つめたいよるに (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 9768
レビュー : 988
  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339139

感想・レビュー・書評

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  • 人を恋するということはえらいことですわなぁ。
    江國さんの描く様々な恋と、ちょっぴり摩訶不思議な仕掛けのある21編の短編集。
    好きなタイプの話が多く、優しい、懐かしい、切ない等様々な気持ちが次々に生まれる。
    『桃子』『草之丞の話』『鬼ばばあ』『晴れた空の下で』『ねぎを刻む』が印象的。

    一番心に残ったのは『デューク』。
    「それだけ言いにきたんだ」
    あの時あなたは優しくそう言った。
    けれど私にとっては「それだけ」なんかじゃない。
    あなたが私にくれたものは一言では言い尽くせない程の深い愛情。
    ほんの数頁の短編なのに物語の余韻がずっと頭から離れない。
    以前大学センター試験に出題され、涙をこらえられなかった受験生が続出したという『デューク』。
    こんな心を揺さぶる作品を出題するなんて、出題者なかなかやるじゃん。
    受験生と試験官泣かせの作品。
    読めて良かった。
    この先何度でも読み返していきたい一冊。

  • 全21編の短編集。
    話すように書かれた文章は、すらすらと読めていける。

    しかし、文章自体はあっさりと読めても、表現される内容は、
    かなり深く、何度か読まないと、きっちりと理解するのは難しい。

    もしかしたら、そもそも、理解するものではないのかもしれない。
    すらすらと話された言葉のように、
    するりと頭に入り、心に染みて消え行く文章と内容だった。

    そのため、再読性も高いと思う。
    何度も読める。独特な面白さのある短編集だった。

  • 淡々と描かれる短いお話がぎゅっと、濃く詰まった短編集。

    リズムよく読めるけれど、決して軽いものではなくそのリズム感にすら胸を鷲掴みにされる。

    江國さんの表現する冷たくて優しい言葉たちが詰まった大好きな一冊。

    ひとつひとつの作品を読み終えるたびにうっとりする。

    "うっとりする"

    本当にこの表現がぴったりな一冊。

  • ますます江國香織さんが好きになった一冊。
    どの話もものすごく面白かった。
    「晴れた空の下で」は思わず涙が出ました。

  • 2011/08/25
    とっても贅沢な短編集。ゆっくり噛みしめながら読んだ。
    「デューク」も好きだけど、「ねぎを刻む」も良い!

  • お話の中にもアイスクリームはよく出てくるが、短編ひとつひとつが、アイスクリームのような味わいがあった。

    心地よい読み口で、満ち足りた気分でいたのに、溶けてしまったようにすっと話が閉じられる感覚。
    嬉しさ、楽しさのあとに残る悲しさ、さみしさ。

    すてきな短編集だった。
    さっぱりとした文体も気に入っている。

    「草之丞の話」「子供たちの晩餐」「ねぎを刻む」「とくべつな早朝」が特にお気に入りだ。
    特に「ねぎを刻む」での主人公の意識の変化が身につまされた。
    「私の孤独は私だけのものだ」…そうだね。

  • デュークもいいが、「いつか、ずっと昔」「桃子」もふしぎな雰囲気のよい話。
    短くスッと記憶に残る短編集。

  • 江國香織の短編はほんといい。

  • 江國香織の短編集。前に『きらきらひかる』を読んで感動したので、その流れで読んでみた。

    ・どれも10ページに満たないもので、ひとつひとつを読むのに時間はかからない。でも、短いのに切れ味が鋭い。短いだけに、細かな状況は語られず想像力を試される。それがいい。読み終わった後の余韻がすごい。

    ・作品によっては叙述トリック(?)みたいになっていて、1回目に読んで「なるほど!」となる。それから続いて読み返すと、より豊かにイメージが膨らむ。どれも短い話なので、何度も読み返すことができる。

    ・『デューク』という作品がとても面白いと教えてもらい、この本を買った。強くおすすめされた理由がわかった。

    ・老い、死、悲しみ、懐かしさ、恋愛、不倫などなど、バリエーションに富んでいて、色んな感情が刺激される。自分は老いや死を扱った作品が好き。不倫や微妙な感情入り混じる恋愛を扱ったものも面白かった。

    ・作品で言うと『デューク』、『鬼ばばあ』、『晴れた空の下で』、『藤島さんの来る日』辺りが特に好き。

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    ざっと印象に残った作品をあげてみる。

    ■『デューク』
    ・この本の最初に収められている作品。たった8ページでこんな気分になれるのかと衝撃を受ける。

    ・2001年大学センター試験で、この作品の全文が出題されたようで、有名なのかもしれない。もし試験でこんなのが出てきたら、もし愛犬の死を経験していたら、試験どころじゃなくなってしまうんじゃないか??

    ・主人公は、愛犬の死に悲しむ女の子。名前すら出てこない。物語で描かれるのは、愛犬の死の翌日の朝〜夜までの1日だけ。

    ・最終ページの「そうだったのか感」がすごい。2回目に読む時は、少年とデュークの共通点を探してしまう。

    ■『夏の少し前』
    ・時間をスキップしているような、不思議な作品。しばらく前は学生だったのに、気付くと大人になっていて、おばあちゃんになっている。どこか切ない。

    ・社会人なら、どこか共感できるものがあるんじゃないかと思う。形のない、昔を懐かしむような、切ないような感情が刺激されてしまう。

    ・引用されている『いにしへの日は』もちゃんと読んでみたい。

    ■『鬼ばばあ』
    ・小学生の少年と、養老院のおばあさんの話。死がテーマに思う。

    ・おばあさんは認知症なのか、少年のことを忘れてしまう。

    ・今読むと、少年に感情移入してしまう。でも、もっと歳を取ってから読むと、おばあさんに感情移入してしまうのかもしれない。

    ■『いつか、ずっと昔』
    ・結婚式間近の二人が夜桜を見に来る。

    ・ヘビ、豚、貝の前世。不思議な話。抽象的なので、無意識のうちに意味を見出してしまう。

    ・『昔の私がどんな風だったとしても、私が好き?』というセリフで締められる。そこに至るまでの流れとこの言葉の意味を考える。

    ■『晴れた空の下で』
    ・おじいさんとおばあさんの話。

    ・『ご飯を食べるのに二時間もかかりよる。入れ歯のせいではない。食べることと生きることの、区別がようつかんようになったのだ。』という言葉で始まって、同じ言葉で終わる。最後まで読むと、なんとなく意味がわかる。絶対に2回読まないとだめだ。

    ■『さくらんぼパイ』
    ・離婚した二人の話。9歳の娘がいる。

    ・離婚しても、友達として元妻を気遣う。

    ・なぜこういう状況になったのか、何が悲しいのかといったことは直接的に描かれない。でも、母子家庭の辛さや苦悩が垣間見える。

    ■『藤島さんの来る日』
    ・語り手は、猫だった。それを知ってから2回目に読むと、一気に状況が理解でき、イメージが膨らむ。

    ・『彼らはまず寝室に行って運動し、運動がすむのは平均九時頃』というのが好き。笑ってしまう。確かに猫だとそう見えるよね。

    ■『南ヶ原団地A号棟』
    ・同じ団地に住む3人の小学生の作文が並んでいる形式の、シンプルな作品。

    ・隣の芝生は青い。

    ・作文の内容は、小学生の真剣な悩み。でも笑ってしまう。

    ■『冬の日、防衛庁にて』
    ・また不倫の話。交際相手の奥さんと昼食。

    ・相手はとても余裕がある。

  • 江國先生の6~8ページくらいの短編小説集 一作目の「デューク」がとにかく号泣した。(生き物を看取ったことのある人は全員泣く)とにかく短いのでオチがないやつも多かったけどどれも雰囲気は良かった

著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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