思っていた自分になれていない人など山ほどいるのだろう。たとえ今はそうであってもなりたい自分があるなら、先の方が短くても未来へ繋がると信じたい。

  • 際立って大きな事件が起きるとか、びっくりする展開というのはなく、様々な人の日常を巧みに切り出した印象を受ける作品。八編収録されているが、とても良かったものから、あまりしっくりこなかったものまで様々。どの作品も哀愁が漂っている。お気に入りは「トンネル鏡」と「チョコチップミントをダブルで」。前者は、自分の親と結婚と子供の複雑な関係性が描かれており、自分とは切り離された領域で思うようになかなかうまくいかない難しさと悲しさがよく描かれていた。後者は、離婚したため1年に1度しか会うことができない娘との話。娘と会うことを楽しみに1年間頑張る男性、そして娘との向き合い方がちょっと不器用な男性像が上手に描かれている。そんな不器用な父を拒絶することなく、受けいている娘の優しさにもホッとする作品であった。

  • 年老いていくときに感じるふとしたことが共感できてほんわかします。

  • 短編集。
    主人公はみんな亡くした人、失ってしまったものに思いを馳せながら、自分の人生を振り返る。

    あの時、こうしていれば、ああしていれば…って悔やんでも仕方のないことだけど、
    それだけでとどまらなくて、少しだけ光が見えるというか、主人公たちがちょっとだけ前向きになる姿はいいも思う。

    でも全体的に切なかったな。

  • 2017.2 課題本

  • 若い子が読んでもいまいち面白くないでしょうね。「泣けた!」「感動した!」と単純に言えない話だもの。年をとっていればこそ身に覚えのある「あの時のカサブタ」みたいなのがあるわけで。

  • 淡々としてるようで、じわじわくる。

  • 世界観をダイアログで作り出すのがとても上手だなと思った。とても好き。

  • 八作品のうち六作品が四十代以上の主人公で
    そろそろ人生の折り返し地点を通過している世代がターゲットになっています。
    そんな年代になると日々過ごしているとふとした時に
    過去の事を思い浮かびこうすれば良かったと思うことがあります。
    そんな世代の人達が人生を振り返った時々のことが綴られていますが、
    どの作品も普段隠れている心の隅をぎゅっと掴まれたように
    どこか切なく淋しさがあり脆くも涙が出てしまいそうなものばかりでした。

    主人公が女性で過去を振り返りながらも唯一未来に向かっている
    作品の「レシピ」はこの中ではとても印象的で、
    作者は男性なのに女性の心理をよくぞここまで把握しているなというのが
    書かれていて面白く、料理と過去の男性をこのようにして
    思い返しているというアイデアも面白かったです。
    そして女性らしいラストの潔さに爽快でした。

    歳を重ねると今までなんてことのない事だったことも
    何か大きな人生の転機があると
    今まで身近だった家族、夫婦、子供、友達、同級生、同僚などが
    特別な存在だったということに気が付き
    だからそんな時に「もしもあの時にこうしていれば」と
    思うことが多くなるのかと思います。
    けれど過去ばかり振り返っていても何も変わることがないので、
    少しでも今までとは違う自分を取り戻して、
    未来へ歩んで欲しいというメッセージもこの作品の中からは
    読み取れるような気もしました。

    若い方が読んだらまた違う観点からの感想になるかと思いますが、
    歳を重ねたからこそこの深みのある心境が分かるかと思うので
    アラフォー世代の方が読むにはまさに打ってつけの作品だと思います。
    これで人生の準備としての心構えも出来るかと思います。

    人生でもし何かに躓いた時に読み返してみても
    今とはまた違った心境にもなると思うので、
    読み返してみたい作品だとも思いました。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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