おとなの味 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101316543

作品紹介・あらすじ

泣ける味、待つ味、吸う味、消える味。食材と調味料の足し算では掬いきれない、新しい味覚が開かれるとき、その裏には流れる四季と人との出会いがある。上機嫌の父がぶら下げた鮨折りで知った心地よく鼻に抜けるわさびの辛み。煮る炒めるのひと手間で、鮮やかに変貌する古漬けたくあんの底力…。時の端々で出会った忘れられない味の記憶に、美しい言葉を重ねた至福の味わい帖。

感想・レビュー・書評

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  • 美味しい物満載のエッセー
    この作者さんは、本当に「食」を愛しているのだなと
    よくわかる1冊。

    お腹がすきます(笑)

  • 贅沢な食事でなくても、たまには使える感覚をフル動員して味わう余裕を持って挑みたい、と思わされた。

    調理(時には食材採取の段階)からお腹に収まるまでを、四季・記憶・土地のことなど交えながら丁寧に描き切っていて、こちらも五感で想像せざるを得ず、満腹。オノマトペもぴったりしっくり。

    ー解説よりー
    それにしてもこのように、味を文学的に表現した本は、はじめて読んだ。(安西水丸)

  • いろんな「味」でくくられた、小さな物語たち。
    どこか懐かしい気持ちになる。
    所々はさみこまれる写真も、美味しそうでたまらない。
    おとなになると味覚が変わって、途端に美味しさがわかるようになる食べ物がある。

    これこれ。この言い回し。私の大好物の平松節が炸裂して、思わずにんまりする。
    この感想も、どことなく影響を受けているような。

  • 1958年倉敷市生まれの平松洋子さん、子供の頃の夏休みでは、ラジオ体操、肝油、絵日記、朝顔観察、プール登校日・・・、そして夕方の水撒き、そのあとの「かつおぶし削り」があったそうですw。そんな平松洋子さんにかかると、どんなものにも味わいが~~~(^-^) 「もうしわけない味」は、日の高いうちから飲むお酒。「車中の味」は、大船軒の鯵の押寿司とカップ酒。「一丁前の味」は、甘えず、媚びず。いったん心に決めて相手のふところに飛び込んだら四の五の言わない。覚悟を決めた女の佇まい。こんな感じで62もの味が味わえます!

  • 食べ物の本が好きで。

    しかもいつもそういう本を買う場所って限られてるのよ。

    品川駅の本屋。

    何でだろ。あそこに行くと食べ物のエッセイが魅力的に見えて、ついつい買ってしまう。だいたい品川にいるときは、成田エクスプレスか、新幹線で帰郷、みたいな時なので、電車の中でその本をおやつ代わりに読む、みたいな感じになる。

    ここ最近立て続けに食べ物エッセイが軒を連ねている私の本棚ですが、全部品川駅で買いましたw


    いくつかあるの。ここに来たらこの本を買う、みたいな本屋さん。変な漫画を買ってしまうところ、下世話な女子本を買ってしまうところ、アート系の本を買うところ、哲学系の本を買うところ、みたいな。


    好きなものが決まってるなー、と、危機感覚えることもある。だって、あれだけたくさんのいろんな分野が並んでる本屋なのに、だいたい足を運ぶルートが決まっているんだもの。そう思うとね、寄り道してみたりするんだけど、どうもね。


    とまあ。平松さんは、そんな食べ物エッセイの中でお気に入りの作家さんなのです。あと石井良子さん。

    お二人とも、食べるのが大好きなんだなぁって、嬉しくなるの。私にはない感情を持ってる。

    食べることは嫌いじゃないし、ご飯作るのも好きよ。食べることに興味がないわけじゃない。できるだけ健康を維持できるものを食べたいと思う。でも、結局のところ「何を食べても一緒」と思ってしまう私は、彼女たちの作品にあこがれるのです。

    きっと、幸せそうに食べる彼女たちに同席している気分になれるのよね。私にとって「食べ物」は、人と人をつなぐ場所でもあると思う。一人でいてもしっかり食べたいとは思うけれど、一人ならば、何を食べても一緒なのです。なんの味にも、感動しないからで、だから、長旅の電車の中で本なんか買ってしまうのは、電車で一人空腹を紛らわすように何かをつまんで自分を満たすよりも、幸せな食卓に同席して、おいしそうな光景と、そこにある笑顔を思い浮かべることのほうが、私にとって満たされる行為なんだと思う。

    品川駅で、自分のためにそんな本を買い、家族のために、おいしそうなお土産を買う。私の幸せな時間です。

  • 20150510読了
    以前に読み終わっていたものを忘れていた。●「菊乃井」さんに関する話も登場するが、基本、関東方面に重きを置いた食のエッセイ。江戸料理ってこんなんなんだなーと知る場面が多かった。これの影響で初めて「ねぎま鍋」を作ってみた。美味。●永六輔「職人」を読んだあとだからか、職人さんとの付き合いが描かれるP250「一丁前の味」が特に印象的。「職人はさ、気分よくやらせてやるにかぎるのよ。たいていのことなら、ああいいよ、あんたの気のすむようにやっとくれ。これで万事うまくおさまるのよ」「よけいな口出しはせず、ぐずぐず言わず、けれどもこうと決めたらぽーんと相手のふところに飛びこんでまかせ切る。それが一丁前の女だとも断じていらっしゃるわけだ」●鮎正いってみたい!

  • 食べものエッセイ。身構えずにサクサク読めて気軽で良い本。甘い味としょっぱい味を一緒にすると美味しいのを知ったのは確かに大人になってからだった。名古屋の「大尽」と石川県白山の「うつお荘」に行ってみたくなった。食べ物で四季を感じることは、意識的に行わないともはや味わえないことなんだなあと思いました。

  • 酒好きの著者がお酒が邪魔になると表現している、石川県はうつお荘の摘草料理が気になる。
    著者が娘の誕生日だけに通ったレストランも気になる。そうして一年一年重ねていった日々の暮らしが気になる。

    豆腐を水切りするときは手で割って表面積を増やすといい
    京都の水は軟水、軟水だからこと今の日本料理がある
    硬水が主となるヨーロッパではシチューやアクアパッツァなど、煮込料理が発達してきた、水の味に合った料理が発達してきた

    料理のコツ、おいしく食べるためのちょっとしたことは経験を積むことで覚えていくものだ、と「自慢の味」で書いているけど、この本にもぎっしり詰まっていて、経験の浅い私は著者からこっそりお裾分けしてもらった気分になった。

  • 恥ずかしながら食べたこと無いものが大半でした。
    酒を飲めないって損してるなと改めて思いました。
    もうちょっと大人になったらまた読もう。

  • 一行目:「夏休みの昼寝は、いつも水いろのボンボンベッドだった。」
    写真がとにかく美味しそう。なぜなら、肴の写真ばっかりだから。
    全体的には気に入ったのだが、ところどころ見栄?が見え隠れしてしまう。女性と食事を楽しむ時は「ともだち」。男性と一緒のときは「男のひと」。どうでもいいのに、いちいち区別するとは。あと、高級志向だから、庶民の味が少ないのが残念。バブルっぽい感じが漂う。

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著者プロフィール

平松洋子=1958年、倉敷生まれ。東京女子大学卒業。エッセイスト。食文化、暮らし、本のことをテーマに執筆をしている。『買えない味』でBunkamura ドゥマゴ文学賞受賞。著書に『夜中にジャムを煮る』『平松洋子の台所』『食べる私』『忘れない味』『下着の捨どき』など。

「2021年 『東海林さだおアンソロジー 人間は哀れである』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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