スノーグース (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102168028

感想・レビュー・書評

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  • 人と動物、それぞれの思いが混然となり、温かい関わりの中で美しさを際立たせている。
    しかし動物側の思いを語るのもまた人であるという点がミソなのだろう。

    「祈りとは、じつに神によってつくられ神に還ってゆく何者かなのでしょう」p132

    美しさとは、人とそれと関わる何かの間を廻ることで洗練されるものなのかもしれない。

  • 静かで心に染み込む本

  • 家族同然のロバが病気になったとき、孤児の少年は聖堂にお参りしてロバを救おうとするが・・・思わず涙がこみ上げ、暖かい気持ちになる『小さな奇跡』など、ハンカチ必須の三篇を収録。

    • はこちゃんさん
      愛玉子さん、こちらから失礼します(*^_^*) まだ使い方よくわかっていないのでσ(^-^;)、チュートリアルよろしくお願いします(*^v^...
      愛玉子さん、こちらから失礼します(*^_^*) まだ使い方よくわかっていないのでσ(^-^;)、チュートリアルよろしくお願いします(*^v^) この本、私も大好きです♥ 絵本バージョンもあります。CAMELのスノーグースという曲も大好きです。これからもよろしくお願いします(*˘︶˘*).。.:*♡
      2013/09/04
  • 「大沼のそばの燈台小屋に住む画家のラヤダーは、野生の鳥たちだけを友だちにひとりっきりで暮らしていた。ある日傷ついた白いグースを抱いた少女が燈台を訪れて…。孤独な男と少女のひそやかな心の交流を描いた表題作ほか、動物への暖かな眼差しで描かれた「小さな奇蹟」「ルドミーラ」の二篇を収録。『ジェニィ』『雪のひとひら』のギャリコが贈る、永遠に愛されるファンタジーの名作。]

  • 『スノーグース』『小さな奇跡』『ルドミーラ』の3篇が集録されている。御伽噺のように優しく語りかけてくる語り口。短編それぞれに動物が登場し、人と動物の心の交流が感動的。涙ぐんでしまう。特に『スノーグース』はラヤダーの心美しい様が反映された人生が読者に優しさと切なさをもたらす。また何よりラヤダーの優しさや勇気に応えるスノーグースが愛しい。無言の愛と信頼。『小さな奇跡』ではぺピーノという少年とロバのヴィオレッタの物語。少年の愛情と奔走が愛おしい。『ルドミーラ』は痩せぽけた牝牛が主人公。牝牛の思いが語られる。動物の心情は他の2篇では見られない。どの話も愛と優しさに溢れ読了後も心温まる余韻をもたらしてくれた。

  • 「今度ばかりは、ぼくだって人並みに」「ぼくの力でできること」出来ないことの方が多く傷ついてきたラヤダーの勇敢な姿は心に留めておきたい。

    『小さな奇蹟』は終わったあとの残り香が心地好い。

    何かある、奇蹟はあるのかもしれない、そう思わせてくれる温かな3編。
    ギャリコと動物の親和性は高く、愛情が直に伝わる。

  • 私には合わなかった。

  • Camelが好きな職場の方との会話のなかで「ポール・ギャリコって知ってる?」と言われて、偶然最近宝塚での舞台化きっかけに『ほんものの魔法使』を読んだこと、小学生の頃にハリスおばさんシリーズを読んだことを思い出して興味を持ちすぐに購入。

    音楽を流しながら本を読むというのは新鮮な読書体験だった。映画化された小説のサントラとはまた別の感覚。

    クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』を改めて観返したくなった。

    3篇とも動物と人間のかかわりが大切にされている作品で一気に読み終えた。
    『ほんものの魔法使』と同じ訳者さんで、翻訳物の児童書を彷彿とさせられてノスタルジックな気持ちになる。

  • 『スノーグース』『小さな奇蹟』『ルドミーラ』の3作からなる短編集。
    「訳者あとがき」にあるように、3作品は主人公の人間と動物の心の交流を描いている点が共通している。

    『スノーグース』は1940年に発表され、第二次世界大戦が物語に大きく関わっている。

    『小さな奇蹟』はイタリアが舞台となっおり聖フランチェスコが重要な役割を果たしているが、著者のポール・ギャリコがイタリア系アメリカ人であることと無関係ではないかもしれない。
    読者の想像や解釈にゆだねられたラストは印象的。

    『ルドミーラ』は、やはり聖女のルドミーラと、牝牛と少女の物語。
    この作品でもキリスト教的な「奇跡」がテーマとなっている。

    なお『スキゾ・エヴァンゲリオン』(太田出版)では、キャラクターデザインの貞本義行氏が、綾波レイのモチーフとして『スノーグース』の主人公の少女からインスピレーションを得たことを語っている。

  • 苦しみや哀しみはなぜある、と疑問に思い沈む時がある。
    そんな時にこのギャリコ珠玉の短編を読んだ。

    「スノーグース」はイギリスのエセックス、海岸。
    「小さな奇蹟」はイタリア、アッシジ。
    「ルドーミラ」はアルプスのリヒテンシュタイン公国。

    さながら、旅行をしつつ美しい奇蹟に思い巡らしているよう。
    妖精や魔女、ドラゴンや聖者を信じることが時代遅れでないことを知らせてくれる。
    傷ついた動物への暖かい愛情。

    表題作の「スノーグース」の書き出し文章の秀麗なこと。
    翻訳でここまで!と思った。(矢川澄子訳である)
    初めの2ぺーじばかりはうっとりしてしまう。

    三編とも読み終わって実にさわやかな高揚感につつまれた。

    宗派はなくとも、神さまは信じているから
    「われらの命は汝が御手の中にあり」
    は心に響く。

    なにごとも祈ったのちはおまかせしよう。

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著者プロフィール

1897年、ニューヨーク生まれ。コロンビア大学卒。デイリー・ニューズ社でスポーツ編集者、コラムニスト、編集長補佐として活躍。退社後、英デボンシャーのサルコムの丘で家を買い、グレートデーン犬と23匹の猫と暮らす。1941年に第二次世界大戦を題材とした『スノーグース』が世界的なベストセラーとなる。1944年にアメリカ軍の従軍記者に。その後モナコで暮らし、海釣りを愛した。生涯40冊以上の本を書いたが、そのうち4冊がミセス・ハリスの物語だった。1976年没。

「2023年 『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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