- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101423210
作品紹介・あらすじ
二百回忌はただの法事ではない!この日のために蘇った祖先が、常軌を逸した親族と交歓する、途方もない「一族再会」劇なのだ。二百年分の歪んだ時間の奥に日本の共同体の姿を見据えた表題作は第7回三島由紀夫賞を受賞した。他に、故郷への愛増を綴った「ふるえるふるさと」など、日本のマジック・リアリズムと純文学のエキスが凝縮された、芥川賞作家の傑作集。
感想・レビュー・書評
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表題作がとにもかくにも素晴らしい。一族郎党が甦る狂躁的な二百回忌と「私」が抱える肉親への気持ちが緊密に組み合わされていて、最初から最後の一行まで、心をぎゅっとつかまれっぱなしだった。まさに想像力の文学であり、この信じられない法事がどう展開するのかを確認するためだけでも、読む価値がある。
主人公の自罰傾向とそれをエネルギーにした爆発的な幻想性にはとても藤枝静男を感じたのだけれど、笙野頼子の場合は「期待に添えなかった子供であった私」が常につきまとう。静男の性欲モンダイは笑えるけれど頼子さんの「私をちゃんと見て」には他人事でないところがあり、忘れていた焦燥感が甦ってきて不快でさえあったかもしれない。それでもこの短編を読み、笑いながらも気持ちをかき回されるのは、ほかに比べる物のない強烈で貴重な体験だった。
もう笙野頼子は何冊か読んでいて苦手だとわかっている、という人にさえおすすめしたい。わたしもそうだったから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再読。やはり表題作が圧巻。
※収録作品
「大地の黴」「二百回忌」「アケボノノ帯」「ふるえるふるさと」 -
文学作品を手にするのは稀
どこかで誰かが勧めていたので購入
著者の方もはじめまして
これは短編中編集になりますかな
表題作だけ読む
うーん。いい意味で思ってたのと違う
てっきり地名も実存するのかと調べたら著者のおふざけでした
内容もそんな感じで特異な世界観
終わり方も良いですね -
3.43/135
内容(「BOOK」データベースより)
『二百回忌はただの法事ではない!この日のために蘇った祖先が、常軌を逸した親族と交歓する、途方もない「一族再会」劇なのだ。二百年分の歪んだ時間の奥に日本の共同体の姿を見据えた表題作は第7回三島由紀夫賞を受賞した。他に、故郷への愛増を綴った「ふるえるふるさと」など、日本のマジック・リアリズムと純文学のエキスが凝縮された、芥川賞作家の傑作集。』
目次
大地の黴 / 二百回忌 / アケボノノ帯 / ふるえるふるさと
大地の黴
(冒頭)
『帰郷の度、駅から家へ向かうツクモエヅカ、だらだらした坂道をハルチに向かい登る。歩いているうちに苛々して、大抵横道に入る。丘をらせん形に取り囲んだ、車の楽に通れる広い道から、坂の急な殆ど石段ばかりの近道に分け入ってしまうと、そのあたりには家は殆どない。』
『二百回忌』
著者:笙野頼子(しょうの よりこ)
出版社 : 新潮社
文庫 : 185ページ
受賞:三島由紀夫賞(『二百回忌』) -
消しゴム、蒲鉾になるかもね。巽孝之先生が解説を書いている。
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表題の二百回忌がいまいちでした。マジックもレアリズムも確かに具材としては入っているのですが、具材が生煮えのまま混ざりきらないスープを、味つけもされないまま飲んでいるようでした。
一作目の大地の黴は良かったです。 -
第一作目はおおー面白ーい、これは国産マジックリアリズム??イってるイってる、筒井康隆のワールドみたい~と幸先良かったんですが、二作目でちょっとくどくって。でもって3つ目はスカトロでパス・・・これが女性作家(ですよね??)ってとこが、いやあ~なんと申しましょうか… 若かりし頃には倉橋由美子とか金井美恵子とか平気で読んでいたはずなんだけど。
追記~
某氏から山尾悠子の話を振られて思い出し。「二百回忌」のシチュエーションは「通夜の客」に似ている。かなり味わいは違いますが。(というか笙野と山尾って、究極的にテイストが違う><;) -
1814年というと江戸時代、ちょんまげの先祖に会ってみたい。
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これ角川ホラーじゃないのか。