身体から革命を起こす (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101326511

感想・レビュー・書評

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  • 広島大学の柳瀬陽介教授のサイトに紹介されいるのを見つけ、読むことにした。
    甲野氏のことは知っていはいたが、詳しくはわからなかった。
    明治以前の日本人は、仕事の中で身体を使っていた。しかし、情報化社会=脳化社会の現代では、脳が肥大し、身体は置き去りにされている。その流れに棹を挿しているのが甲野氏である。
    相手と自分、環境と身体という関係性の中にとらえる身体観は、骨と関節と筋肉と捉える分析的身体観とは必然的に異なる。変化する相手と自分、変化し続ける環境と身体という関係性で捉える身体観は、異なる思考を生み、飛躍を促す。
    さまざまな分野の人が、甲野氏に触れることで、ある種の飛躍を促される。
    甲野氏が注目される理由がここにある。

  • 甲野善紀という武人の生き方、哲学がとても興味深い.
    既成概念、固定観念にとらわれず、いつも進化を考えていく.
    実践面でも多くの人に影響を与えているが、「自分の頭で考える」という生き方の部分も多くの人間に影響を与えていくのだろう.

  • 体で「わかる」ということはどんな「わかる」よりわかりやすい。ということは、私が体で感じて思っていることです。ドライバーでボールを遠くに飛ばせるようになるかなという下心もあって、この本を手にとってみました。甲野さんの本は『1冊』だけ読んだことがありますが、彼のやっていること、それに感化されて集まるプロフェッショナルが紹介されている本だと思います。私は運動に関して素人なので生かせるかどうか…

    本に書いてある体の使い方が応用されればといいなあと特に思ったのは、介護への分野。介護は体を使う仕事で、足腰に非常に負担がかかるという、高齢化社会でますます介護者の人手が必要になるはずです。よく言われる介護者の低賃金問題をすぐに解決するのは難しいと思うので、せめて体を傷めない方法が広まって欲しいと思います。「介護スクールの先生が今まで教えていた体の使い方とは違う新しい使い方を否定し、阻害する。今までの体の使い方では、現場では大して役にたたない」というどこにもある既得権益を守るだけの図式がここにもありましたね。当然ながら甲野式介護法(?)は細かくは載っていないので、問題として考えている団体があるんだ、ということを知るだけでもいいと思いますね。

  • 武道で有名な甲野さんと、彼に興味を持ち、交流することで変化したいろいろな人の物語。最初のほうでは少しもどかしく感じた語り口も、最後の名越康文さんのくだりで頂点に達する。

    「人間の運命は決まっているのか、いないのか」

    この問題を突き詰めるために武道の修行。しびれますわね。畑村先生もちょっぴり登場してたりする。

  • 身体を細かく分節し、それぞれの部分を分離しつつ、
    かつ連動させる。その前提となる感覚を見いだせるか
    どうかが分かれ道。

  • 【目的】:身体の使い方についてヒントがほしい<BR>
    ・運動生理学では、運動は関節を支点として筋肉で動かす、バネ・テコ的身体観で理解されるが、ねじらない身体の使い方がある。<BR>
    ・コロ、車輪、キャスター。コロの理論を追求すればするほど、革新的な術理を批判、否定してしまうことになる。<BR>
    ・科学が説明できないことを否定すべきでない。科学では、プロ野球の打者がピッチャーの投げた球にバットを当てることすら、反応時間から説明ができない。<BR>
    ・理論(思い込み)の身体観に根ざした実感もあてにならない。<BR>
    ・軸、支点を置くうねり系の運動では、居つく。<BR>
    ・バネ・テコ的身体観、力で動かすのではなく、自分と運動の対象の関係の流れの中で動く。<BR>
    ・身体の装置化。身体を操縦するように、仕事感覚(かわさねば斬られる)で動く。<BR>
    ・井桁術理。局所、支点でなく、別方向の動きが複合された結果としての動き。<BR>
    <BR>
    #科学・理論の限界を知ることの大切さを思った。<BR>
    #考えて動く状態から、意識しなくても状況に対応して動く状態になるため、やはり日頃の自分の運動感覚に意識的になりたいと思う。<BR>
    #写真つきで紹介されているが、本書だけでは持ち上げる際に足を「垂直離陸」させるなど、実際に見たり、技を体験しないと理解、実践が及ばない部分は感じられる。<BR>
    <BR>

著者プロフィール

1949年、東京生まれ。
20代はじめに「人間にとっての自然とは何か」を探究するために武の道へ。
1978年、松聲館道場を設立。
以来、日本古来の武術を伝書と技の両面から独自に研究し、2000年頃から、その成果がスポーツや音楽、介護、ロボット工学などの分野からも関心を持たれるようになり、海外からも指導を依頼されている。
2007年から3年間、神戸女学院大学で客員教授も務めた。
2009年、独立数学者の森田真生氏と「この日の学校」を開講。
現在、夜間飛行からメールマガジン『風の先・風の跡』を発行している。
おもな著書に、『剣の精神誌』(ちくま学芸文庫)、『できない理由は、その頑張りと努力にあった』(聞き手・平尾文氏/PHP研究所)、『ヒモトレ革命』(小関勲氏共著/日貿出版社)、『古の武術に学ぶ無意識のちから』(前野隆司氏共著/ワニブックス)などがある。

「2020年 『巧拙無二 近代職人の道徳と美意識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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