ターン (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.62
  • (449)
  • (631)
  • (1105)
  • (66)
  • (26)
本棚登録 : 5079
感想 : 564
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101373225

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今だからこそ心に沁みた、一冊。

    どんな一日を過ごしても定刻がくると一日前に戻ってしまう、そして永遠にひとりぼっちの世界を繰り返すという物語。

    単調な毎日に心の疲れも蓄積され、孤独な世界が欲しいなんて思っていた自分にはこの物語に頭をコツンとされた気分。

    静寂と孤独、主人公の心の機微はもちろん、何をすべきか…徐々に心が起き上がっていくような過程は何度も胸を打った。

    人は完全な孤独では生きていけない。何かと誰かと繋がっていることの有り難さを改めて噛み締める。

    今だからこそ、この物語の世界、数々の言葉、思いが心に沁みた。

  • 初の北村薫さん。文庫本の紹介文に惹かれて読みました。
    主人公の真希は内なる声といつも会話してるようだ。どうやら小さい時から。交通事故で意識不明の真希は誰もいない世界に入り込み、同じ日を数ヶ月孤独に過ごすのだか、やはり内なる声はそばに居る。突然、泉という男から電話がかかってきて現世との接点が出来るところから面白くなってきました。内なる声は泉なのか・・・。


  • 誕生日直前29歳の女性版画家が7月のある日自動車横転事故に遭い目覚めると誰もいない、どんな一日を過ごしても15:15になると昨日にリセットされる世界に。
    150日過ぎたある日電話が鳴り物語が動きます。毎日何事もなく繰り返す日常は尊くもあり年を重ねるごとに時間の流れがますます速くなる今日この頃、自問自答させて
    いただきました。後悔ない時間を過ごしたいものです。

  • 「時と人」三部作の第2作:
    版画家の真希は、夏の午後に事故って、気が付くと
    何故か自宅の居間で目覚める。
    何処にいても時間になると居間で目覚めるところから始まる。
    時に囚われながらも、真希は色んなことをやる。
    しかし何をしても残酷にも時間が戻る。気力が削がれていく。
    そんなある日、家の電話が鳴った。
    芥川龍之介の蜘蛛の糸を連想しました。
    そこからの切ない展開と、最後の怒涛の展開に心臓バクバク。
    これは好きです!!
    細かいところを突っ込むと感動が薄れるから
    あえて気付かないふりをします。

  • まず、本に「君」と呼びかけられ驚いた。
    まるで本と対話してるかのような錯覚に襲われ、
    不思議な気持ちで読み始めた。
    そして、この本を通して、メゾチントというものの存在を知った。
    さらには、「くるりん」を経験した「君」の最初の行動に驚かされ、
    私ならどうするだろうと考えた。

    そして、明かされる真実ー。
    リターン。

    ぜひ、すべてを読み終わった後にもう一度読み返し
    その意味を、この作品を味わいたいと思った。

  • 所々でふっと優しいきもちになれる本。特に終わり方が大好き。不思議な設定ではあるけれど、決して特別なことではなくて、真希に限らず誰もが体験しうる時間の感覚というか…。繰り返すのか、繰り返さないのか。そう感じるのか、感じないのか。全部がその人次第で、過ごし方次第。長さはあるけれど穏やかな気持ちになれる、存在感のある本。

    • まろんさん
      はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。

      時が「くるりん」する、北村薫さんの『ターン』、大好きな作品です!...
      はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。

      時が「くるりん」する、北村薫さんの『ターン』、大好きな作品です!
      まだ見ぬ運命の人とだけ繋がる電話、
      誰も見ていないし、時間はまた戻ってしまうのに
      買い物にきちんとお金を支払ってくるヒロイン真希。
      出会ったひとや、なんでもない毎日を大切にしなくては、と思わせてくれる本でした。

      好きな作家さんがかなり重なっていてうれしいsioさんの本棚と
      素直で綺麗な言葉で綴られたレビュー、これからも楽しみにしています。
      どうぞよろしくお願いします(*^_^*)
      2012/11/29
  • 「不毛なのは毎日ではなく、私だと。繰り返しの味気ない日常にしているのはいつも自分だ」

    「人間は、人との約束は守ろうと努力するのに、自分との約束はすぐに破ってしまう」という何かで読んだフレーズが頭に浮かんだ。自分ひとりの世界で、強い意志を持って生きるのは難しい。コロナ禍の自粛の中、この期間をどう生かすか。

  • 主人公は29歳の女性版画家森真希さん。ある日交通事故で命の危機に遭遇したのをきっかけに、時空のパラレルワールド"くるりん"に迷い込んでしまう。毎日15時15分になると、それまで過ごしていたことが全てリセットされ、昨日の15時15分@自室の畳の上 に戻ってしまう。そうして永遠に毎日同じ日々をくり返すのか、と思ったら果てしない孤独と生きがいの見出せなさに絶望感を抱いてしまいそう。
    現実では時間を繰り返すことはないけれど、付記にもあるように朝起きて朝食を食べ身支度をし仕事をして帰って寝るという同じ行動の繰り返しに、鬱屈とした気持ちを持つことが社会人なら誰しもあると思った。だからこそ真希の境遇に共感してしまうのだと思う。
    一人で生活していて、誰に見られてなくてもお店で商品を買った(もらった?)ときは必ずお金を置いてきたり、他人からの評価ではなくあくまで自分がどうあるべきかという軸で生きている姿勢がとても好き。
    そんな150日を過ごしてきて、かかってきた1本の電話。泉さんとの出会えて本当によかった(必然だったのかもしれないけれど)。やはり人を好きになるというのは生きるのに心の支えになるのだ。

    直に会うことはできなくても声を聞き、考えに触れることで好きになってしまうことはあるだろうなぁ。
    真希が愛について話した内容が素敵だった。
    「相手が自分だけを愛してくれるから、その人に魅かれるわけじゃない。その人が、自分以外の何を、どのように愛するか、それを知るからこそ、相手を愛せるのでしょう?」

    人を愛すること、そして自分にとっての生きがいを持つこと、すなわち日々成長が楽しいと思える習慣・仕事・趣味を持つことは大切だなぁと感じた。

  • あらすじ
    真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。いつかは帰れるの?それともこのまま…だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。

  • 主人公の駆け出しの女性版画家に絶えず話しかける男性の声。昔、池澤夏樹さんの1枚の写真をもとに「君」に話しかける掌編集があったけど、それに似ている文章。
    でも、あれは一方的に君に語りかけていかけど、この本では主人公とその誰かが対話している。不思議な文体。筆者が主人公に話しかけているんだろうか。

    事故で誰も居ない時間の中に囚われてしまった彼女。その時刻が来ると、1日前に「くるりん」してしまう。

    長い孤独の末に1本の電話が鳴って、物語が動き出さす。これが声の主?そうすると、これまでの文章は回顧してたわけか?
    後になって、勘違いに気付くんだけど、ボール球で空振りを取るのが上手いなあ。文句をつけているじゃなくて、お蔭で更に感動が深くなっている。

    北村薫さんの描く女性は皆、凛としているけど、本書の森真希さんが一番魅力的だと思う。北村さんはオジサンなのに、なんでこういう女性を活き活きと描けるんだろう。

    文章もドキッと心に刺さる処がそこここに。
    (引用)
    君は、くるりと振り返って、≪フウの木≫にいう。
    「わたしは、真希よ」
    そうか、と木は、葉を鳴らした。

    終幕も良かった。こんなラブロマンスもあるんだなあと感激しながら本を閉じた。僕にとって北村薫最高作。

    以下、雑文。
    実は子供の頃から目が覚めたら誰も居なくなっていることを夢想していた。そして、いい年したオッサンになったのに、まだ時々誰も居ない、たった一人の毎日を考えている。
    電気も水道などのインフラは使える前提は都合良過ぎ。スーパーに行けば食料はあるから、生きていける。
    急に人が居なくなっても何故か交通事故は起きていないし、火事も起きない。そう云う処はこの小説に似ている。
    つまりこういう空想をするのは人間嫌いだからなのかな。北村さんも?まさかね。

  • なんて言ったらいいのかなぁ。
    くるりん、泉さんの声、時を生きること

    うーん
    生きていなければなぁ
    ただ過ごすのではなくて
    くるりんの中でも生きようと思えたように
    生きていなければなぁ

  • 序盤は「君は…」と話しかけてくる「声」と、発話している女性との二人称をどう捉えて読み進もうかペースがつかめず、なかなか進まなかったが、だんだんと、明らかになっていく。
    前作「スキップ 」のほうがわかりやすく楽しめたが、この「ターン」は読み直すと、また違った味が楽しめそうな作品。とにかくストーリーを追いかけることに必死だったので、細部を落ち着いて読み直したい。

  • この設定でこのボリュームの物語がかける事に驚くが、とても面白く、あっという間に読んでしまった。
    感動した!

  • 時空の狭間に落ちてしまったかのように、同じ24時間を繰り返し続ける主人公。しかも、その世界にはついさっきまで多くの人が生活をしていた形跡があるのに、何故か彼女1人しか存在しない。冒頭から主人公を「君」と呼ぶ謎の声の正体もずっと気になります。
    そんな不思議な物語ですが、北村氏の柔らかく繊細な文章のおかげで、理屈を超えた世界を楽しむことができました。

  • 1日を繰り返してしまう人の話。いわゆるループもの。リプレイとか、リピートとか読んだなと思い出す。違うのは、ループから抜け出せないという焦燥感もあるものの、なんか急がない、ほっこり感があるのが北村薫ワールドなんですかね。

  • ラブストーリーだった。

    北村さんは、本当に膨大な語彙をあやつることができて、難しい表現を使っているわけではないのに豊かな文章を紡ぐ。真に文章の上手い人はこうなんだろう。
    ただ、それだけに、すらすら読める文章ではない(私にとって)。一文一文が脳裏に鮮やかな絵を描かせる感じというか、要は一文あたりの情報量が多いんだな。
    だからこの作品も読むのにずいぶん時間がかかった。

    事故にあって意識不明になった主人公の、意識の方が時間の溝に入ってしまって、誰も居ない世界で昨日と今日を繰り返す話。
    物語は二人称で綴られる。実は以前二人称の他の作品を読んでツライ思いをしたので(内容的に)、あまり二人称が好きじゃなくて、それも読むのに苦労した要因だった。
    でも、二人称の「正体」が分かった時は感動した。

    主人公が時間の溝(《くるりん》の世界)に入ってからがちょっと長くて中弛みした。半年その世界に囚われたんだからその時間を表現するのに必要だったとは思うけど。
    だから電話が掛かってきた時、主人公だけじゃなくて私もドキドキした。物語が動く!と(笑)。

    電話の繋がったのがイイ人で良かった。
    電話だけの関係で恋愛感情が生まれるのは、現代で言えばネット恋愛みたいなものだから、充分あり得ることなのだ。意外にも、姿形に惑わさせることなく、ヒトの核心に触れられるから。

    柿崎君の暴君ぶりが数日で終わってホッとした。あれは精神削られる。
    このあたりは、読んでいて、付記で北村さんが言い訳してる(って言ったら怒られそうだけど)時間の矛盾みたいなものに、はっきりとは気づかなかったんだけど、なんかモヤモヤした。まぁ些末なことかもしれないけど、ちょっと惜しい。

    全体の展開とそれに費やした頁の割合からして、最後のシーンを簡単に書きすぎてる気がする。もう少しじっくりやって欲しかった、感動的な場面なんだから。(感動しました)

    泉さんは電話が切れてからどうしたんだろう。多分病室の真希を励まし続けたんだろう。真希が帰ってくることを信じて。
    イイ人だなぁホント。包容力があるというか。

    静かだけど良い話だった。

  • 170823*読了
    真希と「声」の対話部分が独特。
    するする読んでいたけれど、付記を読んで、そういう矛盾があったのかと知る。
    あらすじを読まずに買ったので、スキップの続編かと思っていた。違ったけれど。
    ターンの終わり方はしっくりくるものだった。一方、スキップは切ない。

  • 「スキップ」では冗長さを感じてしまって読み終えるのに辛さを覚えたが、「ターン」では流れがよく楽しめた。満足。三部作らしいので、残りの一冊も読む予定。

  • 同じ一日を繰り返すという不可思議な現象を通して、明日があって、未来の為に何かを遺すことができる事の有り難さを改めて噛み締めることができた。「声」の主については言及されなかったが、泉さんだといいなと思う。主人公の知らない事を話していたし、自分自身ではないかなと。

  • 「スキップ」とは違い
    救いのあるファンタジー。
    そう。ファンタジー。

    体と心がひとつに溶け合った
    その瞬間 それまで
    どこへともなく捨てられてきた
    繰り返しの1日が
    ちゃんと彼女の中に
    積み重ねられたことになる。
    取り戻した…そんな感覚で。

    このまま映画になりそう…と
    思って調べたら やはりなってましたか。

    柿崎が北村一輝とは…ハマり過ぎ(笑)

    真希と泉の交わす会話が
    とても深くて しみた。

    ではシリーズ最後の「リセット」に
    取りかかります。

    母を喪ってから こんなにも
    本を読むのに時間がかかるように
    なってしまうとは。

    失われて 戻らないものが
    私の中にはあるのだろう。。。

  • 端正。
    ゆるやかな時の流れ。
    時間に取り残された孤島であんなド変態と一緒になるとはなァ、ドッキドキしちゃうんだな。

  • 時と人の3部作、2作目。ただし前作「スキップ」が未読でも大丈夫です。

    交通事故を契機に、不可思議な世界へ迷い込んでしまった主人公。繰り返される同じ日々、誰も居ない世界。恐ろしい舞台設定です。自分がこうなったら…と連想するとぞっとしますね。
    だけどホラーテイストにならず、きっちりとハートウォームな物語になっている、というのは物凄いと思います。クライマックスのドキドキ感も好きですけれど、そこに至るまでの連綿と続く日々にも、ある種の美しさを感じます。

    405頁、「そして、この日のために~」の一文が不思議と心に残っています。北村薫さんって、こうした何気ない一文が時として物凄くツボにはまるんですよね…

  • 前半は物凄く読みにくい文章だなぁって感じで最後までは読めないかなぁと思いました。が突然真希の家の電話が鳴ったところから話が急展開してまるで違う作者の物語になったみたいに読みやすくてスラスラ物語に吸い込まれちゃいました。
    最後に載ってる作者の解説はわかりにくかったけどターンの理屈がどうこういうことを考えずに素直に楽しめる作品だと思います。

  • 映画「プラダを着た悪魔」に近い、恋と仕事にがんばるアラサー女子のためのSF作品だ。


    (売れない)銅版画家・森真希は、7月のある日の15:15、交通事故にあう。もうダメか、と死を覚悟したが、気がつけば、彼女以外だれもいない世界で、前日の15:15に目を覚ます。以降、15:15で記憶以外のすべてがリセットされる世界で<ターン>を繰り返す彼女だったが、ある日、鳴らないはずの電話がかかることで、大きな転換を迎える。


    タイムリープものって、「なぜ時間を繰り返してしまうのか」が大きなポイントとなる。たいていのSF小説は、その説明に時間をかけ、読者も納得のがちがちのサイエンス理論を展開する。

    が、この作品は、そのあたりの説明が実にさっぱりしている(納得行かない読者のために、筆者が小説外で付記をするほどだ)。それもこれも、読者のターゲットが圧倒的に女性だからだ。
    ターンしているのと大差ない、いつも変わらない毎日を過ごすガンバッテル女性たち。存在意義がない彼女たちが、自分らしさを見つけるのはなんなのか。

    主人公・真希にとって自分らしさの証が、銅版画だ。物語のラストで、彼女は百合をモチーフにした(おしゃれ感満載の)銅版画を作成する。
    凛とした女性の代名詞ともいえる百合をモチーフにしたことが、がんばる女性への最高のエールとなっている、というわけだ。

    等身大の女性目線のほんわかとした語り口は、もちろん多くの人々が読んでも心地よい。
    (ハードさがほしければ「オール・ユー・ニーズ・イズ・キル」でも読めばいい)
    同作者の「時と人」三部作の他の作品も読んでみたくなる一冊。

  • 誰と会話しているの?と最初は戸惑うかもしれないけど、安心してください、すぐに夢中になりますから(笑)大好きなストーリ展開で一気読みでした。解説部分の矛盾点は私自身気付かなかったけど、なるほど確かにと思える指摘。難解なパラドックスは愛嬌ってことで。これによって作品が色褪せることは無いので是非、ご一読を。
    あらすじ(背表紙より)
    真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。いつかは帰れるの?それともこのまま…だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。

  • 学生時代に読了。
    透明感ある文章とこの静謐な世界観に魅了されました。

  • 「薫」大好きな名前だ。文章の感じから、女性かと思ったが男性だ。

    主人公に「君」と語りかけてくる声。一体誰だ?
    全体の1/3ぐらい二人のやりとりが続くが淡々と読める。
    たった一人の世界で150日。私なら気がおかしくなるだろう。
    そして一本の電話がつながる。
    途中から恋愛も絡めてさらにぐっとひきつけられた。
    声だけの相手に恋をする。二人は毎日いろんな話をする。
    お互い探り合って遠慮したり、焼きもちをやいたり。
    すごく自然な会話。

    だから告白の場面は素敵だ。透明感があって綺麗なかんじ。
    最後はハッピーエンドだし、声の主も彼自身だった。
    生まれる前から二人は出会う運命だったのか。
    私の運命も知りたいものだ。

  • 序盤は少し読みにくいかもしれません。
    しかし中盤あたりからはぐいぐい読めてしまうと思います。

    感慨深く、終盤はドキドキしながら読めました。

    ラストどうなってしまうのか最後の最後まで気になっていましたが、いい終わり方だと思います。

    映画を観ているんじゃないかと思うくらいラストは情景が目に浮かびました。

  • 「ひやり」を「ひいやり」と書くところとか、
    描写とか細かな言い回しが好きでした。

    タイムループのSF要素は薄くて、心情がメインなのかなと感じました。
    こんな状況になったとしてどう行動するかとかを考えながら読むのもおもしろかったです。

  • 読み始めてしばらくは状況を把握するのに戸惑う。
    物語の中の主人公と同じである。
    読者の私は前編にわたってこのような調子で状況説明が続くのだろうかと、危うく本を閉じてしまいそうになる。
    けれど「こちら」と「あちら」が一本の電話で繋がると話は一気に面白くなる。
    本を閉じずによかった。

    第9章のp3368行目から
    「〜愛している片方が、夢をあきらめて、その代わり自分べったりになってくれるとしたら、そんなの我慢できないはずですよね。」と言う文章、以下まだ続くのですが、
    コレ私が以前観た映画「ララランド」の主人公が、自分が彼女から離れて彼女が夢を叶えることに全力をそそげるようにしてあげるのが本当の愛だとおもってとった愛の形と一緒だ。

著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

北村薫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×