- Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101289229
感想・レビュー・書評
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ばななの父、思想大魔神吉本隆明が、いろいろについて「ゆるく」説いた本
「理想の上司とはなんだ?」から「生きるってなんだ?」まで幅広く語る中で、その内容は正直言って難しかったです。
けど核は、というか一本通った筋は「ゆとり」ということかな、と感じました。
99頁
「清貧の思想とかはダメなんです。人間は、そういうふうには生きられない生き物なんですから。遊んだり、オシャレをしたり、恋愛をしたりっていうことがなくなったら、人類の歴史のいいところはほとんどなくなっちゃうんですよ。」
これは「素質」の章でもでてきます。
ビートたけしは損して攻める、タモリは自分の領域を守っている、という例。
「常に一段上へ!」という考えも勿論正しくて、けどタモリが実はスゴイっていう考えが本作。
別にどっちが上、なんてことじゃなく、貴方ならどっちが好きですか?程度に捉えた方がいいのかな
「考える」行為を極めたお爺ちゃんが言う割には、何か物凄く身近で優しい文章です。何かしら今を変えるヒントにはなるハズです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新潮文庫の100冊2011フェアがあったので、何冊か衝動買い。親鸞聖人の「悪人正機」という歎異抄の一説からとったタイトルの吉本隆明、糸井重里コンビの本。
常識と思われることに対しての吉本節がうまく作用している、吉本思想初心者の本。「最後の親鸞」を読むほうがお薦めだが、BRUTUS の特集が好きな人にはこれくらいでしっくりくると思われる。 -
吉本隆明って人がどれだけすごい人なのか知らずに読み始めたので、「勘のいいおっさんがなんか言ってる」「糸井重里がすごそうに言ってるからすごいんだろう」ぐらいにしか思えなかった。でも、「こんなこと言える俺かっけー」的なつまんなさがないってのは、すごいことだと思う。
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以前からほぼ日で何度も紹介されている「思想界の巨人」こと吉本隆明という方に興味を持っていたのだが、今回初めて手に取った。
直接吉本隆明さんが書いたのではなく、糸井さんとの対話の中で話された内容が、「生きる」「友達」「挫折」「殺意」「仕事」「もの書き」「理想の上司」「正義」「国際化」…といったテーマに沿ってまとめられた本。
悪人正機っていったら親鸞が思い浮かぶので親鸞の思想を噛み砕いて教えてくれる本だと勘違いして買ってしまい、ちょっと期待はずれだった感は否めない。(しかし後で、二度目を読み返して引用文を探していたら、あれもいい、これもいい、という文がかなりたくさんあって、長い文章を引用してしまうことになった。さらに続けて読んでたらもう期待はずれなんて言ってしまって本当にごめんなさいって謝りたくなった。深い、深い。)
この本の著者紹介のスペースに載せられた吉本孝明さんと糸井さんの2ショットが微笑ましくて好きだ。特に吉本隆明さんの目がいい。
P.33
人助けって事に関してなら、それはやっぱり、親鸞の言ってることが完璧じゃねえかと思ってますね。親鸞は、いかに人間が善意を持って目の前の人を助けようとしても、助けおおせるもんじゃない、と言ってるんです。
P.42
よく「俺、友達たくさんいるよ」なんて言うやついるけど、そんなの大部分はウソですよ(笑)。結局、ほとんど全部の人が本当は友達がゼロだと思うんです。…結局、どっちだって同じ、どうせひとりよ、ということなんです。月並みだけれども人生というのは孤独との闘いなんですから。
P.57
今の社会で、普通に生きている人だったら、法律の範囲を少し逸脱したところまでは行くんじゃないかと思います。…だから、その現実の正常の範囲を、法律の範囲よりも、専門化が拡げて考えなきゃいけないし、そこを専門に研究していってくれなきゃいけないのに、法律にそのまま従って異常だと言っちゃってるでしょ。そういう人たちが一番悪いですよ。…現状の犯罪や精神異常だって、これらと同じ側面があるんです。でも、専門家はそういうことを考えないでさぼっているわけ。さぼらないで正常の範囲を拡げて考えてくれないとね。専門家が言わないと、法律のほうが強いですから。素人がそういっても通らないけれど、専門家が、これは正常の範囲内なんだってことをちゃんと言ったら、法律がどうあろうとある程度と通るわけなんでね。法律のほうが違ってるんだよってことや、もう間に合わなくなっているんだよってことは現実にはいくらでもあるんでね。実際には、法律に引っかかる部分があっても、専門家の選んだほうがいい結果をもたらすことはあるわけなんですよ。僕は、そういうことは良しとしますね。そうでないと、すべてのことがあいまいになって、怪しくなっちゃいますよ。法律に何でも判断させるのは、間違いなんでさ。
P.60
僕ら日本人って言うのは、過剰に気を使いすぎる。だから、こう言っちゃ悪いんだ、見たいになっちゃうんですね。人それぞれ違う考えがあるっていう、相容れないもの同士のルールってのが、できてないんじゃないかな。 -
糸井重里嫌いやけど、内容には絡んでないので安心。
よしもとばななの親父さん、なかなかいいねぇ〜 -
ちょっと読んでから時間が経っているので、内容はほとんど覚えていません…。
吉本さんは「思想界の巨人」といわれている人だし、糸井さんはひとつの時代をつくりあげた名コピーライターだ。
その2人がタッグを組んだ(糸井さんはあくまで聞き手だけど)ものを、たかだか数百円でコンパクトに読めるなんて、考えるとなかなかすてきだなあと思います。 -
「生きる」ってなんだ?「素質」って?「殺意」「名前」「ユーモア」・・・いろんなテーマについて、糸井重里が吉本隆明から引き出すコトバの数々を綴ったエッセー。
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「ほぼ日」でたびたび目にする吉本隆明さんが気になっていたため、読んでみた。
うーん、これは非常に評価が難しい。各テーマに関して語られる内容には「おお、そうそう、そうなんだよ!」と思う部分も多々あって、しかも内容が濃いから充実している。それはそれは、一気に読むには疲れてしまうくらい。ただ、相性なのか何なのか、どうしても反発したくなる気分になってしまった。何なんだろうな〜・・?
それはそうと、糸井さんの短い感想が各章の冒頭に入るのは本当に必要ないと思うぞ。内容紹介の役割もあるのかもしれないが、吉本さんの文章への解釈を押し付けられているような気分になってしまう。
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20/10/13 70
手を使わないで頭で考えてとか、文献を読んで思い浮かんでくると言うのには、着想なるものはほとんど何にもないですからね。
実は、その切なさみたいなものは非常に大切なことでね、なくさないほうがいい感情なんですよ。
世界の一番先進的な国の認識よりも、もう少しだけ上の認識を持つべきなんです。
遊んだり、お洒落をしたり、恋愛をしたりって言うことがなくなったら、人類の歴史のいいところはほとんどなくなっちゃうんですよ。
唯物論っていうのはスッキリしてるけど、でもこれは表面だよっていうふうに思いますね。精神の浪費をするって言うときには、やっぱりこの深さっていうのがあたほうが、浪費は楽しいですしね。
何しろ僕の歳になっても、こりゃあ未知の領域だっていうのが、どんどん増えているんですから。こういう状況のなかで、どういうのがいいんだなんていってたって、これが通用するなんてことは、ひとつもありゃしないんです。
問題にしていることの「酸素と水素」に当たるものは何だって事を探さないと、意味が無いんですね。
英語を憶えたいんだとしたら、違うコトバだと思わないで、方言のひとつとして考える方法というのは、案外早く憶えられるようになるかもしれないですね。
仕事なんてものも、大真面目にやっていたら、誰でもかならず、だんだん、「どうやったって、もうだめだ・・・」と言うふうになってしまいますからね。そういうことだと、そうそう続かないものです。
大真面目はダメです。 -
吉本隆明というブランドが発する言葉に救われたいと思って
読んだのが愚かだったか、
期待しすぎた。
分かるような、分からないような箴言の数々は少しペダンチックで、
もう少し分かるように話してくれ…というのが実感。
すごく頭のいい人なんだろうけれど、
私がまだ理解に追いつかないようです。
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最後の病室からの章から、現在入院中のうちの祖父の気持ちを想像した。
「お金ってなんだ?」の章では、お金はやはり積極的に使おう、投資しようと思わされた。 -
吉本隆明の本はこれで二冊目である。大学生になっても、あいかわらず、なんとなくしかわからない。自己相対化がほぼ完璧にできてる人であろう。そして素直なところが人気を呼んでいるに違いない。鈍い刀の方が切れるは激しく同意。・・・他には自分の自己評価の上を行う人は胡散臭くみえる。そして、その人たちが世の中をよりわからなくしているにちがいない。
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いいねー、吉本隆明。それにしても、糸井重里って、オッサンにならない。秋元康的に残っている(秋元氏はもっと下心が見えるけど)。糸井氏も商売上手だけど、この人の目的は何なんだろう。イトイ新聞を見ても、いまいちピンとこない。野望ってほど、ギラギラしてないし、ポジションがわかりにく。嫌いじゃないけど。何したいんだろうなと、素朴に思う。
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2008/1/5購入
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「他人っていうのは,自分が自分を考えているほど,君のことを考えているわけじゃないんだぜ」
=>そんな甘いことをいっているようじゃホントに切実になってないんじゃねえか?
# いろいろと考えるきっかけを与えてくれる本 -
対談です。二人が喋っているのを聞いているだけなのでテレビ感覚で読めます。乱暴だけど、すごく納得する本です。
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面白いし痛快だった。しかし、ここに書いてあることを鵜呑みにしていいものかどうか。この本の出版さえ、自分の評価より下に見られる行為として行っているとしたらどうなのだろう。
スッとした気持ちにはなるが、だからと言ってどうすることもできないのだなぁと思った。 -
糸井重里が吉本隆明に、社会の疑問を投げかけ、それに答えるという形式で書かれてある本です。
この本を読んで、少しは世の中を違った角度から見れるようになったんじゃないかと思います。人間としての幅が広がる本です。 -
2005/11/3